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【質問カルテ】
ここのところ、テレビや新聞などの報道で「輸出戻し税」というのをよく耳にします。名前のとおりクルマの輸出などにも関わりがありそうですが、どういうものなのか知りたいです。
企業に関する税金のようですが、一般の人にも何か関係はあるのでしょうか? 教えてください。
群馬県 清流一郎さん
【回答/担当・馬場】
輸出や貿易のことに関してはJETRO(日本貿易振興機構)でしょう。そこへ聞きつつ、「輸出戻し税」についてを紹介していきましょう。
■国内でクルマを販売した場合の消費税の流れ
クルマを作るT社のケースでシミュレーションします。クルマ一台あたりの下請け会社からの部品仕入れ代金は100万円で、そのクルマの販売価格は300万円とします。
仕入れ、販売の売り上げともに消費税がかかるから、実際には仕入れ代金は108万円、売り上げ金は324万円になります。
そして、T社は下請け会社に108万円を支払い、その下請け会社は消費税ぶんの8万円を国へ納税。これが国内でクルマを販売した場合の、消費納税の簡単な流れです。
■クルマなどの商品を輸出した場合はT社が損をする!?
でも、T社が海外へクルマを輸出する場合、その消費税の流れが変わります。それを表わしたのが左の図です。
海外への輸出では、税金は輸出先の国の法律に従うので基本的に相手国から消費税を取ることはできません。
すると、T社は売り上げの300万円には消費税を取れないのに、部品仕入れ代金には108万円かかっているので、300マイナス108で、T社の利益は192万円と、8万円ぶん減ることになります。
これでは不公平になるので、ここで〝輸出戻し税〟の登場となります。仕入れにかかる消費税ぶんの8万円が〝輸出戻し税〟となり、国からT社に還付されるわけです。
この8万円を加えた108万円を、T社は下請け会社へ支払えばT社の利益は200万円のままですみます。これが〝輸出戻し税〟の仕組みです。
■どこも得も損もしない……という仕組み
国がT社へ還付した〝輸出戻し税〟の8万円は、下請け会社を経由して最終的には消費税として国庫に戻るので、どこも(誰も)得も損もしません。
また、〝輸出戻し税〟は基本的に企業間同士のやりとりの話で、庶民に直接的に関わる税ではないです。
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