ニュル最速の風を感じる メガーヌ ルノー・スポール273登場

ニュル最速の風を感じる  メガーヌ ルノー・スポール273登場

 「ニュルブルクリンク最速」。なぜクルマ好きはこの文字に心躍るのだろうか…。

 またこの世に「ニュルブルクリンク最速」を謳う市販車が登場。正確には「ニュルブルクリンク最速だった」クルマだが、もはやそんな細かい時系列は置いておこう。

 今回発表されたルノーメガーヌの最速バージョンである「メガーヌ ルノー・スポール273(トロフィーS)」を紹介しよう。

 文:WEBベストカー編集部
 写真:WEBベストカー編集部(塩川雅人)


■メガーヌ ルノー・スポールとは?

 ルノーが誇るスポーツハッチバックであるメガーヌ。日本でのバリエーション展開は複数あり、一般的なハッチバックの「メガーヌ ハッチバック」、ステーションワゴンの「メガーヌ エステート」、そして究極のFFスポーツを標榜する「メガーヌ ルノー・スポール」である。

 「ルノー・スポール」自体は国産車でいえば日産のニスモ、スバルのSTIといったブランドに近く、スポーティーなクルマを生み出すディビジョンだ。

 その背景にモータースポーツの歴史を持っているのも共通の特徴で、ルノー・スポールに関して言えば長年のF1へのエンジン供給、そして昨年からのワークスとしてのF1参戦が大きなトピックだろう。

 そんなルノー・スポールブランドで登場した「メガーヌ ルノー・スポール273」は、これまでのメガーヌ ルノー・スポールを置き換える形で登場。しかしながらこのクルマが登場するまでには壮大なドラマがあったことをこの機会にお伝えしたい。

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発表会当日はルノー・ジャポンの大極司社長、そしてF1日本GPのために来日していたジョリオン・パーマー選手が登場

■ニュル最速の戦いは続く・・・

 ドイツのニュルブルクリンク(通称:ニュル)。なんとなく名前を聞いたことがある方もいれば、初耳という方もいるかもしれない。

 ニュルはプロのレーシングドライバーでさえも「怖い」と漏らす1周20.8kmのサーキットだ。その世界一険しく、バリエーション豊かな路面を持つ難コースは世界の自動車メーカーの新車開発の現場としても有名だ。

 そんなニュルにはもうひとつ別の顔もある。それがラップタイムの更新合戦である。1周20.8kmのコースをクルマによっては300km/h近いスピードを出しながら、数々のブラインドコーナーを駆け抜ける。

 文字どおり「命がけ」。ドライバーが限界ギリギリまで攻めて、タイヤ、シャシー、空力などすべての要素が究極に達した時にベストラップが出る。

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路面が荒れているニュルブルクリンクでは、単純に固い足回りとグリップ力が高いタイヤのみでは速く走れない。クルマへの要求が多いコースだからこそ熟成が進むのだ

 そのベストラップ記録の「市販FF車」カテゴリーにおいて、2014年6月にトップタイムをたたき出したのが今回の「メガーヌ ルノー・スポール 273」の兄貴分になる「メガーヌ ルノー・スポール・トロフィーR」。その記録は7分54秒36…、このタイムはかなり速い。

 なかなか比較対象に困るが、4WDのハイテクスポーツであるスバルWRX STIを引き合いに出そう。2010年にあのトミ・マキネンが、GVB型の市販前プロトタイプでたたき出したタイムが7分55秒00。4年のブランク、そしてコンマ6秒の更新とはいえ、2Lの4WD最強王者にFF車が勝つというのは衝撃的だ。

 余談だがFF車としてはその後にホンダ・シビックタイプRが7分50秒63、そして2016年5月にVWゴルフGTIクラブスポーツSが7分49秒21をたたき出していて現在の「ニュルFF最速マシン」。とはいえ、パイオニアでもあるメガーヌ ルノー・スポール・トロフィーRの偉業はかすむことはないだろう。

 そんなニュルFF最速だったトロフィーRだが、残念ながら市販車は限定販売ですでに完売。しかしながらその弟分の「273」シリーズでもニュル最速のエッセンスは感じられるはずだ。

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