いよいよ自転車にも反則金制度が導入される。2024年3月5日、クルマでの交通違反で導入されている、いわゆる青切符制度の導入などを規定した道路交通法の改正案が、閣議決定された。改正案は2024年1月26日から6月23日までの通常国会に提出され、成立すれば2026年までに施行されることになる。
自転車がからむ交通事故が増えていることを受けて導入となった、自転車の青切符制度。今回閣議決定された内容を振り返りつつ、クルマ側が気を付けることについて考えてみよう。
文:エムスリープロダクション
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これまで軽車両は除外されていた青切符制度
まずは交通反則通告制度(いわゆる青切符)について振り返ろう。交通反則通告制度とは、運転者が一定の反則行為(比較的軽微な違反)をした場合に、一定期間内に定められた反則金を納付することで、公訴を受けることなく事件が処理される制度のこと。警察官から反則行為を告知されると、交通反則告知書、いわゆる青切符と仮納付書が渡され、それをもって、金融機関で納付期限内に反則金を納付すれば、刑罰が科されることを免れることができる。
この交通反則通告制度は、これまでは、(自転車などの)軽車両を除く自動車の運転者の違反行為に適用されていたが、このたび、自転車の運転者に対しても導入されることとなったわけだ。
信号無視や一時不停止などのほか、傘差し運転なども
今回、導入が閣議決定された青切符の対象となる違反行為は、クルマやバイクにおいても反則行為とされている信号無視や通行区分違反、一時不停止といった交通事故の原因になりうる悪質性・危険性・迷惑性の高い違反行為を中心とする約110種類の違反行為のほか、傘差し運転や歩道徐行等義務違反などの自転車固有の違反行為5種類となる見込み。たとえば、イヤホンを付けて周囲の音が聞こえない(聞こえづらい)状態で自転車を運転することも対象だ。反則金は5000円から1万2000円程度となる見通しだという。
対象となる運転者は、16歳以上。16歳未満の者は、引き続き交通反則通告制度の対象とはならず、個別の事案の実情に即した違反処理が行われ、対象となる運転者も、青切符交付は、違反行為を継続したり、歩行者に危険を生じさせたりした場合に限られるそうだ。
自転車を追い抜きする際には「間隔に応じた安全な速度」が必要
今回の道路交通法一部改正案では、クルマが自転車を追い抜く際、自転車との間に十分な間隔がない場合には、安全な速度で走行する義務についても新設される。
国会に提出される法案では、「車両は、当該車両と同一の方向に進行している特定小型原動機付自転車等(歩道又は自転車道を通行しているものを除く。)の右側を通過する場合において、当該車両と当該特定小型原動機付自転車等との間に十分な間隔がないときは、当該特定小型原動機付自転車等との間隔に応じた安全な速度で進行しなければならないこととする。」とされている。
「間隔に応じた安全な速度」とされているだけで、距離や速度に関する具体的な数値は示されていないが、間隔については、自転車が万が一倒れた時にも回避できる距離(1~1.5メートル程度)は必要だと思われ、速度に関しては、平均速度10~15km/hだといわれる自転車の平均速度を5~10km/h上回る程度がおおよその目安になるのではと考えられる。また、この状況においては、自転車側にもできる限り道路の左側端に寄って通行することが義務化され、クルマ側も自転車側も、違反には罰則が設けられる。
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