ハイブリッドシステムを広く認知させたのはパイオニアであるトヨタプリウスの功績といえる。しかし、高額だったハイブリッド車をエントリーモデルで169万円という誰にも手が届く価格に設定し、普及に貢献したのは、2011年12月に登場したハイブリッド専用コンパクトカーのトヨタアクアであろう。
一般社団法人日本自動車販売協会連合会が発表する登録車の新車登録台数ランキングにおいて、兄貴分であるプリウスを抑えて2013年~2015年にかけて3年連続で年間の新車登録台数第1位に輝いた。
そして登場から8年が経過した現在でも常にランキングのベスト5をキープするほどのベストセラーモデルとなっている。ここでは、ハイブリッドコンパクトカーの人気モデルであるアクアの中古車事情について紹介する。
文:萩原文博
■登場8年目だが年々着実に進化
アクアは2011年に登場して以降、さまざまなアップーデートが加えられて商品力が向上している。紹介するほかにも改良は行われているが、大きなトピックスだけをピックアップする。
まず、2013年11月に行われた一部改良だ。この改良では、ハイブリッドシステムの効率化が図られて、JC08モード燃費で37.0km/Lを実現。また、サスペンションにチューニングを施し乗り心地を向上。
2014年12月には初のマイナーチェンジを行い、内外装のデザイン変更をはじめ、空力性能の向上、スポット溶接の増しウチによるボディ剛性の控除、サスペンションのチューニングにより高い操縦安定性と快適性を実現した。また、クロスオーバーモデルの「X-アーバン」を設定。
2015年11月の一部改良では、衝突回避支援型プリクラッシュセーフティ、レーンディパーチャーアラート、オートマチックハイビームの3つの機能がセットとなった衝突回避支援パッケージ「トヨタセーフティセンスC」を標準装備としている。
2017年6月には2度目のマイナーチェンジを行い、内外装の変更をはじめ、走行性能こうじょうのため、ボディ剛性の強化が図られている。さらに、シリーズ初となる3ナンバーボディのクロスオーバーを設定。従来のXアーバンよりもクロスオーバーSUVらしいスタイリングとなった。
そして2018年の一部改良では、衝突支援パッケージの「トヨタセーフティセンスC」の機能の一つであるプリクラッシュセーフティの検知対象に昼間の歩行者が追加され、名称が「トヨタセーフティセンス」に変更。さらにペダルの踏み間違いによる誤操作を抑制する「インテリジェントクリアランスソナー」をオプション設定するなど安全性の向上が図られている。
■流通台数は増加しているが初期モデルが多い
アクアの中古車について調べてみると、現在アクアの中古車の流通台数は約6700台で、3カ月前の約5500台から右肩上がりで増加している。そして平均相場は3カ月前が約106万円で、今月は104万円と緩やかな値落ち傾向となっている。また中古車の価格帯はロングセラーモデルということで、約19~約253万円と非常に幅広いのが特徴だ。
人気車ということもあり流通台数の多いアクアの中古車を年式別分布で見てみると、非常に興味深いことが見えてきた。流通台数が最も多いのは新型車として登場した2011~2013年の初期モデル。
しかし続いて多いのは、2015~2017年式でトヨタセーフティセンスCを装備した一部改良後のモデルとなっているのだ。やはり、安全装備の充実は人気モデルであるアクアの魅力を再び輝かせたということが言える。
2011~2013年式の初期モデルは平均価格76万円付近で横這いとなっているが、安全装備が充実した2015~2017年式の平均価格は3カ月前の136万円から今月は130万円と約6万円も値落ちし、現在も継続中だ。流通台数も約1200台と豊富で、アクアの中古車の狙い目はこの年式といえる。
この年式に絞ってグレードを見てみると、最も多いのが1.5Sで、続いて特別仕様車の1.5Sスタイルブックそして1.5Gが続く。この中でオススメしたいのは国内累計販売台数100万台を達成して設定された特別仕様車のSスタイルブックだ。外観にはアウトサイドドアハンドルとバックドアガーニッシュにメッキ加飾を施し、内装は運転席アームレストの追加やパワーウィンドウスイッチの周りにピアノブラック加飾を追加するなど上質さを追従。
また、便利なスマートエントリーパッケージとトヨタセーフティセンスCを装備しており、安全性、快適性ともに満足できるはずだ。100万円以下での購入はまだ厳しいが、130万円付近では走行距離も少なく、ナビゲーションを装備したクルマが多数見つけることができるため、お得感が高くなっている。
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