バイクやスクーターなどに乗るために必要な二輪免許。運転できるバイクの排気量によって、二輪免許にはさまざまな種類がありますが、それぞれ取得するにはどんな方法があるのでしょうか? また、2025年3月24日からは、マイナ免許証が導入されるほか、免許取得に関する手数料などが値上げされるのですが、実際にどうなるのでしょうか。
バイク免許は7種類ある
まずは、バイク免許の種類。バイク免許には、「原付」「小型限定普通二輪」「普通二輪」「大型二輪」があり、さらに、AT車限定の「AT小型限定普通二輪」「AT普通二輪」「AT大型二輪」の計7種類があります。
それぞれ運転できるバイクの排気量や取得可能な年齢、高速道路(または自動車専用道路)を運転できるかなどの規定が異なりますが、具体的には以下の通りです(2025年2月現在)。
【原付免許】
運転できるバイクの排気量:50cc以下(原付一種)
取得可能な年齢:16歳
高速道路の走行:不可
【小型限定普通二輪免許】
運転できるバイクの排気量:125cc以下(原付二種)
取得可能な年齢:16歳
高速道路の走行:不可
【AT小型限定普通二輪免許】
運転できるバイクの排気量:125cc以下(AT限定)
取得可能な年齢:16歳
高速道路の走行:不可
【普通二輪免許】
運転できるバイクの排気量:400cc以下
取得可能な年齢:16歳
高速道路の走行:可
【AT限定普通二輪免許】
運転できるバイクの排気量:400cc以下(AT限定)
取得可能な年齢:16歳
高速道路の走行:可
【大型二輪免許】
運転できるバイクの排気量:制限なし
取得可能な年齢:18歳
高速道路の走行:可
【AT限定大型二輪免許】
運転できるバイクの排気量:制限なし(AT限定)
取得可能な年齢:18歳
高速道路の走行:可
ここでいうAT限定の免許とは、クラッチを必要としないバイク、いわゆるCVTやAT(オートマチック・トランスミッション)搭載バイク向け免許のことです。
主にスクーター・モデルが中心ですが、例えば、1833cc・6気筒エンジンを搭載する巨艦バイクのホンダ「ゴールドウイング ツアー」もAT限定大型二輪免許で運転可能。それは、独自のAT機構「DCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション)」を搭載していて、クラッチ操作が不要だからです。
ホンダでは、ほかにも、「CRF1100アフリカツイン」や「NT1100」、「レブル1100」など、多くの大型モデルにクラッチ操作が不要なDCTを採用していて、いずれも、AT限定の免許にも対応しています。
また、ヤマハでも、2024年から自動変速機構「Y-AMT(ワイ・エーエムティ)」を搭載したモデルをリリースしています。
現在は、「MT-09」「MT-07」といったストリートファイター系の大型バイクに採用。また、欧州などでは大型ツアラーの「トレーサー9GT/9GT+」にもY-AMTを採用しており、この仕様の日本導入も期待できます。そして、これらY-AMT搭載車も、AT限定の免許で乗ることができるため、より幅広いライダーに快適な走りを提供してくれそうです。
なお、同様の機構には、「ホンダE-クラッチ」もあり、「CBR650R/CB650R」「レブル250/S」など搭載モデルが拡大中です。こちらも、発進から停車時までクラッチレバーとシフトペダルの操作は不要。ですが、マニュアル操作も可能としているためか、運転できるのはMT免許(CBR650R/CB650RのホンダE-クラッチ車は大型二輪免許、レブル250/SのホンダE-クラッチ車は普通二輪免許かそれ以上)となります。
さらに、原付免許で乗れるバイクの排気量ですが、2025年4月に排気量が125cc以下で、最高出力を4.0kw(5.4PS)以下にした「新基準原付」が導入されます。これは、現行の50cc以下のバイクでは、2025年(令和7年)11月から施行予定の新しい排気ガス規制に対応できないため、新たに規制に対応可能な125cc以下でパワーを抑えたバイクを設定。排気量こそ125ccや110ccとなりますが、運転できる免許や交通ルールなどは、現在の50ccバイクと同じ扱いにするというものです。
これにより、同じ110ccや125ccのバイクでも、2段階右折が不要で2人乗りなどがOKな原付二種と、2段階右折が必要で2人乗り不可などの制限のある原付一種という2タイプのバイクが出てくることになります。
また、運転できる免許も異なり、従来の原付二種に対応するモデルは小型限定普通二輪かAT小型限定普通二輪の免許、新基準原付に対応するモデルは原付一種扱いなので、原付免許かそれ以上の二輪免許、またはクルマの普通自動車免許を取得しても付帯されます。
