大型スポーツツアラーのフラッグシップ「トレーサー9GT+」の2025年モデルにもY-AMTを追加し、車名を「トレーサー9GT+ Y-AMT」へ変更。2025年5月28日に発売予定です。
888cc・3気筒エンジンを搭載する「トレーサー9GT」に、先行車を追従走行する「ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)」など、先進の運転支援システムを追加した上級バージョンがトレーサー9GT+です。その2025年モデルでは、障害物や他車両などを検知する車体前方の「ミリ波レーダー」に加え、新たに車体後方にもレーダーを追加し、後方から接近してくる車両を検知しミラー内に表示する機能「BSD(ブラインド・スポット・ディテクション)」などを搭載しています。
また、Y-AMTの機能では、ATモードでACCを作動させている時に、定速走行中のギア選択のほか、車速の増減によってもY-AMTが自動的な変速を実施することが大きな特徴。これにより、一般的な四輪のオートマチック車と同様に、追従走行中にシフトアップとダウン、もしくはその維持をシステムに託すことができる二輪車世界初の制御を採用しています。
なお、トレーサー9GT+ Y-AMTの価格(税込み)は198万円。通常のスタンダード車トレーサー9GTの価格(税込み)が159万5000円なので、上級バージョンは38万5000円のアップとなっています。
ホンダDCT
ホンダ車には、「DCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション)」という機能を搭載したモデルもあります。2010年に「VFR1200F」というモデルに採用して以来、長年続いている電子制御シフト機構がDCTです。
大きな特徴は、1速-3速-5速-発進用クラッチと、2速-4速-6速用クラッチという2つのクラッチ(デュアル クラッチ)を備えたトランスミッションを採用していること。通常のマニュアル・トランスミッションでは構造上、どうしても発生してしまう変速時の駆動力の途切れを抑えた、なめらかな加速・減速を可能としていることが魅力といえます。
DCTの場合は、E-クラッチと違い、クラッチ操作とシフト操作がすべて自動化されています。そのため、ライダーはクラッチ操作だけでなく、シフトペダルの操作も不要。つまり、AT車と同じですね。ただし、左ハンドルにあるスイッチで、シフトのアップ/ダウン操作も可能で、4輪AT車のパドルシフト的な機能も備えています。この点では、ヤマハのY-AMTに近い機構だということができます。
ちなみに、ヤマハでも、2006年発売の大型ツアラーモデル「FJR1300AS(現在は生産終了)」に、「YCC-S」という自動化MTシステムを採用していました。Y-AMTは、その進化版といえます。10年以上前から電子制御シフト機構を開発し、それを進化させてきたという点では、ホンダもヤマハも同様ですね。
なお、歴史が長いDCTだけに、搭載するホンダ車もE-クラッチよりも多く、以下の車種に採用されています。
ゴールドウイングツアー
1833cc・水平対向6気筒エンジンを搭載する大型ツアラー。1975年に米国で発売された初代モデル以来続くロングセラーモデルで、2025年4月17日には、発売50周年を記念した特別仕様「ゴールドウイングツアー50thアニバーサリー」も発売されました。価格(税込み)は、スタンダード車374万円、50thアニバーサリー385万円(いずれも2025年5月31日までの受注期間限定モデル)。
CRF1100Lアフリカツイン
1082cc・直列2気筒エンジンを搭載し、「オンロード走行」「オフロード走行」「日常の使い勝手」を高次元でバランスさせた大型アドベンチャーモデル。ラインアップには、ロングストロークサスの採用でオフロード走破性を追求した「CRF1100L アフリカツイン<s>」と、電子制御サスペンション採用の「CRF1100Lアフリカツイン アドベンチャースポーツES」を設定。加えて、いずれにもDCTを採用した「CRF1100L アフリカツインDCT<s>」「CRF1100Lアフリカツイン アドベンチャースポーツES DCT」を用意します。価格(税込み)はDCTモデルが174万9000円〜205万7000円。通常のMT車が163万9000円〜194万7000円なので、DCT搭載車は各11万円アップとなっています。
NT1100
