初代や先代モデルは冴えなかったけど、やがて注目度が上がって売れ始めていったクルマたちがいる。いい意味での「成り上がりグルマ」の称号を与えたいクルマたち。しかし、ではなぜ、彼らは成り上がったのか? 本誌編集部担当者が自動車ジャーナリスト清水草一氏にずばり本音を伺った。
●(画像ギャラリー)初代・先代型から現行型まで!! “成り上がり”の軌跡を見よ!!
※本稿は2019年8月のものです
文・写真:ベストカー編集部
初出:『ベストカー』 2019年9月10日号
【No.01】 スズキ スイフト、初代を思えばこれぞベスト「成り上がりカー」!
ベストカー 清水さん、スイフトは、典型的な成り上がりグルマじゃないでしょうか!
清水 だね。驚異の出世を果たしたよね。
ベストカー なにしろ初代は、軽の延長線上でしたから。
清水 ワゴンRプラスをベースに、Keiのボディパネルを使ってたんだもんね。軽じゃないなかで一番安いヤツくれ! みたいなクルマだったし、デザインもダサかった。それが今じゃ、コンパクトハッチで一番いいクルマみたいな地位に昇りつめてる!
ベストカー みなさん、高評価ですもの。なぜスイフトはこんなに成り上がったんでしょう?
清水 スズキって割り切ったクルマを作るじゃない。初代は『こんなもんでいいだろ』って割り切りだったのが、2代目からは『欧州市場を切り崩したる!』っていう、正反対の割り切りになったんじゃないかね? 腹を決めたというか。つまり、スズキが本気出すと凄いってこと!
ベストカー 本気度の塊ですか。
【No.02】 スズキ ジムニーシエラ これも成り上がり?
ベストカー シエラは清水さん推薦の成り上がりグルマですが。
清水 シエラの魂は変わってないんだけど、周囲が受ける印象はまるで変わった! だって現行ジムニーシエラは、メルセデスGクラスとタメ張るオーラがあるもん!
ベストカー 確かに……! 先代までは『わざわざシエラにしなくても』って感じがありましたよね。
清水 ムダな感じしたよね。でも現行シエラは違う。羨望の的だよ! 今ならGクラスより注目される。だってめちゃめちゃカッコいいんだもん! すばらしい成り上がりっぷりだよ!
【No.03】 顧客の要望実現の積み重ねにより、トヨタ RAV4は輝いた
ベストカー 初代は個性的でステキでしたけど、代を重ねるごとにデカくなって個性もなくなって、最後はヴァンガードと区別つかなくなったダメ男。そう思うんですが。
清水 そのダメ男が海外で修業して、いつの間にか超ビッグになって帰ってきた!
ベストカー なんでここまで成り上がれたんでしょう?
清水 それはまぁ、トヨタらしいマジメな顧客の要望実現の積み重ねだべな。
ベストカー でも、しばらくダメだったじゃないですか。
清水 それは日本で見てるからで、海外ではこっそり伸びてたわけでしょ。SUVブームにも乗って、去年は販売台数世界第3位の超ベストセラーカーだもん!
ベストカー 海外でビッグになっていたことに、日本人も気づいて注目するようになったってことですか?
清水 いや、新型が突如日本でも売れ始めたのは、日本人がいつの間にかガイコクジン化したからだよ!
ベストカー ははぁ。洋楽がわかるようになったんですね。
【No.04】 トヨタ アルファード/ヴェルファイアの歴史こそまさにYAZAWA!
ベストカー アルファードの前身は商用車ベースのグランビアですから、ものすごい成り上がりですね。
清水 今じゃガテン系の“神”。“成り上がり”つながりで、まさに矢沢永吉だ!
ベストカー どうやってここまで成り上がったんでしょう?
清水 初代は安さやお買い得感がつい目についたけど、2代目は特にヴェルファイアがデザインで攻めて、新たなオラオラワールドを作ったのがデカい。
現行モデルでは、それをアルファードがさらに発展させて鬼面人を驚かす巨大銀歯顔を実現させた。つまり、デザイン面で大胆に挑戦し続けたってことだろうね!
ベストカー 今や中国向けには、レクサス版の4人乗りのLMまで登場して、これまた成り上がりの極みじゃないですか?
清水 かつてのセルシオを見るような昇り龍っぷりだ。クルマ好きはアル/ヴェルをナメるべからず!
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