4月29日(金)〜5月1日(日)にかけて、愛媛県上浮穴郡久万高原を拠点に2022年シーズン全日本ラリー選手権(JRC)第3戦「久万高原ラリー」が開催され、TOYOTA GAZOO Racing(以下、TGR)の勝田範彦/木村裕介組が今シーズン初優勝を飾りました。また、眞貝知志/安藤裕一組は5位に入賞しています。
モータースポーツの厳しい環境の下で「人を鍛え、クルマを鍛える」ことを目的に、2015年から全日本ラリー選手権に参戦するTGR。GRヤリスをベースとする「GR YARIS GR4 Rally」を2021年から投入し、最上位カテゴリーであるJN1クラスに挑戦しています。
久万高原ラリーに向けて、チームはタイヤと駆動系のテストを実施しました。このラリーは標高約1000mの山岳地帯にスペシャルステージ(SS、競技区間)が設定され、最終日には20kmを超えるSSも走行。距離の長いSSでは高い集中力が要求されるだけでなく、荒れた路面はタイヤへの攻撃性が高く、タイヤに負担をかけずに走る技術が求められました。
ラリー初日、序盤から好走を見せて2番手につけていた勝田選手は、首位の選手がリタイアしたこともあって、SS4を終えた段階でトップに浮上しました。勝田選手は長い距離を走行する最終日においても安定したペースを見せて首位を守り切り、今シーズン待望の初勝利を手にしました。
また、5番手で最終日をスタートした眞貝選手は、一時4番手まで順位を上げましたが、最終SSでパンクを喫しポジションダウン。クルマにダメージを負いながらも最後まで走り切り、5位に入賞しています。
なお、今大会では、「GR Garage オートモール徳島」より、メカニック1名がチームに加わり、メンバーとともにGR YARIS GR4 Rallyの整備を行いました。
■豊岡悟志(チーム監督)
まず、無観客での開催、また悪天候の中でご対応いただいた関係者の皆様には本当に心から感謝いたします。今シーズンは強力なライバルの登場により、なかなか勝つことは厳しいと思っていました。
R5車両にどこまで詰め寄ることができるかと、ドライバー、エンジニア、メカニックが一丸となってチャレンジしたからこその結果で、とてもうれしいです。勝田選手、木村選手は序盤からアグレッシブで速く、ゴールまでクルマを持って帰ってきてくれるドライビングは“さすがチャンピオン”のひと言に尽きます。
眞貝選手と安藤選手は、4位が目前だっただけに最終SSでのパンクは残念でしたが、ゴールまでの懸命なドライビングに感服しました。初日にレグ離脱となったヘイキ・コバライネン選手、北川紗衣選手とも話をしましたが、あれほど圧倒的な強さを持っていても、攻め続けるという姿勢をあらためて尊敬しました。
■勝田範彦(ドライバー)
コバライネン選手のリタイアは残念でしたが、今シーズンに入ってやっと勝つことができました。前戦の唐津を終えた後にもテストを行い、今大会にサイズアップしたタイヤや、更に進化させた駆動系を導入することができました。
毎戦、しっかりと準備したうえでラリーに挑めていますので、あらためてチームに感謝しています。今回は攻めるべき状況と、抑えるべき状況を判断し、作戦的にメリハリを持って戦えたと思っています。
ただ、自分が想定していたようなタイムが出ない箇所もありました。それはしっかりと課題として捉え、今回のデータを見ながらチームと相談して、次戦のラリー丹後に挑みたいですね。
■眞貝知志(ドライバー)
途中までは4番手を走行していたのですが、最終SSで自らのミスでタイヤを傷つけてしまったため、スローダウンを余儀なくされてしまいました。そんな中でも安藤選手の的確な判断により、後続の選手に迷惑をかけず、かつ順位を大きく下げることなくフィニッシュできました。
ラリー中盤のSS3からSS7にかけては気持ちよく走ることができましたし、昨年と比べて成長を感じるタイムが出せたと思います。
ただ、レッキ日の強雨の影響がどれくらい残っているかわからない路面でトップ6の選手達が出したSS1,2のタイムを見せつけられると、その壁は本当に高いと改めて実感しました。その「壁」も、チームの皆さんとデータという形でしっかり確認して、次の戦いに活かしていきたいです。
■藤原裕司(眞貝号メカニックリーダー)
眞貝選手の車両を整備するメカニックのリーダーを担当しています。人材育成という観点を持ちながら、チームとして経験を蓄積することが目標です。
人が入れ替わり、ラリーに不慣れなメンバーもいますので、安全第一に作業を行い、選手に安心して乗ってもらえるようサポートすることを心がけています。
眞貝選手の車両は市販車のサプライヤーさんとも協力をしながら開発を進めており、ダンパーやブレーキなど、どんどん製品が良くなっていると感じます。
今回のラリーでは最後にパンクがありましたが、それ以外は基本的なメンテナンスを行ったのみで、選手に気持ち良く走ってもらえるクルマになってきたと実感しています。
■宮脇遼子(レクサス パワトレ性能開発部)
今回、データエンジニアとして初めて参加しました。エンジンの観点から、車両が狙いどおりの走りをできているかを確認する業務です。
普段はGRヤリスのエンジン排気系の適合などを行っていますが、このクルマの本来の力が発揮される場所に携わりたいと思い、立候補しました。
現場では、とにかくスピード感が違っていて、ごく短時間でデータの判断を行うことなどが印象的でした。そうした感覚を、普段の業務にも活かしたいと思います。それに、“誰かが頑張る”のではなく、チームとして想定した作業をやり切るマインドで全員が動いている点にも感銘を受けました。今回、優勝に立ち会えたことも、とてもうれしかったです。
■玉口和明(GR Garageオートモール徳島)
以前はトヨタ店でメカニックをしており、今年の4月1日付でGR Garageに配属されました。チームに参加することが決まって以降、ラリーについて勉強し、あらためてモータースポーツやラリーという競技が好きになりました。
現場では勝田選手の車両のタイヤや足まわりの点検、冷却関係のチェックなどを主に担当しました。通常の業務では1台のクルマを4人で担当することはあまりありませんが、ラリーではチームのメンバーの連携が素晴らしく、安全面も含めて声出しの重要性を再確認しました。
実際に競技車両に触れて、GRヤリスはラリーで育てられたクルマなのだとあらためて思いました。今回の経験で得た知見や思いを、店舗を訪れるお客様や、店舗のメンバーとも共有することができればと思っています。
久万高原ラリー JN1クラス最終結果
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1 勝田 範彦/木村 裕介(GR YARIS GR4 Rally)1:21:34.3
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2 福永 修/齊田 美早子(シュコダ・ファビアR5)+54.9
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3 新井 敏弘/田中 直哉(スバルWRX STI)+56.7
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4 奴田原 文雄/東 駿吾(トヨタGRヤリス)+2:31.6
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5 眞貝 知志/安藤 裕一(GR YARIS GR4 Rally)+3:47.8
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6 三枝 聖弥/石田 裕一(スバルWRX STI)+4:09.2
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7 小泉 敏志/清水 昭一(トヨタGRヤリス)+4:47.8
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8 徳尾 慶太郎/石田 一輝(トヨタGRヤリス)+7:24.6
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9 HYOMA/伊藤 克己(トヨタGRヤリス)+10:41.5
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10 金岡 義樹/朴木 博則(スバルWRX STI)+19:33.0
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参戦12台、完走10台
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詳細はこちらのリンクよりご覧ください。
http://toyotagazooracing.com/jp/jrc/release/2022/03/
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