2023年12月に発表され、2024年3月より販売開始のコンパクトSUV「WR-V」。1.5L NAエンジンにパワートレーンを絞ったことで209万8800円からという価格を実現。SUVらしいガッチリしたフォルムも魅力的だ。
※本稿は2024年2月のものです
TEXT&判定/渡辺陽一郎、写真/HONDA
初出:『ベストカー』2024年3月10日号
■ノーマルエンジンを設定する先代ヴェゼルの後継
先代ヴェゼルは、210万~250万円の価格帯に、1.5Lノーマルガソリンエンジン車を3グレード用意した。ところが現行型のノーマルエンジン車は1グレードで、ハイブリッドのe:HEVが存在感を強めた。
ノーマルガソリン車の販売比率は10%以下で、売れ筋価格帯も高まり、先代型ユーザーがヤリスクロスなどの他社製品へ乗り換えるようになった。
そこでWR-Vが投入された。実質的にノーマルエンジンを搭載する先代ヴェゼルの後継車種で、価格帯も210万~250万円前後を踏襲する。全長が4400mmを下まわるSUVでは、居住空間と荷室が広く価格も求めやすい。フロントマスクは存在感の強いデザインで人気を高めそうだ。
ライバル車にはヤリスクロスがある。2023年には1カ月平均で約8400台が登録され(ヤリスとGRヤリスを除く)、国内の最多販売SUVになった。2WDのノーマルエンジン車の価格帯は、190万~250万円でWR-Vとほぼ同じだ。
■WR-Vは「待ち」か?
ただし車内の広さは異なる。WR-Vに身長170cmの大人4名が乗車した時、後席に座る乗員の膝先空間は握りコブシ2つ半だが、ヤリスクロスは1つ半に留まる。ヤリスクロスは外観も都会的で、WR-Vのアウトドア感覚は乏しい。
価格帯は同程度でも、デザインと機能では競争しにくく、WR-Vを待ちたい。ホンダの狙いもそこにある。
ボディサイズではCX-30もライバル車だが価格帯が違う。パワーユニットはマイルドハイブリッドとクリーンディーゼルターボで、最も安価なグレードでも250万円を超える。
しかも前席を優先させ、全高は立体駐車場を利用しやすい1540mmだから、後席の広さはヤリスクロスと同程度だ。したがってWR-Vを待ちたい。
■このクルマと比較検討
●CX-30と比較
2LNAと1.8Lディーゼルターボを搭載するCX-30は、WR-Vよりもひとクラス上のプレミアムコンパクトSUV。ボトム価格は255万6400円。
●ヤリスクロスと比較
WR-Vよりもひと回りコンパクトな車体のヤリスクロス。1.5L NAだと価格は190万7000円からという設定。ハイブリッドの設定もある。
●WR-Vは待ち? 待たない?
・待ち85%(%が多いほどニューモデルを待ちたい)
価格では同等ながら、ライバルより広く快適な後席が魅力的だ。
●WR-V主要諸元
・全長×全幅×全高:4325×1790×1650mm
・ホイールベース:2650mm
・車量重量:1230kg
・エンジン:直4DOHC
・排気量:1.5L
・エンジン最高出力:118ps
・エンジン最大トルク:14.5kgm
・トランスミッション:CVT
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