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【試乗】「LMW」のトップモデル・トリシティ300は、パワフルな走りとスタンディングアシストで安心感と快適性を両立!

配信元:WEBIKE
【試乗】「LMW」のトップモデル・トリシティ300は、パワフルな走りとスタンディングアシストで安心感と快適性を両立!

 車両および車体が傾斜(リーン)して旋回する3輪以上のモビリティを、ヤマハは「LMW(Leaning Multi Wheel)」と呼んでいる。その第一弾として2014年に「トリシティ125」、第二弾として2017年に「トリシティ155」が登場。そして、2020年に追加ラインナップされた「トリシティ300」が「LMW」シリーズの最大排気量モデルで、独自の機能「スタンディングアシスト」を装備しているのが大きな特徴だ。

文:小川浩康 写真:コイズミユウコ

 
 
 

車両の自立に寄与する「スタンディングアシスト」を初採用



車体は「My Right Arm(ビジネスを支えてくれる右腕の意)」をコンセプトに、信頼できるビジネスパートナーのようなモビリティをめざしてデザインされている。画像のベージュは前モデル(新車の店頭在庫あり)のカラーで、現行モデルはホワイトとグレーの2色となる。

 「小回りのきくコミューターを求める四輪ユーザー」を想定して開発された「トリシティ125」。軽快な旋回性と安定性を両立した乗り味は、四輪ユーザーだけではなく従来からの二輪ユーザーにも支持され、高速道路走行に対応した「トリシティ155」も追加ラインナップされた。「LMW」シリーズはコミューターやスポーツスクーターとして幅広い層から人気を得たが、それに伴ない「次もLMWに乗りたい」というユーザーが増えてきたという。

 そうした要望に応え、「さらに余裕のあるパワーフィーリングを楽しめ、快適な走行を実現する」ために開発されたのが、「トリシティ300」だ。エンジンは欧州向けスポーツスクーター「XMAX300」に搭載された「BLUE COREエンジン」をベースに、心地よい加速フィーリングと快適な乗り心地の両立を図り、3次元マップを最適化。燃料噴射量と点火時期の制御を最適化し、燃費とトルク特性が向上している。「トリシティ155」と比較すると、最高出力は15PS/8000rpm→29PS/7250rpm、最大トルクは1.4kgf・m/6500rpm→3.0kgf・m/5750rpmと大幅に向上。ただし、車体サイズも大きくなり、車両重量も173kg→237kgとなっている。

 車体サイズと車両重量の増加は押し引きや停車時に車両バランスを崩す原因となるが、「トリシティ300」は車両の自立をアシストする「スタンディングアシスト」を、ヤマハ市販モデルとして初採用。この機能は、スイッチ操作によってLMW機構上部のアームに設置したディスクを電動キャリパーでロックし、リーン(傾斜)する動きを抑制して車体の自立をアシストするというもの。ただし、フロントサスペンションの伸縮機能は維持するので、押し引きで小さな段差などの乗り越えやすさも両立しているのが特徴だ。

 2023年にはエンジン性能を損なうことなく、最新の排出ガス規制に適合。2024年、次世代に伝えるための日本メーカーの製品を調査、選定する「JIDA(日本インダストリアルデザイン協会」による、「JIDAデザインミュージアムセレクションVol.26」に選定。そして、2025年7月には、ホワイトとグレーの新色を採用している。



「LMW」シリーズ共通イメージのフロントフェイスは、空気の流れを連想させる「Y字モチーフ」を採用。ヘッドライトはLED、ウインカーはバルブ。



テールランプはLED、ウインカーはバルブだが視認性は良好。ハザードも装備している。



速度、エンジン回転数、ガソリン残量などを表示する大型のフル液晶メーター。ハイビームインジケーターの左は、「スタンディングアシスト」作動を表示している。



自由度の高いライディングポジションを実現しているシート。グリップも握りやすい形状で、タンデマーの居住性もいい。



シート下収納は容量45L、最大荷重5kg。今回使用したフルフェイスヘルメット2個を収納できた。シートにはダンパー、収納スペースにはLED照明を装備。



電源のON/OFF、エンジンの始動/停止、シートと給油口のロック解除はスマートキーで操作できる。12VのDCジャックも標準装備。



一時停車時に便利なラチェットレバー式のリヤブレーキロック機能を搭載。画像はリヤブレーキをロックさせた状態。レバーの操作性も良好だ。



ラチェットレバーを操作すると画像の銀のアームが連動し、リヤブレーキをロックさせた状態を維持する。



固定式で高さ調整はできないが、ライダーに当たる走行風を軽減するスクリーンを装備。クリアで視界を妨げない形状。



欧州向けのスポーツスクーター「XMAX300」の「BLUE COREエンジン」をベースに、インジェクションセッティングを変更。市街地走行で優れた加速性能を発揮する。

