メンテナンスや整備で使用するハンドツール。ドライバーやレンチは当たり前ですが、それ以外にもさまざまな作業でいろいろな工具を使用します。そんな工具の中には、出番はそれほど多くないものの、特定の作業で存在感を放つバイプレイヤー的なアイテムがあります。「何となくやりづらいけど、まあ仕方ないか……」という少しの不満を一気に解消してくれる源泉工具を紹介します。
思わず見とれる切断面に仕上がるホースカッター
燃料ホースや負圧ホースを交換する際、汎用品(バルク品)のホースを買って長さを調整することがあります。その際に切断面をもっときれいに仕上げたいと思ったことはないでしょうか。
ニッパーやカッターナイフで切断した際にありがちなのが
●切断面が斜めになる
●端面が潰れる
といった、トラブルや不具合とは呼べないほどのちょっとした不満です。
どちらもニップルに差し込んでホースバンドやクリップをセットしてしまえば目立たなくなりますが「どうも納得できない……」となりがちです。
ニッパーやカッターで切断した際に先のような仕上がりになるのかと言えば、ニッパーの場合は上下の刃で潰すように切断し、カッターは直線的な刃で押し付けながら切断するからです。
そんなホース切断作業に特化した工具が「ホースカッター」です。
ホースカッターは、燃料ホースや負圧ホース、ウォッシャーホースなどの柔らかいゴムホースを、潰さず・裂かず・真っ直ぐに切断するための専用工具です。
製品によって細部のデザインに違いはあるものの、プライヤーのような掴み系工具のような形状で、先端部分が刃と受け部の組み合わせになっている基本構造は共通しています。
最大の特徴は、切断面が直角で平滑に仕上がることです。ニッパーのように二面で挟むことがなく、刃と受け部が包丁とまな板のような関係になることで切断面は平滑になります。またホースカッターの受け部には刃とホースを直角に保つガイドのような役目もあるので、切断面が斜めになりづらいという特徴もあります。
また製品によっては、刃が山型に尖っている物もあります。直線的なカッターの刃をホースに押し当てると、最初に切り込むまでは切断面が潰されます。しかし尖った刃は面ではなく点で接するため、軽い力で食い込み潰れることなく(潰れが少ない状態で)切断が始まり、きれいな仕上がりにつながります。
またカッターナイフでの切断は手が滑ったり周辺部品を傷つけるリスクがありますが。ホースカッターは握って使用し刃がガイドされる構造なので、比較的安全に作業できるのも利点となります。
ホースカッターはいくつもの工具メーカーから発売されており、中には数百円で買えるものもあります。ニッパーやカッターで切るたびに「今回もイマイチだった……」とモヤモヤした思いを積み重ねる前に購入してみてはいかがでしょうか。
パーツ着脱時の液漏れを簡単に止められるピンチオフプライヤー

キャブレター時代のホンダスーパーカブは、燃料コックはガソリンタンクではなくキャブレター側にある。そのためコックから燃料ホースを抜くと、タンク内のガソリンを止める手段がないのでどんどん流れ出してしまう。これはとても危険な状態だ。
メンテナンスでガソリンタンクやキャブレターからホースを取り外す際は、ホース内に残ったガソリンをできるだけ漏らさないようにしたいものです。
燃料コックからキャブレターにつながるホースを抜く場合、コックをOFFにすれば(負圧コックならその必要はありません)残るガソリンはホース内の分だけなので、コックのニップルから引き抜いたホースの先に栓を差し込めば流出を止められます。あるいはホース内に残るガソリンはさほど多くはないので、ウエスなどに染み込ませても良いかもしれません。
しかし車種によってはそうはいかない場合もあります。その代表例がホンダスーパーカブです。キャブレター時代のスーパーカブの燃料コックはキャブ本体に取り付けられており、ここにシート下にあるガソリンタンクからの燃料ホースが差し込まれています。
ここでキャブレターを外すためにホースを抜くと、ガソリンタンクのガソリンはすべて流れ出てしまうのです。抜いたホースに栓を差し込もうにも、滝のように流れ出るガソリンに圧倒されて床がビショビショに……ということもあります。
こんな時に重宝するのが「ピンチオフプライヤー」です。ホースピンチャー、ホースクランププライヤーとも呼ばれることのある掴み系工具は、ゴムホースを一時的につぶして内部の液体や気体の流れを止めることができます。
スーパーカブの場合、燃料コックから抜く前のホースをピンチオフプライヤーで挟んでおけば、ガソリン流出を最小限に留めることができます。
ホースを掴んで保持する動作ならロッキングプライヤー(バイスプライヤー)でもできますが、ピンチオフプライヤーの掴み面は滑らかなのでホースに噛み跡や傷が付きづらいメリットがあります。
また製品によっては、ロッキングプライヤーのような機械的なロックではなく、ヒンジ部分のフリクションによって任意の位置で固定できるものもあります。このタイプでは、ホースの潰れ具合を感じながら、潰れすぎない力加減で液漏れを防ぐことができます。
ただし、ピンチオフプライヤーはブレーキホースには使わないのが基本です。リザーバータンクにフルードが入った状態でブレーキキャリパーのバンジョーボルトを外すと、ホースからフルードが流れ出しますが、ブレーキホースは燃料ホースに比べて高い圧力に耐えるため作りが強固で、プライヤーで強く握ると内部損傷を招く恐れがあるからです。
工具とは呼べないが便利なスパークプラグ着脱用チューブ