1082cc・直列2気筒エンジンを搭載し、DCTとマッチングさせた大型スポーツツアラー。2025年モデルでは、デイタイムランニングライトとウインカーを内蔵したヘッドライトを採用し、個性的なフェイスデザインをより際立たせています。また、電子制御サスペンションEERAも搭載し、状況に応じた減衰力に制御することで乗り心地の向上を図っています。価格(税込み)は184万8000円です。
レブル1100/1100T/Sエディション
CRF1100Lアフリカツインと同系の1082cc・直列2気筒エンジンを搭載する大型クルーザーモデル。カウルレスのスタンダード「レブル1100」と、大型フロントカウルとサドルバッグを装備した「レブル1100T」を用意するほか、それぞれにDCT搭載車も設定します。2025年モデルでは、ミニカウルなど各種アクセサリーを標準装備した「レブル1100SエディションDCT」も追加して、ラインアップを強化。価格(税込み)はDCT搭載車が131万4500円〜149万500円。MT仕様のスタンダード車が120万4500円〜138万500円なので、DCT搭載車は各11万円高い設定となっています。
NC750X
745cc・直列2気筒エンジンを搭載した大型スポーツモデル。2025年モデルでは、フロントまわりの外観を一新するなどで、スタイルを変更。価格(税込み)は、DCT搭載車の「NC750X DCT」が106万9200円。MT仕様のスタンダードは99万7700円で、DCT搭載車より7万1500円安い設定です。
X-ADV
745cc・直列2気筒エンジン搭載の大型クロスオーバーモデル。2025年モデルでは、DCTの制御をアップデートし、クラッチのより優れた応答と繊細な接続に寄与します。また、5段階に調整可能なウインドスクリーンは機能の見直しで操作性を向上。5インチフルカラーTFT液晶メーターやスイッチ類の改良などで各部の利便性などもアップしています。価格(税込み)は143万8800円です。
カワサキ電子制御6速AT
カワサキでは、独自の「マニュアルモード付き電子制御6速AT(オートマチック・トランスミッション)」を、世界初のストロングハイブリッド・システムを搭載したスポーツバイク「ニンジャ7ハイブリッド」と「Z7ハイブリッド」に採用しています。
エンジンと走行用モーターという2タイプのパワートレインをマッチングさせ、優れた走行性能と低燃費を両立するのがストロングハイブリッド。トヨタの「プリウス」を筆頭に、4輪車ではおなじみとなったハイブリッド機構ですが、2輪車の量産モデルでは初となります(スクーターモデルを除く)。
そんなストロングハイブリッドに搭載された電子制御6速ATでも、クラッチレバーやシフトペダルを装着していないことが特徴のひとつです。変速方式は走行モードによって異なり、EVモードではオートマチックの設定となりバイクが自動変速を実施。また、SPORT-HYBRIDモードでは、マニュアル操作のみとなり、左ハンドルにあるシフトセレクタで変速操作を行います。加えて、ECO-HYBRIDモードでは、マニュアルとオートマチックのいずれかを選択可能。なお、マニュアルでのシフトチェンジは、ライダーから見てグリップ奥にあるシフトセレクタを人差し指で操作すればシフトアップが可能。一方、シフトダウンは、ライダーから見てグリップ手前にあるセレクタを親指で押せば操作できます。
なお、搭載する各モデルの主な特徴は以下の通りです。
ニンジャ7ハイブリッド
カワサキのフルカウル・スポーツモデル「ニンジャ」シリーズに属するハイブリッドバイク。エンジンには、451cc・水冷並列2気筒を採用し、カワサキが「トラクションモーター」と呼ぶコンパクトな走行用モーターをマッチング。ガソリンエンジンとトラクションモーターを協調させることで、システム最高出力51.1kW(69PS)/10500rpmものパワーを発揮しつつも、WMTCモード値23.6km/Lという優れた燃費性能も両立します。価格(税込み)は184万8000円です。
Z7ハイブリッド
ニンジャ7ハイブリッドと同じパワーユニットを採用したネイキッドモデル。カワサキ「スーパーネイキッドZ」シリーズのスタイルを踏襲したアグレッシブなフォルムが大きな特徴です。フレームには、独自のトレリスフレームを採用し、スチール製ながら軽量な車体により軽快なハンドリングを実現。インナーチューブ径41mmの正立式フロントフォークと、リンク機構を持つニューユニトラック・リアサスペンションなどで、足まわりも充実。価格(税込み)は184万8000円です。

















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