XSR125から潜在能力を引き出す、3種のヨシムラサイクロンをテスト!!

XSR125から潜在能力を引き出す、3種のヨシムラサイクロンをテスト!!

文/中村友彦

 ノーマルでも十分に楽しいけれど、排気系の交換でこんなにも魅力的なフィーリングに変貌を遂げるのか……。ヨシムラが開発した3種のサイクロンをテストした筆者は、しみじみそう思った。逆に言うなら、XSR125を含めたヤマハの125cc 3兄弟は、ノーマルでは能ある鷹がツメを隠した状態だったのだろう。

 

“我がを得たり” と言いたくなる資質

 

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ノーマルマフラーの5kgに対して、GP-MAGNUMとR-77Sの重量は約半分の2.5g前後(サイレンサーの素材によって異なる)。ストレート762サイクロンは3.4kg。

 

 2023年から日本市場への導入が始まったヤマハの125cc 3兄弟、YZF-R125、MT-125、XSR125に対して、僕は以前から “排気系を良質なアフターマーケット製に交換したら、ライディングがもっと楽しくなるんじゃないか” と感じていた。と言っても、各車の乗り味はノーマルでも十分に楽しいのだが、兄貴分の15/155シリーズとマフラーボディの基本を共有しているからだろうか(当然、内部の構成は異なるはず)、125cc 3兄弟の排気音はどうにも抑揚に乏しく、味気が希薄で、何だか本来の性能が抑え込まれている……ような気がしていたのである。

 

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スッキリとした外観を実現するため、XSR125に適合する3種のヨシムラサイクロンは、いずれもキャタイライザーとO2センサーをアンダーカウル内に設置している。

 

 そんな印象を抱いていた僕にとって、ヨシムラのフルエキは “我が意を得たり” と言いたくなる資質を備えていた。と言うより、XSR125を素材にして、GP-MAGNUMサイクロン、R-77Sサイクロン、ストレート762サイクロンの3種をテストした僕は、排気系をカスタムする意義を改めて実感し、ヤマハの125cc 3兄弟を所有するすべてのライダーに、ヨシムラのフルエキゾースト装着車(以下、ヨシムラ車)を味わって欲しい!! と感じたのだ。

 
 
 

一発一発の爆発力がビンビン伝わって来る

 まずは3種のサイクロンに共通する美点を記すと、筆頭に挙げたいのはエンジンの主張、単気筒ならではの鼓動感が明確になること。などと書くと、排気量が125ccの単気筒に鼓動感なんてあるの?……と疑念を抱く人がいそうな気がするものの、スロットルを開けたときも閉めたときも、ヨシムラ車からは重厚で心地いい排気音として、一発一発の爆発力が乗り手にビンビン伝わって来る。

 

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昔ながらのスタイルを再現しているが、ストレート762サイクロンの素材は鉄ではなくステンレスで、表面にはつや消しブラック塗装が施される。価格は7万4800円。

 そしてその特性と矛盾するようだけれど、続いて挙げたい美点は振動のまろやかさ。もっともヤマハの125cc 3兄弟の振動はそんなに大きくないのだが、僕としては回転上昇時の硬質な微振動が気にならなくもなかった。でも排気系の変更でエンジンの呼吸がスムーズになったようで、ヨシムラ車は振動の角が取れた印象なのである。

 

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GP-MAGNUMの特徴は小ぶりな筒型サイレンサー。サイレンサーカバーはステンレス:6万3800円/チタンブルー:7万3700円/カーボン:7万7000円の3種。

 もちろん、出力ピークに向かう回転上昇の鋭さもヨシムラ車の美点だ。7400rpmを境にしてカムシャフトが低速用と高速用で切り替わるヤマハの125cc 3兄弟は、ノーマルでもなかなかシャープな吹け上がりが実感できるものの、ヨシムラ車の中高回転域はさらに鋭くて力強く、誤解を恐れずに言うなら往年の2ストローク的。だから大小のカーブが続くワインディングロードで、エンジンをきっちり回して走るのがムチャクチャ楽しいのだ。

 

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R-77Sのサイレンンサーは現代的な異形六角断面で、カバーはステンレス:7万5900円/メタルマジック:8万6900円/チタンブルー:9万200円の3種を準備。

 

 そして個人的に嬉しかったのは、高めのギアを使って低回転・低速走行中にスロットルをグイッと開けた際に、必要にして十分な加速が得られること。逆に言うならノーマルはそういった状況に遭遇すると、シフトダウンの必然性を感じるのが通例なのに、ヨシムラ車はそのままのギアで行けることが少なくなかった。この柔軟な特性は、環境適応能力の向上に大いに貢献するだろう。

