世界中で走っているクルマだが、実は国産メーカーが発売しているモデルであっても、仕向け地(北米、中国、欧州といった輸出される地域)によって細かい部分が現地の事情に合わせた仕様になっていたり、海外専用車ではその販売地域の使用環境に合わせた、ならではの仕様になっていたりする。
輸出する際は、仕向け地の法規に則った仕様になっているわけだが、今回はそんな法規とは異なる、使用環境や人種による違いも考慮してクルマは設計されているという話題をお届けしたい。
ちなみに、フランスやイタリアで販売されるクルマが黒い未塗装の樹脂バンパーを多く採用しているのは、前後のクルマをバンパーでぐいぐい押してねじ込む縦列駐車をしても、バンパーの傷が目立ちにくいからだ、という話は有名なところだろう。
文:ベストカー編集部/写真:Adobe Stock、DAIHATSU
■インド向けはクラクションの耐久性が超重要!
インドというと、交通事情がカオスなことで有名だが、そんな戦場のような道路上で重要になるのが「クラクション」だ。
あまりにインド人がクラクションを鳴らすので、騒音問題にまで発展。悪習をなくすために、ムンバイ警察が信号待ち中にクラクションを鳴らすと、信号の待ち時間が延長されるという、まるで罰ゲームのような対策を打ち出したくらいひどい。
ちなみにどれくらいクラクションを使うかと言うと、めったにクラクションを使うことない日本人は1日1~3回、に対してインド人は1時間に20回くらい……レベルが違う。そうなると心配なのがクラクションの耐久性だ。
この問題をクリアするため、自動車メーカーではインド向けの車両には専用のクラクションを採用している。日本で使っているような仕様のクラクションでは、ものの1~2週間で使い物にならなくなってしまうからだ。恐るべし……、インド人のクラクション使用頻度。
■法規だけじゃない! 人種の違いで異なるマフラーの音
日本だけでなく、諸外国でも車外騒音規制があり、クルマのマフラーの音量はそれに対応した設計がされている。そのため、仕向け地によってマフラーの音は異なる。しかし、マフラーを音を決めるのが法規だけではないことは、一般には知られていない。
なんと、人種の違いによる可聴音域の差からくる、「好み」なども反映されていたというのだ。
現在は騒音規制が厳しくなり、かなり静かなものが多くなったが、かつては純正マフラーであっても北米向けは、国内(日本)仕様と比べるとかなり音量が大きくチューニングされていた。これは、アメリカ人が好きだからという理由があったという。
以前、設計担当者から聞いた裏話的なものだが、車外騒音の数値としては規制をクリアしていたマフラーでも、実際に海外で使用されたら異音がするとクレームが来て、ナゼかと調べたら、日本人には聞こえにくい周波数の音が、人種によっては異音に聞こえることが判明し、対策を行ったケースがあったという。
クルマは、このような「好み」を反映している部品がけっこう多くあるそうだ。
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