軽量化はクルマにとって永遠ともいえる開発テーマ。加速や燃費、クルマにとって重要なファクターを向上させるために軽量化はマストであることは言うまでもない。下手をするとパワーアップ以上にその効果は絶大とされるが、軽量化にまつわるメリットとデメリットについて語ってもらった。
文/松田秀士、写真/ベストカー編集部、ホンダ
■本当に“軽いに越したことはない”のか?
この世に重力があるかぎり、クルマは軽いに越したことはない。クルマにかぎらず人間も、重ければ足腰に負担がかかるし、走る系のアスリートは極限まで体重を落としたほうがタイムアップにつながるのだ。
とはいえ相撲やラグビーなど特殊な格闘系のスポーツでは重いほうが安定性に優れ、慣性同士のぶつかり合いにはとても有利。ボクシングでも体重別にクラス分けがあるのはパンチの破壊力に差があるからだ。
このようにスポーツによっても体重の重い軽いには向き不向きがあるように、クルマにとっても同じことが言えるのではないか? ということで、軽いに越したことはないというクルマの通説に筆者は少し異議を唱えてみたいと思う。
■軽ければ加速性と運動性が向上する
まず軽いと何がメリットになるのだろうか? 第1に加速がよくなる。第2に運動性能がよくなる。つまり、フットワークがよくなる。バネレートをソフト目にセットしてもスタビリティが保て、バネがソフトな分ダンパーも必要以上に伸び側を攻めることもない。
また、運動エネルギーが小さくなるからブレーキを奢る必要もなく、バネ下重量の軽減につながる。タイヤ&ホイールにも同じことがいえるのだ。結果、コストダウンにもつながるし、燃費には大いに貢献する。
それゆえ排気量が小さなモデル、とりわけ軽自動車に軽量化は大きなメリットとなる。スズキアルトの再軽量モデルは680㎏でWLTC燃費は25.2km/Lという高燃費だ。
また、軽量化で意味があるのは重心から離れた部分の軽量化。つまりルーフなど。カーボンルーフが一時期流行ったことを覚えているだろう。重心から離れた部分はテコの原理でモーメントが大きくなるので、軽量化することでよりクルマの動きがよくなる。
ホイールやタイヤ、そしてブレーキディスクは回転しているので質量以上のジャイロ効果が発生する。重い部分が円周の外側にあるほどハンドリングに与える影響は大きくなるのだ。
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