明智光秀しかり、ブルータスしかり、刺客は意外と近くに潜んでいるもの。クルマの世界でも同様だ。ここでは2023年11月登場のトヨタ クラウンセダンと、同門でありながらライバル関係となりそうなトヨタ MIRAIを比較する!!
※本稿は2024年2月のものです
文/鈴木直也、写真/TOYOTA、撮影/大西 靖
初出:『ベストカー』2024年3月10日号
■ここが同門対決のポイント
・MIRAIをベースに開発されたクラウンセダン
・クラウンセダンにも燃料電池EVが設定される
・クラウンセダンとMIRAI、何が違いのポイントだ?
・乗り心地はどっちがいいんだ?
■MIRAIをベースとして登場したクラウンセダン
MIRAIというクルマは、その名のとおりトヨタの未来戦略を体現するクルマ。水素で走るFCEVというだけで凄いのに、アドバンスドドライブという限りなくレベル3に近いADASまで用意されている。
今回の取材でも、首都高速湾岸線でハンズオフドライブを堪能したけど、そういったハイテクのショーケースとしての意味を与えられたクルマといっていい。
で、今回のクラウンシリーズで驚いたのは、そんなハイテクショーケースのMIRAIをベースとしてクラウンセダンが作られたこと。
クラウンセダンといえば日本を代表する高級車で、官公庁や社用車などショーファードリブンの需要も多い。ハイテクショーケースではなく“実需”の部分にもFCEVが進出しているところに、トヨタのマルチパスウェイ戦略の凄みを感じるわけだ。
で、この2台の乗り比べだが、運転するならアドバンスドドライブの魅力もあってMIRAIを選びたいが、後席に乗せられるなら圧倒的にクラウンセダンが快適。80mm伸びたホイールベースで後席スペース余裕がダンチだし、乗り心地もクラウンセダンのほうが好ましい。
唯一悔しいのは、クラウンにアドバンスドドライブが用意されていないこと。ドライバーズカーとしてクラウンセダンを検討しているなら、この装備のあるなしはけっこう大きなポイントになると思う。検討中とは思うけれど、早期の対応をお願いしたいところです。
■「ここがいい」「ここがイマイチ」
●クラウンセダン
クラウンセダンの美点はソフトでしなやかな乗り心地。ドライブモードにも「リア・コンフォート」というモードが用意されていて、これを選んで後席でまったりするのが醍醐味。
不満なところは、やはりアドバンスドドライブの設定がないこと。あれを一度味わっちゃうと、誰もが高級車には必須の装備と感じるはず。
●MIRAI
試乗車はサイドとリアにLiDARを追加してアップグレードされたアドバンスドドライブを装備。これで首都高をハンズフリードライブしている時の未来感こそMIRAIの醍醐味だと思う。
それに対し、ナビなどのインフォテイメントがアップデートされていないのがちょっと不満。こういう部分も常に最新でいてほしいクルマです。
●クラウンセダン(Z・燃料電池車)主要諸元
・全長×全幅×全高:5030×1890×1475mm
・ホイールベース:3000mm
・車量重量:2000kg
・最小回転半径:5.9m
・動力:FCシステム
・FCスタック最高出力:174ps
・モーター最高出力:182ps/6940rpm
・モーター最大トルク:30.6kgm/0-3267rpm
・WLTCモード燃費:148km/kg
・価格:830万円
●ミライ(Z“Advanced Drive”)主要諸元
・全長×全幅×全高:4975×1885×1470mm
・ホイールベース:2920mm
・車量重量:1970kg
・最小回転半径:5.8m
・動力:FCシステム
・FCスタック最高出力:174ps
・モーター最高出力:182ps/6940rpm
・モーター最大トルク:30.6kgm/0-3267rpm
・WLTCモード燃費:146km/kg
・価格:861万円
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