全日本トラック協会は、昨年2022年(1月〜12月)の警察庁が公表した全国の交通事故データを基に、トラックが起因する死亡事故・重症事故を都道府県、道路区分、車両総重量別の視点からとりまとめた統計・分析結果を発表した。
近年は交通事故全体を通せば減少傾向にあるが、2022年のトラックが第一当事者になった死亡事故・重症事故はどうだろうか。その内訳を見ていこう。
文/フルロード編集部 写真・図/フルロード編集部・全日本トラック協会
2022年のトラックが第一当事者となった死亡事故・重症事故
全日本トラック協会では、2025年(令和7年度)までの目標として「トラック事業における総合安全プラン2025」を定め、トラックの交通事故防止活動に取り組んでいる。
その目標では、トラック事業者(軽貨物を除く)が第一当事者となった事故のうち「死者数+重傷者数970人以下」並びに「飲酒運転ゼロ」が掲げられ、各都道府県の共有目標値として、「車両台数1万台あたりの死者数+重傷者数6.5人以下」を定めている。
最も忌避すべき死亡事故は上のグラフの通り年々減少傾向が続き、2020年度の目標(トラック事業における総合安全プラン2020)であった、「1万人あたりの死亡事故件数1.5人以下」が達成される状況にあり、2022年度は1.27人となった。
これは近年コンプライアンスが浸透し安全運転を励行する運送会社が増えたことに加え、安全装備・運転支援技術の義務化等により安全なトラックになってきてることが要因にあるだろう。
そのいっぽうで完全にゼロすることが難しいのが交通事故だが、2022年度の死亡事故・重症事故の当事者となったトラックを車型別に分類すると、大型484件(50.5%)、中型427件(44.5%)、普通48件(5%)となり、このうち死亡事故の統計で見ると大型102件(60.4%)、中型62件(36.7%)、普通5件(3.0%)と、大型の比率は10%ほど上昇する。
一般道でダントツに多い死亡事故・重症事故
トラックの死亡事故・重症事故は大半が一般道で起きており、2022年度は87.6%が一般道で発生。残りの12.4%は高速道路で発生したものだが、このうち約7割が大型車が第一当事者となっていることも留意しておきたい。
事故類型別に見ると、自転車などの軽車両を含む「車両相互」が676件(70.5%)でダントツで多く、次いで「人対車両」が234件(24.4%)、「車両単独」が49件(5.1%)となった。
これを死亡事故に限ると「車両相互」が79件(46.7%)、次いで「人対車両」69件(40.8%)、「車両単独」21件(12.4%)で、身を守るものがない「人対車両」の比率が大きく上昇する。
「人対車両」で、最も事故が多く発生した状況は「横断中 横断歩道」で96件(41.0%)、次いで「横断中 その他」40件(17.1%)となっており、横断中の事故全体では145件(61.9%)と6割以上を占め、死亡事故としても「横断中 横断歩道」が最も多い27件(39.1%)である。
いっぽう「車両相互」の事故では、「追突 駐停車中」が最も多く125件(18.5%)。次いで「出会い頭衝突」115件(17.0%)、「右折時衝突」83件(12.3%)と続く。
「車両相互」における死亡事故データでは「追突 進行中」「追突 駐・停車中」が同列で最も多く、13件(16.5%)。次いで「出会い頭衝突」12件(15.2%)、「左折時衝突」11件(13.9%)と続いている。
最後に、死亡事故データの傾向として、運転免許取得年数を挙げておこう。
2022年のトラックが第一当事者となった死亡事故の88.8%が免許取得10年以上の中堅・ベテランドライバーが引き起こしたもので、5年未満は5.3%、4・3・2・1年未満は各1%台である(平年としても同じような数値)。
もちろんトラックドライバーにこの層が最も多い(絶対数が多い)というのもあるが、熟練のドライバーであっても安全確認・安全な車間距離の維持を怠れば重大事故を誘発しかねないというのは今一度留意すべきことだろう。
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