単なるゴムパイプのように見えるが、これがスパークプラグ着脱用チューブだ。左側に「12&14MM」、右側に「14&18MM」と記載してあるのはプラグのネジ径だ。ネジ径によってガイシ部分の太さも変わるので、両端を使い分ける。
最後に紹介するのは、工具と呼ぶには簡素すぎるものの、とても便利なアイテムです。
エンジンコンディションに重要な役目を果たすスパークプラグを着脱する際、プラグホールが深い水冷エンジンではプラグに指が届かないことがあります。
マグネットタイプのスパークプラグソケットなら、シリンダーヘッドから外れたプラグをそのまま引き上げることができますが、ホルダー機能のないプラグソケットだとプラグ穴の底に残ったままになります。「スパークプラグ着脱用チューブ」はこうした場面で活躍します。
名称はたいそう立派ですが、その実態はゴムチューブです。チューブをプラグのガイシ部分に差し込んで保持することでプラグ穴から引き上げるだけで、燃料ホースや水道用ホースでも代用できます。にもかかわらず、かつてはプラグメーカーから販売されていたこともあるぐらい重要な役割もあるのです。その重要性は、プラグを外す時より取り付ける作業でクローズアップされます。
ボルトやネジを取り付ける際の初めの数山は指で回すのが基本です。指なら締め付けトルクが小さいので、ネジ山に異物が詰まっていてもすぐに回せなくなり気づくからです。スパークプラグも同様で、プラグがシリンダーヘッドのネジ穴にしっかり噛み合うまでは、指でねじ込むのが理想です。
指先が届かないからといって、エクステンションバー付きのスパークプラグソケットをラチェットハンドルで回したら、ネジ穴に対してプラグが傾いた状態でも大きなトルクが加わってしまい、シリンダーヘッドを傷めてしまうかもしれません。
ラチェットハンドルなしで、エクステンションバーを直接指先で回す場合でも、回転力がダイレクトに伝わる分、ネジが多少渋くてもある程度締まってしまうこともあります。
これに対してゴム製のスパークプラグ着脱用チューブは強度も剛性も低いので、ネジ山に僅かなゴミが付着しているだけでチューブがねじれてプラグは回りません。シリンダーヘッドのプラグ穴が深くても、チューブを回す手応えが“グニャッ”としたらネジ部に何かあると判断できます。
ゴムの強度や剛性が低くても、ネジ山がきれいならプラグはスルスルとねじ込むことができます。そしてプラグのガスケットがシリンダーヘッドに接触して、チューブが回らなくなってからスパークプラグソケットと交換してラチェットハンドルで締め付ければ、ネジ山を傷めることはありません。
スパークプラグの着脱を何十回もやった経験から慢心が生まれると「用心すれば最初からソケットレンチで回しても大丈夫だよ」となりがちです。しかし僅かな締め付けトルクの増加を「もうちょっと締めれば軽くなるはず」と無視すると、大きなトラブルに繋がる可能性もあります。
スパークプラグ着脱用チューブでねじ込み、途中からスパークプラグソケットに交換するのは面倒だと感じるかもしれません。しかし一旦トラブルが発生した時の影響の大きさを考えれば「急がば回れ」で安全策を取るのが賢明です。
- ポイント1・バイクのメンテナンスではボルトやナットを回す以外にも、仕上がりや作業効率向上に役立つ工具がある
- ポイント2・燃料ホースや負圧ホースの切断や液漏れ、空気漏れを防ぐ工具を使いこなせると想定外の場面にも慌てず対応できる
詳細はこちらのリンクよりご覧ください。
https://news.webike.net/maintenance/573974/
いつもの作業がサクサク進む。メンテナンスで役立つ便利工具3選【画像ギャラリー】
https://news.webike.net/gallery3/573974/573983/






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