走行中にタイヤが急に破損するバーストは、やはりコワいし大事故につながります。でも、走行中でなくてもタイヤがバーストすることがあるみたいなんですね。
バーストにはいろいろな原因があるし、バーストに至る経緯もさまざま。
商用車タイヤのサービスマン・ハマダユキオさんがバーストのさまざまな原因を教示します。
文/ハマダユキオ、写真/ハマダユキオ・写真AC(トビラ写真)・トラックマガジン「フルロード」編集部
タイヤがモップのようになっている!
この前、某SNS見ていたら、「車庫に停めてあったクルマのタイヤがモップみたいになってる」という記事を見つけました。
乗用車なんですが、フロントタイヤが確かにモップのようになっていて、車両の前にはインナーフェンダーが千切れたように転がっておりました。
投稿主は悪戯と思ったようですが、投稿した画像から判断するとバーストの可能性が高いです。点検か車検に出したばかりらしいので、片減りからのベルト露出、破断からのバーストではなさそう。
タイヤはノーマルサイズとはいえ、厚みの薄い偏平タイヤを装着されております。昨日までは何とも無かったという事なので考えられる事象は……。
タイヤのタワミが気付きにくい偏平タイヤで、エアが少しずつ空気が漏れるスローパンクチャーで、低内圧のまま暫く走行。車重を支える空気圧が低いので、タイヤ本体に負荷が掛かり内部構造材が損傷、内圧に耐えきれなくなりバーストというケース。
あるいは道路の酷い段差や縁石等でタイヤサイド、日常点検では見辛いタイヤ内側の損傷で、日々の走行による疲労の蓄積から内部構造材が耐えきれなくなりバーストといったところでしょうか。
このように走行中でなくてもタイヤはバーストすることがあります。
一般的には走行中にバーストする事例がほとんどですが、意外と古傷がジワリジワリと深刻なダメージに変わりバーストする事例は少なくありません。
SNSのようなバーストの例は稀ですが、たまたま走行中ではなかっただけで、走行中のバーストも傷等が走行による外力でタイヤの空気充填圧に耐えれなくなり内部構造材の破壊によるバーストが多いです。
よく聞くドライバーさんのコメントで、「急にハネ(バースト)た!」「原因が分からない」ということをよく耳にします。
これはある意味本当で、前触れやバーストに至るような外傷等を見逃してる可能性が高いためです。
もちろん、日常点検どころか我々タイヤ屋がタイヤをホイールからバラして内部点検しても分からないダメージなどもありますので、なかなか元凶を見つけるのはむずかしいところではありますが……。