 
 
 

トリシティ300の足着き性をチェック



ライダーの身長は172cm、シート高は795mmだが、足裏までしっかりと着ける。シートの前後長に余裕があり、フロア前方に足を伸ばした姿勢もとれる。



足を着きやすいようにフロア部がえぐられているが、「トリシティ125/155」より車体サイズが大きく、両足を着こうとするとつま先立ちとなる。



シート高770mmの「トリシティ155」。25mm低いので足着きは良好だが、フロア部が狭く、足を置く位置がほぼ固定される。シートの前後長に余裕があり、着座位置は変えられる。



コンパクトな車体サイズで、フロア部の幅も広すぎず、両足の足裏まで着くことができる。着座位置を変えて姿勢を変化できるが、足元に少し窮屈さを感じる。

 
 

車体の大きさは感じるが、加速はスムーズ



左右の前輪が異なる傾斜角となり、左右輪の軌道が同心円を描いてスムーズなコーナリングを実現する「LMWアッカーマン・ジオメトリー」を採用。フロントまわりの大きさと重さを感じるが、乗り慣れてくると車体のリーン(傾斜)もスムーズに行なえる。

 筆者はこれまでに「トリシティ125/155」を何度か試乗し、その乗り味に好印象を抱いていた。前2輪が一般的な2輪車以上の接地感を伝えてくれるので、コーナリングの進入で車体をリーンさせていく時にも安心感があり、それでいて直進時の安定性も高く、クルーザーのような直進安定性とスポーツモデルのようなコーナリング性を両立しているように感じられたからだ。

 その乗り味を実現している要因が「LMWアッカーマン・ジオメトリー」で、コーナリング時に左右輪が異なる傾斜角となることで左右輪の軌道が同心円を描き、スムーズな旋回性能を発揮する。ただし、前2輪は左右それぞれで独立した「片持ちテレスコピックサスペンション」を装備し、左右のサスペンションは「パラレログラムリンク」で平行が保たれ、「タイロッド」で前2輪のリーン軸と操舵軸をオフセットさせるという独自の機構が必要となっている。「LMWアッカーマン・ジオメトリー」は優れた機構である一方、重量増とフロントまわりを大きく感じさせる要因でもあると個人的には思っていた。

 「トリシティ300」の安定性の高さは予想どおりで、トルクとパワーの増強も車体がしっかりと受け止め、前2輪はワダチやギャップなどの外乱で振られにくく、直進性は良好だった。その一方、重量増とフロントまわりの大きさは予想以上で、押し引きでは重さを感じた。ただ、走り出してしまえば押し引きで感じた重さはトルクとパワーで相殺され、車体のリーンもスムーズに行なえるようになる。

 アイドリングは1500~1600rpmで、クラッチミートは約2500rpm。3000rpmからトルクが立ち上がり、4000rpmで実用的な加速力を発揮する。信号停止時など、前走車に追従して発進しようとスロットルを開けると、タコメーターは4000~5000rpmを表示している。そこまでの回転上昇は「トリシティ125/155」よりもスムーズで、さらに5000~6000rpmでの加速力と巡航速度の伸びは排気量拡大分の「速さ」をハッキリと体感できる。物理的に重量増となっているので、リーンする際のマシン挙動は「トリシティ125/155」のようにシャープではないが、これはハンドルの操作性がダルいのではなく、不意にバランスを崩しにくいように安定性を重視した、しっとりした落ち着きのあるハンドリングセッティングとしているように感じた。



片側2本のフロントフォークは、下側から「タイロッド」と2つの「パラレログラムリンク」で連結し、「LMWアッカーマン・ジオメトリー」を構成している。



リヤサスペンションは5段階のプリロード調整が可能。標準は2段目で最大(ハード)は5段目となる。タンデムの機会が多いなら、ハード寄りに変更がおすすめ。

「スタンディングアシスト」が安心感も高めてくれる



それぞれ独立して装着された「片持ちテレスコピックサスペンション」が動くことで、段差などの衝撃を吸収。左右どちらかの前輪がグリップしていれば、路面状況の影響を受けにくくなり、前輪のスリップによる転倒リスクを低減する。