自動車教習所に通う場合の流れ
原付を除くバイク免許を取得するには、自動車教習所に通うか、運転免許試験場などで直接受験するいわゆる「一発試験」を受けるといった2つの選択肢があります。また、原付免許は、運転免許試験場で適性検査と学科試験に合格し、原付講習を受ければ交付されるほか、前述の通り、普通自動車免許を取得すれば付帯されます。
それぞれ、大まかな流れは以下の通りです。
【自動車教習所に通う場合】
学科教習・技能教習
↓
卒業検定
↓
適性検査・学科試験
↓*技能試験は免除
免許証の交付
自動車教習所に通う場合は、学科教習と技能教習を、後述する所定の時限で受講したのち、卒業検定に合格すれば卒業できます。その後、運転免許試験場へ出向き、適性検査と学科試験をパスすることで免許を取得できます。
一発試験に比べると、技能試験が免除されるなどで、比較的に取得しやすいのがこの方法。ですが、取得に必要な日時はもちろん、費用も一発試験よりもかかる傾向です。
なお、自動車教習所の教習費用は、免許の種類や教習所により多少異なりますが、教習時間の少ないAT小型限定普通二輪免許でも10万円程度かそれ以上になることも多いようです。また、より教習時間が長い大型二輪免許では20万円を超えるケースもあるといいます。具体的な金額については、自分が通う予定の自動車教習所へ直接問い合わせて下さい。
一発試験で免許を取る場合の流れ
【一発試験の場合】
適性検査・学科試験
↓
技能試験
↓
取得時講習・応急救護講習
↓
免許証の交付
一発試験の場合は、運転免許試験場で適性検査や学科試験、技能試験をパスした後、取得時講習や応急救護講習を受けることで運転免許が交付されます。なお、取得時講習や応急救護講習は、都道府県の公安委員会から委託を受けている指定自動車教習所で実施することが一般的です。技能試験に受かったのち、指定自動車教習所へ予約を取り受講すると、免許証の交付を受けることができるようになっています。
この場合の費用については後述しますが、自動車教習所に通う場合と比べると、比較的に安価な印象です。ただし、とくに、技能試験の難易度はかなり高い傾向にあるようで、受験1回目で合格するケースは少ないといいます。何度も落ちると、取得の日数や費用的にもかかってしまうので注意しましょう。
原付免許の取り方
【原付免許】
適性検査・学科試験
↓
原付講習
↓
免許証の交付
原付免許の適正検査や学科試験も運転免許試験場などで受けます。学科試験の時間は30分で、文章問題とイラスト問題があります。合格ラインは、正解が50点満点中45点以上(90%以上)。合格後の原付講習では、実際に原付バイクを運転するため、長袖や長ズボン、運動靴など、バイクの運転に適した服装を準備しておく必要があります。
教習所の教習時間は?
自動車教習所に通う場合、学科教習や技能教習の教習時間は免許の種類によって異なります。また、すでに免許を持っているかどうかでも変わります。以下は、「免許なしまたは原付免許のみ」の場合と、クルマの「普通自動車免許を持っている」場合の例を紹介します。ちなみに、クラッチ操作の不要なAT限定免許は、同じ条件でも、比較的に技能教習の時間は短くなる傾向です。
【小型限定普通二輪免許】
・免許なしまたは原付免許を持っている場合
↓
学科教習:26時限 技能教習:12時限
・普通自動車免許を持っている場合
↓
学科教習:1時限 技能教習:10時限
【AT小型限定普通二輪免許】
・免許なし又は原付免許を持っている場合
↓
学科教習:26時限 技能教習:9時限
・普通自動車免許を持っている場合
↓
学科教習:1時限 技能教習:8時限
【普通二輪免許】
・免許なし又は原付免許を持っている場合
↓
学科教習:26時限 技能教習:19時限
・普通自動車免許を持っている場合
↓
学科教習:1時限 技能教習:17時限
【AT限定普通二輪免許】
・免許なし又は原付免許を持っている場合
↓
学科教習:26時限 技能教習:15時限
・普通自動車免許を持っている場合
↓
学科教習:1時限 技能教習:13時限
【大型二輪免許】
・免許なし又は原付免許を持っている場合
↓
学科教習:26時限 技能教習:36時限
・普通自動車免許を持っている場合
↓
学科教習:1時限 技能教習:31時限
【AT限定大型二輪免許】
・免許なし又は原付免許を持っている場合
↓
学科教習:26時限 技能教習:29時限
・普通自動車免許を持っている場合
↓
学科教習:1時限 技能教習:24時限
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