■ピーポくんの「中の人」になったりも!? 所轄白バイ乗りの意外な仕事
さて、肝心のノルマだけど、交機のほうは小隊ノルマで、日々アップアップなのに対して、所轄ははっきりとしたノルマはない。
ただし、所轄の売上げの数字は毎月本部へ送られ、所轄同士で順位がつけられるので、それなりの仕事をしないと白バイに乗らせてもらえなくなる。
とはいえ、所轄によっては、どうしようもないゴンゾウ*白バイ乗りもいる。他に乗り手がいないから、こうなってしまうわけだが……。
所轄の白バイ隊員は前述したように、その警察署の一員であるので、他の課の仕事を優先して取り組む場合もある。
たとえば捜査課に協力して私服勤務員になることも。所轄では同じ署員同士、係や課が違っても、要請があれば協力しあうのだ。
私服勤務の内容は、おもに管内企業の株主総会密行警戒や選挙時の投票所警戒、金融機関での振り込み詐欺警戒などだ。
また都心の警察署などでは、警衛警護の警備事案も頻繁にある。
警備係の指揮の下、要人の車列通過時の警戒警備にあたるのだ。交機の隊員ならば、白バイで車列を先導することもあるが、所轄の交通執行係だと交差点での信号機操作*員となる。
「今日は、定時に帰れっかなぁ〜」なんて交差点の隅っこでぼやいたりしながら、裏方に徹するのだ。
また、自署管内で事件が発生した場合は、もっと大変である。
緊急配備*がかかろうものなら、その日の勤務終了間際の時間であっても、犯人探しのため即座に署外活動に出なくてはならないのだ。
交機の時なら「うちら関係ありません、お疲れさまでした」と、とっとと解散できるのだが、所轄ではそうはいかない。
とにかく取り締まり以外に雑用が多いのが、所轄の白バイ乗りなのだ。特に生え抜きの若い白バイ乗務員は、いつも係の使いっぱしり要員である。
時にはあのピーポくんの着ぐるみの中の人にもなる。
そんなわけで、1日でも早い交機入りを願っていたものだ。
* * *
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●洋吾(ようご):元警視庁の警察官。交通機動隊や警察署の白バイ隊員を長く務める。運転技術はいまいち、ドジでオッチョコチョイだが、3年連続で取り締まり件数トップの実績もあり。ブログ「脱公務員の部屋・元白バイ乗り親父の話」を公開中。2022年10月『白バイ隊員 交通取り締まり とほほ日記』を上梓。同書のイラストは同ブログのマスコットキャラクター「ニャンコ白バイ隊」。
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