自動車業界に携わるプロたちの視点で “いいクルマ” を選ぶ『いいクルマアワード2023』の表彰式がこのほど行われ、大賞には6年連続でプリウスが輝き、特別賞にはアルファードが選ばれた。なぜ、この2台が自動車業界のプロに評価されるのか、元自動車販売のプロである筆者が分析していく。
文/佐々木 亘、写真/ベストカー編集部、トヨタ
■「いいクルマアワード」とは?
いいクルマアワードは、オートアフターマーケット連合協議会が主催し、メーカーの視点ではなく、「整備や修理」「用品部品販売」「新車中古車の販売・買取」「ロードサービス」「ガソリンスタンド」「カーディテイリング」「自動車保険業」などに従事している自動車業界のプロが、いいクルマを選ぶもの。
いいクルマと評価するための設問は以下の6つだ。
1:価格の割にいいクルマ
2:トラブルの少ないクルマ
3:リセールバリューの高いクルマ
4:次に乗りたいクルマ
5:カスタマイズが楽しめるクルマ
6:あこがれのクルマ
2022年12月1日から2023年1月31日の間にオンライン投票を実施し、4612件の有効回答を集めた。
大賞に選ばれたプリウスは、1と2の項目で1位、3についても3位となり、幅広い支持を得ている。また、特別賞のアルファードは3で圧倒的な支持を集め、すべての設問で5位以内に入ったことが、選考委員会で高く評価された。
プリウスとアルファードが自動車のプロたちに評価された理由を、販売の目線から考えてみよう。
■息長く売れるということが評価につながる
いいクルマアワード大賞を2018年から連続受賞しているプリウス。連続受賞の出発地点である2018年、先代4代目プリウスに起こった変化はエクステリアデザインの変更を伴うマイナーチェンジ(MC)だ。
落ち着いたデザインになり、少々敬遠されていたプリウスに元気が戻った時期でもある。爆発的なヒットを記録した3代目(30系)の後を継いだものの、苦戦していた4代目にマイチェンでやっと花が咲いた形だ。
3代目から続く息の長いヒットが、ハイブリッドカーを特別ではなく普通の存在にした。過去には「何年もつのかわからない」と言われながら売っていたが、30系がデビューしてから今年で約13年。プリウスは実力で品質の高さと耐久性を証明している。
こうした裏付けがあるからこそ、新車も中古車も自信を持って販売できる。アフターケアにおいては、整備士が幾多のプリウスに触れ、不具合やトラブルに関して重箱の隅を突き尽くした。
「安心して売る→販売台数が増える→整備台数が増える→プリウスに触れる機会が増えて理解が進む」、この好循環を起こした結果、さまざまなプロがプリウスのよさを認めることとなったのだろう。
プリウスに対するプロの高評価は、一朝一夕で作られたものではない。地盤を固め、長く多く売れた結果が6年連続の大賞という結果を生み出した。
新型は上級モデルへ進化を遂げた。今後は、これまで弱かった「次に乗りたいクルマ」「あこがれのクルマ」としての評価も高まっていくはずだ。ますますプリウスは「いいクルマ」になっていく。
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