崩れたスポンジのカスがポロポロっと……そんなときは封じ込み修理

崩れたスポンジのカスがポロポロっと……そんなときは封じ込み修理

長年乗り続けてきた愛車のシートには、いわゆるヘタリが発生していることが多い。程度が良かった旧車用シートでも、乗り始めたら想像以上にヘタリが早く出始めてしまうことも多々ある。ここでは、愛車のシートスポンジが、ポロポロッと崩れて粉になり始めたときに、真っ先に実践しておきたい応急処置方法を解説しよう。

文/たぐちかつみ

スポンジカスまみれになる前に、早めに処置しよう 



シートボトムが鉄板時代ならほぼ全てのモデルにあり、樹脂ボトムになってからでも、機種によっては存在するのが通気穴。この穴からクッション用スポンジが、ポロポロッと落ちてきたりしていませんか? そんな時にこそ行いたいのが応急処置なのだ。



応急処置その1としてお勧めしたいのが、崩れ始めたスポンジ表面にラバーコーティングスプレーを吹き付け「スポンジの崩れ落ち」を抑える方法である。土砂崩れ防止用の「コンクリート吹き付け」のような意味合いだ。



ラバースプレーは完全乾燥すると弾力性を帯びた極薄のゴムシート状になる。この状況を見ただけでも効果は想像できるはず。スポンジのポロポロ落ちは確実に抑えることができる。ゴムスプレーとかラバースプレーの名称で取り扱われている例がある。

通気穴周辺のスポンジを抑え込むスプレーケミカルとカットスポンジを使った「栓」



シートボトムの通気穴周辺にマスキングを施し、通気穴にスプレーノズルを近づけて吹き付けるだけでラバーコーティングが施される。数十分ごとに数回吹き付けることで、確実な被膜を作ることができる。



数回吹き付けたら、棒でスポンジをグイッと押し込みながら、シートボトムとスポンジの間にスプレーを吹き付けてみよう。こうすることで、通気穴周辺を広範囲でラバーシールできる。試す価値ある対策方法だ。



応急処置その2。崩れ始めたスポンジに向けて通気穴からフレッシュなスポンジブロックを詰め込む(押し込む)方法である。通気穴よりもやや大きめにカットしたスポンジを小さく縮め通気穴に押し込む。

スポンジのカットに利用できる木工道具のホールソー 



厚さ15mm前後が使いやすい。薄過ぎるとコシが無く作業性が今ひとつ。純正スポンジ色が黒ならウレタンゴム製の黒スポンジを利用して、見栄えを良くできる。切り出しはホールソー利用。



カットはハサミでもOKだが、スポンジに腰があるのなら木工用ツールの汎用ホールソーを利用するのが良い。ボトム穴へ入れやすいように「丸く」切り抜くことができる。



スポンジを小さく圧縮して弾力性を利用した封印方法。通気穴にグイッと押し込み、内側から「フタ」をする、まさしく封印作戦である。フレッシュなスポンジがボトム鉄板と従来のスポンジの間に挟まり、押さえられてフタをしてくれるイメージだ。



劣化してボロボロになったスポンジが、通気穴からポロポロッと落ちてくることもなくなり、シートを開けた時にガッカリしなくて済む。外観的見た目の美しさとは裏腹に、劣化したスポンジアンコのシートは多いので、心当たりがある方は試してみよう。

黒色のウレタンゴムスポンジも使い勝手良好 



1970年代前半以前のモデルには黒スポンジ仕様も多い。カワサキの初代500SSシリーズには部分的に黒スポンジが採用されていた。ホンダCB750K0では、通称赤スポンジのブロックが使われていたことでも知られている。



愛車のシートを開けたときに、シートレール周辺がスポンジのカスだらけになっていたら要注意。間違いなくクッションが劣化している証拠である。ここではウレタンスポンジの黒を利用し、ボトム鉄板の穴という穴のすべてに「フタ」を押し込んだ。

POINT
 

 

  • ポイント1・早めの処置でスポンジアンコの崩れ落ちを防止できる
  • ポイント2・ラバーゴムスプレーとスポンジ栓の押し込みが効果的 

 

1970年代後半以前と1980年代以降に登場したモデルのシートを比較すると、クッションスポンジをセットするシートボトムの材質が「鉄板」と「樹脂」の2種類に分けることができる。樹脂ボトムになってからは通気穴が異なり、スポンジが露出する部分が少なくなっている。一方、鉄板ボトムが当たり前の旧車時代は、随所に丸いプレス抜き穴があり、これが通気穴となって内部のスポンジが吸った水分を吐き出すような役割も果たしている。
しかし、70年代前半以前のモデルの中には、この鉄板ボトムの「防錆処理」が悪く、スポンジが吸った水分が原因で鉄板内側からサビが発生し、気が付いたときにはサビに蝕まれて、鉄なのにヘナヘナの柔らかさになっていることもある。特に、コストダウンが命題だった当事の原付モデルや原付2種モデルの場合は、シートボトム裏側(スポンジアンコ側)のサビが酷く、シート交換を余儀なくされるケースが多いようだ。特に、少数派かつ不人気モデルの場合は、補修部品の調達がままならないのは当然で、仮に、中古部品を見つけたとしても、なかなか程度が良い部品を見つけることができない。
ここでは、インナースポンジがヘタッてしまったときの応急処置方法を提案しよう。ひとつは乾燥するとゴムの薄皮のようになるラバースプレーを吹き付ける方法だ。これはスポンジの崩れをラバースプレーの結合作用によって包み込んでしまうものである。そしてもうひとつは、フレッシュなスポンジをカットして通気穴から内部へ押し込み、劣化したスポンジが通気穴部分から露出しないように、内側から「フタ」をしてしまうような方法である。このスポンジを押し込む方法なら、機種によっては大量のスポンジを押し込むことができ、シートの部分ヘタリを「外部から対策できる」裏技もある。

 

詳細はこちらのリンクよりご覧ください。
https://news.webike.net/maintenance/486603/

崩れたスポンジのカスがポロポロっと……そんなときは封じ込み修理【画像ギャラリー】
https://news.webike.net/gallery3/486603/486605/

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