最近のマツダはSUVが人気だが、魅力がぎゅっと詰まったコンパクトカーだって力を入れてほしいところ。そこで思い出してほしいのがベリーサだ。小型車なのに本革シートまであり、見た目から「小さなカイエン」とも言われたプレミアムコンパクトは、復活しないだろうか?
文:ベストカーWeb編集部/写真:マツダ、ポルシェ
■デミオの上に位置するプレミアムコンパクト
2001年に「Zoom-Zoom」をキャッチコピーにして新たなブランド作りに漕ぎだしたマツダ。翌年にはアテンザを発表し世界的なヒットに繋げるのだが、小型車の領域では、ファミリアの後継だったアクセラが大型化したため、デミオとアクセラの間を埋める新たなモデルが必要となった。
こうして誕生したのがベリーサだ。
ベリーサのベースは2002年に登場した2代目デミオ。開発にあたってはそのデミオとの差別化が意識され、デミオの1クラス上の高級感が演出された。
ボディサイズはデミオとほぼ同じだが、デミオよりもふくよかなエクステリアデザインが与えられ、コンパクトSUV的なたたずまいとなった。その存在感はかなりのもので、人によっては「小さなポルシェ・カイエンに見える」という声が出たほどだ。
エンジンはZY-VE型1.5Lガソリン1本やり。上級感を出すためにデミオにあった1.3Lはラインナップしなかった。最高出力は113ps、最大トルクは14.3kgm。駆動方式はFFベースだが、デミオと同様に日産由来のe-4WDも選べた。
■コンパクトカーとしては異例の本革シートをオプション設定!
しかしベリーサのトピックといえば、インテリアだろう。その基本的なしつらえはデミオだが、素材や色使いを使い分けることで上手な差別化がなされていた。同クラスのライバルよりも厚みのあるガラスを使い、ドアシールを二重化して静粛性を高めていたことも配慮の一つだ。
なかでも話題だったのが、レザーパッケージというオプション設定だ。これを選ぶとハーフレザーシートのほかレザー製大型アームレスト、ウッド調&レザー調ステアリングが付くという内容で、小型車としては画期的なオプションだったといえる。
こうした施策が功を奏してベリーサは一定のファンを掴み、デミオが3代目にフルモデルチェンジした後も販売を続けた。結局2016年まで12年間も続くロングセラーとなり、マツダのZoom-Zoomを支える1台となったのだ。
現在、マツダの小型セグメントはデミオとCX-3が担っているが、両車ともクーペ感を強調していて、ラゲッジ容量などはいまいち。ベリーサのような使い勝手のよさとプレミアム感を兼ね備えたコンパクトがでれば需要はあると思うのだが、復活の可能性はないだろうか?
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