【寝不足で運てするのは飲酒運転と同じ!?】睡魔撃退運転講座

【寝不足で運てするのは飲酒運転と同じ!?】睡魔撃退運転講座

 睡眠研究のプロ、日本医師会、日本睡眠学会の坪田聡先生による「睡魔撃退のA to Z」。 居眠り運転を起こしやすい年齢層や多彩な居眠り対策など、これを読めば運転中の睡魔からサヨナラできる!

講座1 現代病ともいえる睡眠不足。居眠り運転は最悪の結果を招く!

睡眠不足増加と最適睡眠を知る

 シートベルト着用率の向上などで、交通事故による死者は’70年の1万6765人に対し、’14年は4113人と44年間で約四分の一に激減。いい傾向ではあるが、死亡事故は人身事故全体から見ると1・2%。が、居眠り事故に占める死亡事故の割合は5・9%と約5倍にもなる(※いずれも警察庁データ)。運転中の居眠りは最悪の結果を引き起こす確率が高いということだ。

 「睡眠不足を自覚していない人が急増しています」と話す坪田先生は次のような興味深い話をしてくれた。厚生労働省が定める〝理想的睡眠時間〟は6〜8時間だが、睡眠というものは人それぞれで個性的。

 例えば、「6時間寝ているから大丈夫」といっても、その人が自分に必要な睡眠時間をとっているのか、自分の睡眠不足を自覚していないのではないか、というケースが多いという。2時間睡眠時間を削れば、飲酒運転と同じような不安定な運転になることもあるので、充分気をつけてほしいと付け加えてくれた。

  •  そして、「睡眠不足を自覚していない人」の運転中の兆候は、
  • ❶信号や標識を見逃す
  • ❷まっすぐ走れない
  • ❸イライラしたり落ち着きがなくなる。
  • ……あなたは大丈夫ですか?

 坪田 聡…日本医師会、日本睡眠学会などに所属。睡眠を専門分野とし、快眠グッズや気になるテーマの研究発表など、睡眠に関連する最新情報を豊富に提供している


講座2 研究とデータで、居眠り事故を起こしやすい人の像や天気も判明!

居眠りしやすいタイプとは?

 さらに興味深い話を続けよう。坪田先生の研究と交通事故の状況分析から、居眠り運転を起こしやすい人(群)や時間帯がわかってきたという。


  • まず居眠り運転を起こしやすい群(グループ)は、
  • ❶25歳以下の男性
  • ❷シフト制勤務で夜の労働時間が長い人
  • ❸長距離トラックなどの運転手
  • ❹睡眠時無呼吸症候群なのに自覚していない人
  • ❺徹夜や海外出張が多く、体内時計が乱れている人など。
  • この5つのなかで2つ以上該当していたら要注意だ。

  •  居眠り運転を起こしやすい年齢層別では、
  • 1番:20〜24歳
  • 2番:30〜39歳
  • 3番:50〜59歳というデータがある。

■意外にも雨の日は居眠り事故は起こりにくい

 次は時間帯。居眠り運転を起こしやすい時間帯は、午前3〜4時と午後3〜4時。午前も午後も同じ時間帯で覚えやすい。ヒトの眠気のリズムではこの2つの時間帯に眠気が強くなる。普段は寝ている夜中にクルマの運転をするということは、それだけでリスクが高くなるのは、このデータが示すとおり。充分に注意したいものである。

 さらに興味深いデータは天気により事故発生件数が違うこと。居眠り事故は意外にも曇りの日に発生件数が高くなる。晴れた日は強い日差しが眠気を減らし、雨の日は緊張感が高まり、眠気を感じにくいのが要因とされるという。

■こんな時は運転ストップ! 危険兆候の現われ……

 疲れた時の運転中に一瞬でも記憶が飛ぶことはないですか? それはかなりの危険兆候で、すぐにクルマを止め休む必要性がある、と坪田先生。

 そうなる前に次の兆候があれば、早めに運転をやめ、休んだほうがいいと指摘を受けた。


  • 【こんな時はクルマを停止】
  • ■自分自身がぼんやりしていることに気づく
  • ■信号や道路標識、高速道路の出口を見落とす
  • ■最後の数㎞のことが思い出せない
  • ■頭が重くなる、下がる
  • ■瞬きの回数が増える
  • ■たびたびアクビをする
  • ■クルマがまっすぐ走らない
  • ■車間距離がつまる
  • ■落ち着きがなくなる
  • ……充分気をつけたいものだ。
猫
柴犬

講座3 概況がわかったところで、居眠り運転防止策の具体的中身を!

