8月中旬、米ペブルビーチで行われたオークションでフェラーリ250が自動車オークション最高額の3800万ドル(約39億円)で落札された。となれば、日本車のヴィンテージカーの最高額が気になるというもの。
そこで現在、ビックリするほど価格高騰中といわれている、日本車のヴィンテージカーや稀少車で一番高いクルマはなんだろうか、調べてみた。
やはり日本車で一番高いのはトヨタ2000GTか!?
このオークション史上最高額で思い出すのは、昨年の米オークションで’67年式トヨタ2000GTが日本車史上最高額となる1億2000万円で落札されたニュース。はたして、日本でも同じような金額で販売されているのか?
トヨタ2000GTといえば、横浜にあるヨシノ自販(ビンテージカーヨシノ)社長の芳野正明さんがすぐに思い浮かんだので、さっそく取材に行ってきた。芳野社長は新車からトヨタ2000GTを所有しており、2000GT専門に実に40年、レストアの技術は日本いや世界一といわれている、その世界では著名な人物である。
本社ショールームを訪れると2階にはトヨタ2000GTとヨタハチが飾られており、工場では2台のトヨタ2000GTのレストア作業が行われていた。
さっそく、芳野社長にトヨタ2000GTの中古車価格を聞いてみた。
「去年の夏前くらいだったらウチでは3000万〜4000万円で売っていましたが、今は5000万〜7000万円です。これはノンレストアのフルオリジナル車の場合です。もちろん程度によって差が出ますが、フルレストアをしているものは1億円の値段をつけてもおかしくないと思います。国内では100台くらいあるでしょうか。トヨタ2000GTだけでなく1台でも多くの日本車のビンテージカーを蘇らせ、後世に残していきたいという思いでやっています」
担当はトヨタ2000GTの価格は2000万円くらいかなと予想していたのだが最高額1億円とは予想だにしなかった。
トヨタ2000GT ’67〜’70年
最高価格1億円
日本車で一番高いヴィンテージカーはもはや決まりといった感じだが、そのほかの車種については次から紹介しよう。
スカイラインハードトップGT‐R KPGC110型 ’73年1〜4月
最高価格2500万円
■どんなクルマ?
’73年1月、スカイライン・ハードトップ2000GT‐R(KPGC110型)が発売される。
排気ガス規制の影響もあり僅か197台が生産され、うち195台が市販されただけで生産が終了された。実際のレースに出場することもなかった悲運のクルマだ。
■中古車相場
ハコスカGT‐Rが4ドアが832台、2ドアが1197台生産されたのに比べ、ケンメリGT‐Rはわずか195台。数年前まではハコスカと同じくらいの価格だったが、ここにきて2000万円オーバーになってきており、上は2500万円くらいになっています。(ヨシノ自販、芳野社長)
フェアレディZ(S30型)’69〜’78年
最高価格2000万円(Z432R)
■どんなクルマ?
’69年11月にデビューした初代S30型フェアレディZはロングノーズ&ショートデッキの流麗なボディに安価な価格で北米を中心に大ヒットし、日本国内では8万台、世界では55万台とスポーツカーとしては空前の記録。
■中古車相場
L型2ℓエンジンを積んだS30Zは170万円くらいから販売されており、フルオリジナルで1オーナーといった極上車が350万円程度。240ZGは極上車が500万〜600万円、GT‐Rと同じS20エンジンを積んだZ432は1300万円は下らないという。もっと稀少なZ432Rは2000万円オーバー。(ヨシノ自販、芳野社長)
ホンダNSX ’90〜’05年
最高価格1500万円
■どんなクルマ?
国産スーパースポーツとして誕生したNSX。当初は3ℓV6エンジンを搭載したが、’97年のMCで、3・2ℓエンジンを搭載。そして、’01年の大規模MCでは、ヘッドライトは、リトラクタブルから固定式へと変貌。2度目のタイプRも設定された。
■中古車相場
現存するNSXは、約6000台といわれるが、モデルにより相場は大きく変わる。前期型なら400万円台でもきちんとした出物があるもよう。ただ、後期型は生産台数自体が少なく、一気に相場は跳ね上がり、’02年に復活したタイプRに至っては、新車価格の1200万円以上で取引される状態だ。
さてこうして、日本車のヴィンテージカー、稀少車の価格を調べてきたが、予想どおりというべきか、トヨタ2000GTがダントツの1億円でナンバー1。これはフルレストアしている状態だがノンレストアのフルオリジナル状態でも5000万〜7000万円だから驚きだ!
各車新車の販売から40年以上経っているものが多く、程度もさまざまで、改造車や程度があまりよくないものから、ノンレストアでメンテナンスをしっかり行ってきたオリジナル車、軽いレストア、フルレストア車まで幅があり、フルレストアとなると100万円から300万円以上が上乗せされる。
こうした状況を踏まえても高騰しているのはトヨタ2000GT、ハコスカGT-R、ケンメリGT-Rあたり。高騰の影には専門店が後世に残そうという思いでフルレストアしているので程度のいいものが増え、需要に対し供給が追いつかなくなっている状況もあるのだろう。
<今回訪ねたお店>
フレックス 旧車 横浜店
今回取材に協力していただいたのは、フレックス旧車横浜店。30年近い歴史を持つ旧車店だ。旧車を欲しい人が気軽に来られ、良心的な価格で提供するのがモットーとは部長の横田修氏。
ハコスカやZからヨタハチ、S800などをメインに商用車など幅広い旧車を取りそろえる。「旧車に乗るなら悪い部分もわかったうえで楽しまないと」と横田氏はいう。
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