7年ぶりにフルモデルチェンジした海外専用車であるパジェロスポーツの試乗会が、東京モーターショー開催に合わせて日本で初めて行われた!その実力を片岡英明氏がチェック!
TEXT/片岡英明 PHOTO/池之平昌信
日本でも乗りたい完成度!!
1982年に登場した三菱のパジェロは、ジープ譲りの高い走破性能を武器にSUVの代名詞となった。このパジェロの血を引くタフなアウトドアギアが「パジェロスポーツ」だ。
その存在を知らない人も少なくないだろう。実はこのSUV、日本では発売されていない、海外専用車なのである。パジェロを名乗っているが、ベース車はピックアップトラックのトライトン(ルーツはストラーダ)だ。
その2代目は2008年にデビューした。そして’15年8月には3代目のパジェロスポーツがベールを脱いでいる。エクステリアはウエッジ基調の洗練されたデザインだ。フェンダーを大きく張り出させ、ウィンドウ後端を跳ね上げることによって躍動感あふれるダイナミックなフォルムとした。フロントマスクは、アウトランダーに先駆けて凛々しい切れ長のダイナミックシールドを採用している。
インテリアは、スポーティムードのなかに、加飾やシートにもこだわるなど、パーソナル感も盛り込んだ。特筆したいのは5人乗りだけでなく7人乗り仕様を設定していることである。3列目はそれなりの広さだが、いざと言うときには便利だ。
■圧倒的なオフロード走破性能
気になる走りのメカニズムは本格指向である。アウトランダーはモノコック構造の骨格だ。これに対しパジェロスポーツはオフロードで使うユーザーのことを考えて、より強靭なフレーム構造を採用した。
エンジンは2.4ℓの新開発ディーゼルターボが主役だ。2WDには3ℓのV型6気筒ガソリンエンジンも用意する。トランスミッションは、アイシン製の電子制御8速ATだ。4WDが主役だが、V6エンジン搭載車には2WDも設定した。
試乗コースとして提供されたのは、過酷な富士ヶ嶺オフロードコースである。ちなみにパジェロスポーツの4WDシステムは、ハイ/ローの副変速機を備えた、最新のスーパーセレクト4WD‐Ⅱ(電動式アクチュエーターとセンターデフを持つフルタイム4WD)だ。
4WDのハイギアは4Hと4HLc(センターデフロック)、もちろんローギアの4LLcと2WDもある。走行モードの切り替えはセンターコンソールにあるダイヤル式ドライブモードセレクターで行う。また、4つのオフロードモード制御もプッシュスイッチで操作できる。
誰にでも簡単に操作でき、持てる実力を引き出しやすいのがパジェロに対する強みだ。走破性能と柔軟性は非凡だった。軽やかにスイングするサスペンションは、フラットダートでは優れた接地フィールを披露した。全体の剛性が高く、足がしなやかに動くから乗り心地もいい。
岩場が続く登りとモーグルステージでは、卓越したトラクション性能を見せつけた。最低地上高は218㎜だ。フレーム付きボディのタフな走りにビックリ仰天した。しかも操舵フィールと乗り心地は、アウトランダー並みに洗練されている。
大きなコブが連なるモーグルコースでは、対角線上のタイヤが浮いてしまう。ときには2輪しか接地しなくなるが、4HLcで難なく踏破することが可能だ。ビギナーでも不安なく走り切れるほどその実力は高い。
また、上り坂の停止ではヒルスタートアシストが、25度の下り坂でもヒルディセントコントロールを使えば、ブレーキ操作なしに安全に下りることができた。先進安全装備も充実しているし、舗装路も快適に走るだろうから、日本でもぜひ発売してほしい。熱烈ラブコールだ!
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