 防止策① 仮眠&ストレッチ

 いよいよ「居眠り運転防止策」の具体的部分に入ろう。坪田先生にたっぷり教えてもらった。

 ■眠くなったらとにかく仮眠をとるのが最善策

寝る2

 我慢せずに安全な場所にクルマを止め、仮眠するのが一番。ただし仮眠にも「理想的仮眠」がある。若い人なら10〜20分、50代以上は30分ほどがいい。仮眠なので、まだ眠りが浅いうちに起きたほうがいいということだ。仮に眠りが深い時に起きると眠気がなかなかとれず、そのまま運転再開すると再び眠くなるので危険。

 あるいは「眠りの一周期」、つまり深い眠りに入り、そして浅い眠りになる……という一般的に1時間30分とされる、このタイミングで起きるのもいい(世代は関係ない)。また、その仮眠の際はシートはフルフラットにせず、30度ほどの角度に倒して寝るのが理想的だ。

■ストレッチもかなり効果的

 運転中、眠気を感じたら安全な場所や駐車場、高速のSA/PAなどにクルマを止め、外へ出てストレッチをするのもいい。筋肉を動かすと体の血液の循環がよくなり、それが脳の血液量を増加させ、脳細胞を活性化させる。こう聞いただけで活力が湧き、目が冴えてきた気になるから不思議だ。

 具体的なストレッチの基本的考えは「運転姿勢と逆のカタチに腕や足などを伸ばす」こと。運転中は腕や足は曲がっているので、それを伸ばすということだ。また、腕を伸ばすことは一般道で信号待ちの時もできるので、やってみよう。

 また、高速道路で次のSA/PAまで距離がある場合、運転したままで簡単な筋トレもでき、それも眠気防止効果がある。例えば、①ハンドルを握る両手をぎゅっと握り締めることを繰り返す、②ヘソの下の下腹部にグッと力を入れる(いきむような感じ)、など。

■明るい光を浴びる

 光は体内時計を調整したり、睡眠ホルモン・メラニンを減らすなどして眠気を抑える効果がある。500ルクス以上の光でメラニンの分泌が減るので、夜ならSA/PAの駐車場にある強い光の照明やコンビニの看板の光を数分間浴びてみるのも効果的。これは意外な対策だ。寒くない春夏に試してみよう。

講座4 さらに居眠り運転防止策の具体的部分を紹介。お試しあれ!

防止策② 会話&カフェイン

 ■リズムある運動をする

 運転中に踊れというわけではなく、ガムを噛んだり曲を歌うなどリズム運動を行うことで脳を目覚めさせるセロトニン神経が活性化するという。

 ■同乗者と会話をする

 人と会話をするのは「社会的覚醒ファクター」といわれるほど眠気には有効。でも、携帯電話で話をするのはもちろん×。

 ■カフェインを摂る

 基本中の基本だが、やはり飲み物ではカフェインが含まれる飲料が効果が高い。カフェインは起きている間、脳に溜まってきた睡眠物質の働きをブロックする役割がある。カフェインを摂ってから効果が出るまで15〜30分ほどかかるので、早めに摂ることが大事。

 紅茶や日本茶にもカフェインは含まれるので、意外にもコーヒーより眠気には効くのでは? と思ったが、坪田先生のおすすめはやはりコーヒー。「温かいコーヒーは20〜30分後にカフェインが効き、腸管での吸収もいいので早く効きますね」とのこと。ちなみにアイスコーヒーは1時間後ほどに効くという。

 また、炭酸飲料も炭酸の刺激がいいが、顔を洗うのと同じように効果は長続きしない。強いていえばカフェインを含むコーラがおすすめとのこと。

■甘いものを食べる

ケーキ

 意外にも甘いものが効果的だという。「脳の唯一の栄養源はブドウ糖。おやつはもともと昼の眠気を飛ばすために食べるもので、だからヒトが睡魔に襲われる時間帯の〝午後3時におやつ〟が定着したのです。甘い食べ物は血糖値を上げ、脳を元気にする働きがあります」と、坪田先生は効果を説明する。

■ローズマリーなどの香り

 次は香りの効果。ローズマリーやペパーミント、ユーカリの香りには眠気を減らす働きが。それらを車内に置くか、アロマの入ったガムもあるので睡魔がやってきたら噛んでみよう。

■手のツボを押す

 眠気を覚ますツボも全身にある。ここでは手軽にできる手のツボを紹介。眠くなってきたら駐車場などにクルマを止め、強めに押そう。

次ページは : ★居眠り運転防止策のまとめ★

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