3種のサイクロンに感じた、似て非なる資質

 

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いわゆる直管的なルックスだが、ストレート762サイクロンの内部は筒抜けではなく、仕切り板や径を絞るパイプが存在。他2種とは異なり、中間部にもステーを設置。

 

 さて、ここからは3種のサイクロンの差異を説明したい。まず最もアグレッシブでワイルドな感触が味わえるのは、コンパクトな筒型サイレンサーのGP-MAGNUMである。峠道やサーキットでのスポーツライディングを重視するライダーの場合は、この製品との相性が一番よさそうだ。その一方でツーリング派には、昔ながらの雰囲気を現代の技術で再現したストレート762サイクロンが向いていると思う。シリーズ唯一の一体構造を採用したこの製品のフィーリングは、他2種と比べるとやや穏やで、田舎道を一定開度でマッタリ巡航するのが実に心地よかった。

 

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元気の良さが魅力のGP-MAGNUM。ステンレス製エキゾーストパイプはR-77Sと共通で、管径はφ32mm→φ35mm→φ44.5mm→φ50.8mmと、徐々に太くなっている。

 

 では異形六角形断面サイレンサーのR-77Sはどうかと言うと、30cm定規に当てはめて、GP-MAGNUMを0cm、ストレート762サイクロンを30cmとするなら、5~10cmという雰囲気。そのキャラクターをどう感じるかは人それぞれで、いいとこ取りという好意的な解釈をする人がいれば、中途半端なイメージを抱く人もいそうだが……。

 

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R-77Sのエンドピースはドライカーボン。分割式であることはGP-MAGNUMと同じで、ジョイント用スプリングの共振音防止ラバーにはヨシムラのロゴが刻まれている。

 

 各製品の特長を述べた後にこんなことを言うのは、我ながらどうかと思うけれど、3種の差異はあえて言えばで、GP-MAGNUMでもツーリングは楽しめるし、ストレート762サイクロンでもスポーツライディングは堪能できる。だから僕としては、この3種はルックスで選んでもいいんじゃないかと思う。そしてその印象は、開発を担当したヨシムラの落合信介さんも同様のようだ。

 

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試乗後にいろいろな話を聞かせてくれた、マフラー開発課の落合信介さん。理想の特性と音質の追求に最も時間がかかったのは、ストレート762サイクロンだったようだ。

 

「3種を同条件で比較すると、3者3様の特性と感じますが、ノーマルを比較対象にするなら、どの製品でも劇的な変化が味わえますからね。となるとルックスで選んでいただいても、後悔することはないと思います。ただし個人的に思い入れがあるのは、XSR125用として専用設計したストレート762サイクロンです。

GP-MAGNUMとR-77Sは、構造的に管径や管長の調整が比較的自由に行えるのですが、ストレート762サイクロンの場合は、後半部にφ76.2mmのパイプを使うことが決まっているし、昔ながらのスタイルを考えると管長を伸ばすわけにはいかないので、限られたスペースでどうやって理想の特性を実現するかで、かなりの試行錯誤が必要でした」

XSR125に適合するヨシムラのオリジナルパーツ

 

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プロテクション効果に加えて冷却効率の向上も意識したラジエターコアガードは、ヨシムラ独自のhexagonalメッシュパターンを採用している。価格は1万3750円。

 

 

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テールまわりが軽快な印象になる、フェンダーレスキットは2万4200円。写真では判別できないものの、小型軽量化を実現しながら、ノーマルと同等の信頼性を確保。

 

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12インチ用と21/18-19インチ用も存在する。前後セット価格は4180~6050円。

 
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アルミ削り出しのハンドルバーエンドは、社名をレザーマーキング。カラーはレッドとストレートグレーの2種で、価格は1万7600円。

 

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ヨシムラが近日中の発売を予定しているコンパクトなLEDウインカーは、点滅する光が内側→外側に流れるシーケンシャルタイプ。

 

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ヤマハの125cc 3兄弟用として開発中のシフトロッドは、丸棒を曲げたノーマルとは次元が異なる剛性を獲得。両端はピロボール支持で、ペダルの高さ調整が可能。

詳細はこちらのリンクよりご覧ください。
https://news.webike.net/parts-gears/373854/

XSR125から潜在能力を引き出す、3種のヨシムラサイクロンをテスト!!【画像ギャラリー】
https://news.webike.net/gallery2/?gallery_id=373854

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