ホンダが2022年11月に行った決算発表を見ると売上収益1兆970億円の伸びを見せていた。この数字を見ると「ホンダは好調じゃん!!」と思えるのだが、一方で四輪の販売台数は減少していた。
※本稿は2023年2月のものです
文/佃義夫、写真/HONDA、ベストカー編集部、AdobeStock
初出:『ベストカー』2023年3月26日号
■好調な二輪事業の裏で問題を抱える四輪事業
ホンダを経営的側面から分析すると、現況、そして近未来の展望はどうなっていくのだろうか? アナリストの中西孝樹氏に話を伺った。
ホンダの収益は、2022年11月に発表され決算発表を見ると、2022年度は売上収益8兆853億円、営業利益4534億円で2021年度に対し売上収益は1兆970億円増、率にして15.7%のプラス。営業利益も112億円の増益で2.5%の伸びを見せている。
「この数字を見ると、ホンダは好調だと見ることができますが、私は“うまくいっている部分”と“対策が必要な部分”があると見ています。うまくいっているのは二輪事業で、特にタイやインド、ベトナムが好調で、ホンダの屋台骨と言って過言ではありません」と中西氏は分析する。
「問題は四輪事業です。販売台数を大きく落とし、減益の要因となっています。
四輪車はシビックや、北米などでCR-Vなどニューモデルを積極的に投入していますが、生産が大きく遅れていて、まったく市場に行き渡らせることができずにいます。主な原因は半導体不足がまだまだ続いていて、解決できていないためです。まずは四輪車事業の改善が大きな課題です」(中西氏)
たしかに四輪車の販売台数は低調だ。ホンダの経営は二輪車頼みという状況を打破しなければならない。
■ゼロエミッションに向けた課題と株価から見える展望
その四輪事業だが、脱内燃機関、ゼロエミッション化を推進する方針を打ち立てている。
「ホンダはカーボンニュートラルの実現に向けて、ゼロエミッション車へ向かおうと舵を切っているので、先日の水素事業に向けた発表は違和感なく受け止めることができました。ZEVを目指すのであればBEVかFCEVということになるので、方針にブレはありません。
ただ、水素は供給インフラの整備が進まなければ絵に描いた餅なので、そこに課題は感じます」というのが中西氏の分析だ。
ホンダを経営的側面から見ると、中西氏は「企業全体として見ればけっして悪くはない」と見る。
ただし、「四輪事業の業績改善は喫緊の課題。そのために研究所の解体・再編などの組織改革、工場閉鎖などの構造改革を進めているが、その効果はまだ現われてはいない。安定した経営基盤を整えるためには、さらなる構造改革、体質改善が急務」と言う。
さて、経営状況が客観的に表れる株価だが、ここ1年ほどは3000~3500円で推移している。
「はっきり言って低調です。2020年前半のコロナ禍期の低株価は無視して構いません。現在はコロナ以前の2019年水準に戻しただけです。2015年ごろは4000円台だったので、明らかに右肩下がりのトレンドです。
株価は経営の通信簿です。投資家にしっかりと評価される経営基盤が求められます」というのが中西氏の見方だ。
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