7月から新たなルールで運用が始まった電動キックボード。その電動キックボードの安全性について、JAF(日本自動車連盟)がテストを行った。ヘルメットなしでは利用を控えたくなるその結果について、まとめてみた!
文/ベストカーWeb編集部、写真/JAF(日本自動車連盟)
■転倒時や衝突時の頭部の損傷を測定
始めに、7月から始まった電動キックボードの新ルールについておさらいしておこう。
これまで電動キックボードは原付とみなされていたが、7月の道交法改正により、「特定小型原付」という新しい車両区分が生まれた。
この特定小型原付と認められた車両は、16歳以上であれば無免許・ヘルメット非装着で運転ができる。基本となる走行帯は自転車専用道路や車道だが、制限速度を6kmに抑えられれば(速度表示灯による周知が必要)、歩道を走ることも可能だ。
非常に手軽に乗れる乗り物が出現したわけだが、懸念されるのが安全性。一般的に車輪が小さく、重心も高くなるため、乗り方を心得ていないと思わぬ事態を招きかねない。
そこでJAFは、電動キックボードを実際に転倒・衝突させ、乗員の頭部がどれほどの損傷を負うのかしらべてみたというわけだ。
テストは以下の3つのパターンで行われた。
・電動キックボードが縁石にひっかかったことを想定した転倒試験
・電動キックボードが歩行者・自転車と衝突した際の衝突試験
・電動キックボードが自動車と衝突した際の衝突試験
頭部の損傷を図る数値としては、HIC(Head Injury Criterion=頭部損傷基準)が用いられた。衝突や落下による脳や頭蓋骨の損傷を示す基準として長く用いられている数値で、HICが1000を超えると脳損傷の可能性、3000を超えると非常に高い確率で重篤な障害が発生するといわれる。
■縁石につまづくと深刻な事故となる可能性が!
まずは縁石による転倒試験。太さ10cmの角パイプを縁石に見立てて、そこで時速20kmで走る電動キックボードが転倒した際の頭部損傷を調べた。
縁石につまづいた電動キックボードは、前輪を軸に前転するように転倒する。乗員は上半身から投げ出されることになるため、頭部にダメージを負う確率は高くなる。
JAFのテストによれば、ヘルメットをしていた場合の乗員のHICは1238.1、ヘルメットをしていなかった場合は7766.2という値が出た。
テストではダミーを使ったため、防御動作をとらないという点は現実と異なるかもしれないが、深刻な数値が出たことは無視できない。特にヘルメットを装着していない場合のダメージは強烈で、死に至る可能性も高いと思われる。
コメント
コメントの使い方さすがJAF。こうして正規の方法での実験を、わかりやすい映像で示すことに大きな意味がある。
いくら動画で危険性を訴えても、こういう資料が無ければ馬の耳に念仏ですからね。
そして問題を認識してこうして拡散してくれるベストカーも偉いと思います