どうする? どうなる?? 次期ハイエース登場で「新型を待つか現行型を買っておくべきか」問題が発生

どうする? どうなる?? 次期ハイエース登場で「新型を待つか現行型を買っておくべきか」問題が発生

 日本の働くクルマの代表格であるトヨタ「ハイエース」。運搬(貨物)車としてだけでなく、職人さんの工事車両として、また、一般ユーザーもおしゃれなカスタムを施して楽しむなど、国内の自動車市場においてなくてはならないクルマのひとつだが、2023年10月に開催されたジャパンモビリティショー2023においてトヨタ車体が「グローバル ハイエース BEV コンセプト」を出展するなど、そろそろ新型が登場するのでは、と期待されている。

 耐久性が高いハイエースだけに、「そろそろ買い換えようと思ったけど、新型が出るなら待とうかな…」と考えているユーザーも少なくないと思われるが、はたして、ハイエースを買うならば、新型を待つべきか!? それとも現行型を買っておくべきなのか!??

文:吉川賢一
写真:TOYOTA、エムスリープロダクション、日本自動車工業会

【画像ギャラリー】次期型ハイエースはこうなる!?? ジャパンモビリティショー2023に出展された「グローバルハイエースBEVコンセプト」(13枚)画像ギャラリー

実用化が進む商用BEV

 ジャパンモビリティショー2023で出展された「グローバル ハイエース BEV コンセプト」は、海外向けラージサイズバンのH300系ハイエースをベースとしたB(バッテリー)EVだ。乗車定員は1名で、広大でフラットな荷室エリアのフロア下には、走行用バッテリーが敷き詰められている。

 商用車のBEVといえば、昨今は、三菱のミニキャブEVやホンダN-VAN eなど、商用BEVが公道を走行している姿をよく見かけるようになった。2023年10月には、ヤマト運輸の京都 八幡営業所が32台全ての集配車両をBEV化。太陽光発電設備と蓄電池を利用しつつ、関西電力グループの電力平準化システムなどを活用し、夜間の一斉充電による電力使用ピークの偏りを緩和するなどの対策が施されたという。

 燃料給油にガソリンスタンドへ出向く手間が必要なく、自社の基地局に戻って充電器に繋げば、朝までに充電完了。その電力も、昼間の時間に事務所の屋根のソーラー発電で蓄電池に蓄えた電力などで賄うことができれば、誰もが夢見る「持続可能な社会」となる。

ただ、採用できるのは限られた事業者のみ

 ただ、このヤマト運輸の事例は「限られた区域を巡回走行するような配達業」であることと、「(事業規模が大きいことから)大規模な投資が可能」だったことで実現できたこと。同じ商用車でも、小規模な事業者や個人利用も多いハイエースで、BEVが登場したとしても、BEVを選ぶことができるユーザーはそれほど多くないと思われる。

 ハイエースがBEVとなることによるメリットとして考えられるのは、走行中の排ガスや騒音が無くなること、重たい荷物を積んでいても力強い加速ができること。またガソリン車と比べてメンテナンス項目が減ることも嬉しいポイントだ。

 しかしながら、事業所もしくは自宅に普通充電設備を用意する必要があるし、用意できない場合は、一般車と同じ充電ステーションを利用することになり、混雑する夕方以降となると、充電待ちの列に毎日並ばなくてはならない、となることも考えられる。5分のチャージ時間で再び500kmは走行できるガソリン車と違い、BEVではそれなりの充電時間を確保しないとならず、1台30分の急速充電だとしても、2台、3台と並べば1時間待ち、2時間待ちは当たり前となる。

 それでも限られた区域だけに使うのなら何とかなるのかもしれないが、あちこちへ出かける必要がある使われ方の場合、充電設備が十分でない地域での走行において、かなり不安がある。事前に調べておいても、充電設備のなかには18時で営業終了となっていたり、土日は休み、という箇所もあり、やっとの思いでたどり着いても、(それらを見落としていて)アウト…という事態にもなりかねない(実際、筆者もあてにしていた充電スポットが閉まっていて、冷や汗をかいて次の充電スポットを探し回った経験がある)。

ハイエースのような商用バンは、平均で年間3万キロから4万キロ、なかには5年間で30万キロを超える距離を走ることもある。それをBEVに置き換えるのは時期尚早かもしれない
ハイエースのような商用バンは、平均で年間3万キロから4万キロ、なかには5年間で30万キロを超える距離を走ることもある。それをBEVに置き換えるのは時期尚早かもしれない

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