テスラ、BYDを始め世界で急速に存在感を見せている電気自動車。「エコ」だからという理由でその数をどんどん増やしていたが、最近ではハイブリッドの方が売れていることが判明した。信じられない事実ではあるが、いったい何故電気自動車は失速したのか? その理由を探っていこう。
※本稿は2024年3月のものです
文/角田伸幸、写真/ジェネシス ほか
初出:『ベストカー』2024年4月10日号
■EV慎重派が正解だった? 世界各国でBEVが失速
一時的とはいえ、BEVに対するハイブリッドの優勢が明らかになってきた。
この傾向は、2023年を通じた各国の自動車販売から浮き彫りになったもの。たとえばEV普及の牽引役だったEU。2023年の自動車販売は約1055万台で、BEVも154万台と数字を伸ばした。前年比でいうと13.9%増だ。
いっぽうプリウスなどのハイブリッド車(PHEVは除く)。こちらはEV以上の伸びを見せ、272万台が売れた。対前年比でいうと29.5%増である。
EUにおけるEVの売れ行きは、2023年後半の失速が大きかった。
これについてはさまざま分析がなされているが、流行に敏感なアーリーアダプター層へEVが行き渡ってしまったこと、各国の補助金が減額傾向にあることなどが理由とされている。
■ヨーロッパ以外でのBEV販売は
この傾向は、アメリカでも中国でも変わらない。実際にアメリカでは、GMやフォードがEVの長期在庫を抱えるようになり、GMディーラーがGM本体に対し、早急にハイブリッド車を投入するよう直訴まで行ったほど。
一方、中国ではBYDの躍進が話題だが、それは決してBEVだけがリードしているわけではなく、半分は使い勝手のいいプラグインハイブリッド車が担っていることも頭に入れておく必要がある。
とにかくハイブリッドの復権は、各社の電動化戦略、ひいては各国の脱炭素のロードマップに影響を及ぼすことは必至だ。なかでもアメリカは、年末の大統領選でトランプ大統領が勝利する可能性があるだけに、内燃機関の延命が現実味を帯びてきた。今後のEVの巻き返しに注目だ。
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