上は走行中のデモンストレーションの写真。正真正銘の無人運転の様子だ。
「自動運転とAI」といえばクルマ関連で今、ホットなキーワードとなっているのはよく知られているのだが、その波はバイクにまで及んできているようだ。
そのなかでもBMWが研究している自律走行バイク、写真の「R1200GS」は、かなりスゴいところまで開発が進んできている。
※本稿は2019年3月のものです
文・写真:ベストカー編集部
初出:『ベストカー』 2019年4月26日号
■透明人間が乗っている!? BMW 「R1200GS」のデモ走行
2019年1月、米国ラスベガスで開催されたCES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)では、このR1200GSの自動運転デモ走行が行われ、話題を呼んだ。
昨年9月にはBMWはこのプロトタイプを発表していたのだが、もちろんBMWとして初の自動運転バイクだ。
ボディにはGPSのほか、加速や傾きなどを計測するためのいくつかのセンサーが搭載されており、エンジンと車体を制御する電子ユニットがギッシリと詰め込まれている。
このユニットにより、R1200GSの加減速や停止、コーナリングなどすべての動作が自動で行われるようになっているのだ。
その動作の精緻さたるや、ハンドルに大きな舵角がついてしまうような超低速でのターンを難なくこなすのだから驚愕させられる。さながら目に見えない透明人間がバイクを操っているかのような動きなのだ。
スタート時には人が支えないといけないが、停止時には車体右側に備えられている自動サイドスタンドが作動し、自動的に車体が傾いて停止状態になるようにセッティングされている。
BMWは四輪と二輪のほとんどの上級モデルに電子制御サスペンションを搭載しているが、このことが自動運転に関しても一定のアドバンテージを築いていることは想像に難くない。
■ホンダ ヤマハ 日本のバイクメーカーも負けていられない!
ヤマハは2017年の東京モーターショーに「MOTOROiD」(モトロイド)を出展したが、その進化版を昨年のCESと「人とくるまのテクノロジー展」で展示していた。
MOTOROiDはスタンドを上げても倒れない2輪で自立する自律バランス制御機能「AMCES」(アムセス)を採用している。MOTOROiD自身が2,000分の1秒ごとに重心の移動を検知し、振り子のようにしてバッテリー部を動かすことでバランスを取るのだという。
MOTOROiDがディープラーニングなどAIの機能を遺憾なく発揮しているのは、ヒトの顔を認証することが可能で、オーナーの指示のみに反応することだ。
一方、ホンダが同じく2017年の東京モーターショーに出展したのが「Riding Assist-e」。
電動のEVバイクで、ホンダがヒト型ロボットであるASIMOのヒューマノイドロボット研究で培われたバランス制御技術を活用したもの。フロントにモーターが内蔵されているのだが、そのアシスト機能によってハンドルが自動操作され、車体のバランスを保つようになっている。
近い将来、クルマだけでなくバイクにも当然、自動運転が導入されていく方向なのだろうが、基本はライダーの疲労を軽減する極低速時や停止時の自立制御からというのは各社で一致しているようだ。
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