ヤマハ発動機、謹製ですッ! MT-07ベースのクルーザー「Walky7(ワーキーセブン)」SUGOで初お披露目

ヤマハ発動機、謹製ですッ! MT-07ベースのクルーザー「Walky7(ワーキーセブン)」SUGOで初お披露目

10月18日にスポーツランドSUGOで開催された「My YAMAHA Motorcycle Day 2025」に、なんとも無骨だが、ゆえに異様に気になってしまうマシンが展示されていた。「Walky7」と名付けられたこの車両、ヤマハ実験部有志の「提案車活動」から生まれた1台なのだ。

文/松田 大樹

 
 
 

「こんなの面白いんじゃない?」を形にできる活動

My YAMAHA Motorcycle Dayは、ヤマハが毎年開催しているオーナーズイベント。2025年の今年は宮城県のスポーツランドSUGOで行われ、非常にマニアックな(←これが当イベントの特徴にもなっている。追ってレポートします)多数の展示で来場者を楽しませた。

その中でもひときわ目を引いたのが、なんとも無骨な、失礼を承知で言えばメーカー製とは思えない手作り感が炸裂しまくったこの1台。MT-07・Y-AMTがベースの「Walky7(ワーキーセブン)」だ。ワーキー=スラングで散歩という意味のとおり、ゆったりしたライディングを楽しめるクルーザー仕様の提案である。



ヤマハ・ワーキー7



手作り感満載のパキパキ外装、相対的に強烈に低く感じるシートなど、超個性的!

誕生の経緯はヤマハで走行テストを担当する実験部の有志が、MT-07・Y-AMTの開発中に「鼓動感が気持ちいい07のエンジンに、クラッチレバーレスでAT変速も可能な、イージーライドもOKなY-AMTが合体した。コレをベースにゆったり走れるクルーザーを作ったら面白いのでは…?」と考えたことに端を発する。

そんな思いをヤマハ独自の「提案車活動」で形にしたのがワーキー7。ヤマハでは商品開発に必要なスキルやチャレンジ精神を磨くため、業務に支障のない範囲でこうした車両の製作が認められているのだという。近年のヤマハではこの提案車活動が活発化しており、2023年のジャパンモビリティショーに展示された電動ミニバイク「E-FV」や、3輪&ハイブリッドのTW200「TMW」も同じ活動から生まれている。

ワーキー7は「MT-07ベースのクルーザー」という新たな魅力の検証に加え、作業は実験部有志が自分たちで行い、溶接や金属加工を学ぶことも目的に掲げている。そんなわけで金属板をパキパキ折り曲げた、手作り感あふれる外観を持つわけだが、実際には本職のデザイナーにより6つのデザインスケッチが制作されており、この中から選んだデザインを元にワーキー7は作られている(実際の開発と同じステップを踏むのも提案車活動の目的のひとつ)。



金属板を折り曲げて形作られた外装が目を引くワーキー7。後述するが、リヤブレーキは左手操作とされている。



デザイナー(2名の新入社員が担当したという)が描いた6つのデザインスケッチ。「散歩するように心地よく」というコンセプトを踏まえたもので、一般的なクルーザーとは異なるテイストが興味深い。この中からC案が選ばれた。



C案を進化させたスケッチ。タンクカバーとライトステーを兼ねる外装が非常に斬新だ。これを「あえて」手作り感あふれる作りで再現したのは、その方が注目されやすい…という狙いもあった模様。



2023年のジャパンモビリティショーにヤマハが出品したE-FV。電動トライアル車・TY-Eのパワーユニットを転用し、搭載したサウンドデバイスで擬似エンジン音を楽しむことも可能。



同じく2023年のモビリティショーに出品されたTMW。TW200をベースにトリシティなどと同じLMW機構で3輪化し、前輪にはインホイールモーターまで仕込んだハイブリッド車だった。

 
 
 

鼓動感のヒントは…スバル水平対向エンジン?!

というわけで外観には荒々しさが漂うものの、実験部としての「本職部分」の作り込みは当然ながら本格的。フレームやエンジンはMT-07のノーマルを使いつつ、フロントフォーク延長とリヤショック&リンクの変更でリヤ下がりのクルーザーらしい車体姿勢を構築。もちろんライポジも変更され、シート高はMT-07系でもっとも低い730mmを達成。足漕ぎで車体を進められるほどの低シートを実現している。

さらに電子制御トランスミッションのY-AMTは40〜50km/hで気持ちよく走れるシフトスケジュールとし、電子制御スロットルのYCC-Tも同方向でセッティングを変更。また、クラッチレバーのないY-AMT車という点を生かしてリヤブレーキはスクーターのような左手操作とし、さらなるイージーなライディングを追求している。

興味深いのは左側シリンダーのエキパイを右側よりもかなり長く取った、いわゆる不等長エキパイとしている点だ。その狙いは鼓動感の強化なのだが、面白いのはその着想。水平対向エンジンで、レイアウト的にエキパイが不等長になりがちな4輪スバル車の「バラバラバラ…」という排気音から「同じ手法でクルーザーらしい鼓動感を生み出せるのでは?」と考えたのだという。



薄い鞍型のシートはクルーザーカスタムの定番だが、テールカウルをスケートボードとしたバイクは世界初?!



燃料タンクはMT-07純正のインナータイプをそのまま流用。メーターも07のTFT液晶だ。



写真右側のエキパイが左側より長いのに注目(そのツギハギ感も提案車ならでは?)。ステップも前方に移動されている。

ちなみにスバル水平対向のあのバラバラ音は、エキパイが不等長ゆえに起きる排気干渉(=効率の悪さ)の音で、等長エキパイならあんな音はしない。もちろんワーキー7開発陣もそれは理解していたが、実際に試してみると鼓動感は増し、サイレンサーの変更でそれを強めることもできたというから興味深い。バイクは高効率が必ずしも正解ではない乗り物だけに、それを実際にテストできる機会は提案車活動ならではと言えそうだ。

 そんなワーキー7の解説ボードには「市販予定はありません」と念押しされていたものの、ヤマハの名車セローも「恥ずかしいほどの手作りでした」と開発者自身が振り返る、1台の実験車両がスタートだったと筆者は聞いている。クルーザーなら市場性もありそうだし、偉い人の目に留まればワーキー7、ワンチャンあるのではないですか?!



MT-07 Y-AMTからの変更点を示すボード。「本モデルは実験モデルであり開発/発売の予定はありません」とあるが、まあ、今のところはね…。



あえて実際の新車開発フローと同じ流れで進めることで、開発スキルを高めるのも提案車活動の目的。とはいえ、非常に楽しそう…。

 

詳細はこちらのリンクよりご覧ください。
https://news.webike.net/motorcycle/496543/

ヤマハ発動機、謹製ですッ! MT-07ベースのクルーザー「Walky7(ワーキーセブン)」SUGOで初お披露目【画像ギャラリー】
https://news.webike.net/gallery3/496543/496604/

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