警視庁に在籍した33年間中、実に22年間もの日々を白バイに捧げた元警察官の洋吾(ようご)氏。取り締まり件数において3年連続で警視庁トップに輝き、警視総監じきじきの表彰も受けた伝説の白バイ隊員だ。洋吾氏の警察時代の悲喜こもごも、厳しくも「とほほ」な日常を綴った著書『白バイ隊員 交通取り締まり とほほ日記』も上梓(小社刊)。
今回は、見た目も仕事ぶりも同じながら、所属によって実はずいぶん違う、白バイ乗りの「働き方」についてご紹介!
文/洋吾、写真/Adobestock(メイン写真=sunasuna3rd@Adobestock ※画像はイメージです)、ベストカー編集部
■パトロールのナワバリ 勤務時間……勤務体制は所属でがらっと変わる
一般の人にとっては、交通機動隊(以下交機)の白バイ隊員も各警察署に所属する白バイ隊員(以下所轄)も、同じにしか見えないだろう。
見た目も仕事ぶりも同じであり、違いなどさっぱりわからないと思うが、勤務する側からするとこの所属の違いはけっこう大きい。
つまり1日の過ごし方や勤務体制がまるで違ってくるのだ。
簡単にいえば、団体の交機、個人の所轄という具合だ。
交機は小隊単位での活動が基本になるが、対する所轄のほうは、白バイ隊員の数が少ないため、個人での活動が中心になる。
所轄の場合、平日のおおまかな出勤時間は、早番(早出)が7時00分か7時30分出勤、 普通番(普通出)が8時30分出勤、遅番(遅出)が9時30分出勤となる。
交機と違って所轄の場合は、個人、個人バラバラ出勤が基本で、毎日勤(毎日が昼間帯勤務)となる。
つまり交機のような4日に1度の泊まり勤務はない。ただし、月に2日ほど、本部指定の夜間飲酒検問日*があって、その日に当たると午後から出勤し(13時か13時半頃)、夜勤につく。
この時、所轄の白バイ隊員全員が同じ日に夜勤に就くことはない。なぜかというと、翌日の昼間帯の白バイ要員を残しておくためなのだ。
また警ら(パトロール)の縄張りも交機と所轄では大きく違う。
交機は、複数の所轄管内をまたぐ感じで行動範囲が広いが、所轄は基本的に自分の所轄内のみとなり非常に狭いのだ。
特に都心のビル街が中心の狭い所轄だと、信号がゴチャゴチャ、渋滞頻発とあって、非常に走りにくい。
そこで実際は、他署管内へと遠征となるのだけど、なるべくこっそりお邪魔する。
万が一、そこの縄張り主の白バイに見つかったら、すみやかに離脱するのが白バイ乗りたちの礼儀である。
警ら時間については、基本的に交機と同じパターンとなる。
午前、午後それぞれ2時間半ほどの活動となり、お昼には署に戻ってランチタイム、夕方は時間になったらさっさと帰る。そして(違反)切符整理は適宜空いた時間に済ますのだ。
ランチは署内の一般業者が運営している署員食堂や出前など、各自次第である。署に戻らず出先の交番内で食べてもいい。
団体行動の交機と違って、所轄の白バイは、なにごとも個人で動け、自由にできるのだ。
ただし、月例訓練*といって所轄白バイにとって欠席が許されない重要な必修行事が月に1日あった。
コメント
コメントの使い方