三重県松阪市の「松阪自動車工業」が製作したいすゞギガCYZ系ベースの材木運搬車は、狭く曲がりくねって路面も険しい山道での過酷な使い方でもへこたれない「強いボディ」が持ち味!! 長年のノウハウを活かしたフルオーダーならではの特殊な荷台構造にも注目だ!!
文・写真/トラックマガジン「フルロード」編集部
※2023年12月発売「フルロード」第51号より
フルオーダーの材木運搬車
松阪自動車工業は1943年創業の架装メーカーだ。中大型トラックの荷台製造を専門とし、過酷な使われ方をする材木運搬車の製造で培ったノウハウを活かした「強いボディ」に強みを持つ。
得意ジャンルは特殊仕様の平ボディ、材木運搬車、チップ運搬車などで、東海/近畿エリアを中心に根強いリピーターが存在する。今回紹介するのは、浜松の顧客の依頼で製作された、フルオーダーの材木運搬車だ。
ユーザーの山本商店は、林業の盛んな静岡県浜松市を拠点とする運送会社で、山で伐採された材木を、山中に設けられた集木場からふもとの市場、市場から各地の製材所へと運ぶ業務がメイン。
松阪自工製の材木運搬車の導入は前回の車両更新からで、今回導入する車両は前回導入車両の基本仕様をベースとしつつ、現場での作業効率を高めるためグラップルクレーンの搭載位置を前から後に移設したのがポイント。
狭く曲がりくねって路面も険しい山道が主戦場となるだけに、車両の取り回しや耐久性などにはかなりこだわってオーダーしたという。
こだわり満載の荷台構造
ベース車両はいすゞギガCYZ系3軸高床6×4総輪リーフサスシャシーのフルキャブ/標準ルーフ仕様(GVW22t級)。山道での取り回しを良くするため、あらかじめシャシーメーカー側でホイールベースとリアオーバーハングを短くする改造を行なっている。
サブフレームはスチール製で、チャンネル材に補強材を組み合わせた縦根太に、板厚の異なる角パイプ材の横根太を細かいピッチで組み合わせる。耐久性重視のため、荷台床面地上高を低くする「低床化工作」は行なっていないそうだ。
リアオーバーハング部にフレーム補強を施したうえで搭載されるグラップルクレーンはエプシロン(販売元:古河ユニック)製。キャブバック搭載に比べて作業半径が広がり、作業効率アップをもたらすという。
2方開のアオリは松阪自工オリジナルで、特注の強化型アルミブロックにアルミ縞板と亜鉛鉄板の補強材を装着したもの。アルミ縞板は作業時に足を滑らせにくくする効果、亜鉛鉄板は補強およびフォークリフト作業時にリフトの爪でアオリが傷付くのを防ぐ効果を狙ったものだ。
床はヒノキ材に亜鉛鉄板を組み合わせた耐蝕仕様。荷台内寸は内法長5550mm×内法幅2350mmだ。収納は前側鳥居に荷台シート用ラック、後ろ側鳥居にトビ(林業で使う丸太を引き寄せるための道具)用ラックを備えるほか、右ホイールベース間にステンレス製道具箱を搭載する。
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