 前後サスペンションは、状態のいい舗装路ではスムーズにストロークして乗り心地は快適。スピードが上がるほどマシン挙動はフラットになり、100km/h巡航でも安定性が感じられる。大きなギャップを通過する時は身体に衝撃が伝わってくることもあるが、荒れた舗装路を通過する際は衝撃のカドを吸収し、ゴツゴツした感触はない。シートの前後長に余裕があり、ライディングポジションの自由度も高く、タンデムでも窮屈さを感じない。

 ブレーキはジワッと制動力が立ち上がり、リヤブレーキをかけるとフロントブレーキも連動する「ユニファイドブレーキシステム」を装備。さらに前後輪ともにABSが装備されているが、介入度は遅めでブレーキコントロールもしやすい。

 「トリシティ300」の大きな特徴である「スタンディングアシスト」は、ハンドル左側にある「スタンディングアシストスイッチ」を1回押すと、「ピッ」というアラーム音とともにメーター内に表示灯が点灯。「パラレログラムリンク」に装備された専用キャリパーがディスクを固定することでフロントサスペンションのリーンを抑え、車体の自立をサポートする。ただし、サスペンションの伸縮機能は抑制しないので、押し引きで小さな段差を乗り越えた際は衝撃を吸収する。この「スタンディングアシスト」は(1)車速10km/h以下、(2)スロットル全閉状態、(3)エンジン回転数2000rpm以下、(4)スタンディングアシストスイッチON、(1)~(4)のすべて満たしている時のみ作動する。

 システム解除は「スタンディングアシストスイッチ」を2回押して「ピピッ」というアラーム音が鳴るか、(1)車体の電源がONで、車速が10km/hを超えている、(2)エンジン回転数が2300rpmを超えている、(3)エンジン始動状態でスロットルグリップが回されている、いずれかの条件が検知されると自動で解除される。

 信号待ちなどで停車する際にもONにできるので、車体のフラつきが抑えられ、足着き性をサポートしてくれるので安心感が得られる。直立状態をしっかりとキープしてくれるので、タンデマーが乗車する際の車体のフラつきが抑えられるのも好印象だ。さらに「スタンディングアシストスイッチ」の操作性も良好だが、スロットルを開けて自動で解除する際のタイムラグも絶妙で、スムーズな発進ができてストレスも感じない。個人的には車体を少し傾けて腰で支えることに慣れているのと、立ちの強さに違和感があり、押し引きは「スタンディングアシスト」はOFFのほうが安心だった。それでも停車時の安心感を高めてくれて、ON/OFFもスムーズに行なえるので、かなり便利な機能だと言える。

 「トリシティ300」は、「トリシティ125/155」から大きくなった車体と増えた車重もあり、ハンドリングの軽快さとコーナリングのシャープさが減り、安定性を重視したハンドリングになっているように感じた。その代わりに、トルクとパワーは増強されていて、加速力と高速域はハッキリ体感できるほど、速くなっていた。エンジンを回さなくても速さが感じられ、スクリーンの整流効果もあって高速巡行はかなり快適で、高速道路を使ったツーリングも余裕で楽しめる。「トリシティ125/155」は軽快なシティコミューターとして扱いやすかったが、「トリシティ300」はコミューターとしての利便性に、「LMWのGT」のような、快適なツーリング性能がプラスされていると思った。



ハンドル左側のスイッチボックス前方にあるのが、「スタンディングアシストスイッチ」。操作性がよく、アラーム音とメーター内の表示灯で作動状況を確認しやすい。



極低速域の車体のフラつきを抑制するので立ちゴケしにくくなり、大きな安心感が得られる。足着き性をカバーしてくれる便利な機能だ。

ヤマハトリシティ300主要諸元

・全長×全幅×全高:2250×815×1470mm
・ホイールベース:1595mm
・車重:237kg
・エンジン:水冷4ストロークSOHC4バルブ292cc単気筒
・最高出力:29PS/7250rpm
・最大トルク:3.0kgf・m/5750rpm
・燃料タンク容量:13L
・変速機:Vベルト式無段/オートマチック
・タイヤ:F=120/70-14、R=140/70-14
・価格:104万5000円

 

詳細はこちらのリンクよりご覧ください。
https://news.webike.net/motorcycle/513652/

【試乗】「LMW」のトップモデル・トリシティ300は、パワフルな走りとスタンディングアシストで安心感と快適性を両立!【画像ギャラリー】
https://news.webike.net/gallery3/513652/513675/

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