アメリカからの輸入車が追加試験なしで輸入可能に! ハーレーなどのバイクやATVも適用へ!? 国交省に詳しく聞いてみた

アメリカからの輸入車が追加試験なしで輸入可能に! ハーレーなどのバイクやATVも適用へ!? 国交省に詳しく聞いてみた

 日米首脳会談を受け、国土交通省では米国からの輸入車を追加試験なしで輸入できる方針を固めたという。ハーレーやインディアンなど米国メーカーのバイクも対象になるのか? はたまたサイドバイサイドやATVといった米国ならではの車両も対象に? 国土交通省の担当者に取材してみた。

文/沼尾宏明

 
 
 

米国車の販売を妨げていたカベがなくなり、日本に輸入しやすくなる

 2025年7月に行われた日米関税交渉を受け、11月、国土交通省が米国からの輸入車の審査手続きを簡素化するため検討を開始した。現在は米国の安全基準を満たした場合でも、日本国内で追加試験が必要だが、試験なしで書類審査のみで輸入できるようにする。さらに今後、改正案のパブリックコメントを行うという。

 日本は欧州などと二輪四輪の安全基準に関する試験を共通化するWP29(自動車基準調和世界フォーラム)に参加。輸入&輸出の審査を簡略化しているが、米国はこれに参加せず、独自基準を設けている。そのため、日本側で再び試験をやり直し、日本の型式指定などの審査をクリアする必要がある。

 米国車は1990年代中盤まで年間10万台以上が輸入販売されていたが、人気が落ち込み、2024年の輸入台数は約1万6000台に落ち込んでいる。米国車の販売不振は、日本の追加試験が障壁になっているとトランプ大統領は主張。日本の基準で必要な試験項目を満たさなくても、米国内での試験結果で安全性が確保されていれば、追加試験を免除する仕組みとするという。

 ――バイクも対象となれば、アメリカを代表するハーレーダビッドソンがもっと入荷しやすくなり、価格も下がるのでは……なんて思ってしまうが!? 疑問を国土交通省に電話取材してみた。

 
 
 

バイクが対象の可能性はアリ! ただしハーレーはタイ生産なので対象外か

 まず結論から言うと「米国で製造され、かつ、米国で安全が認証された乗用車について、日本国内での販売のため追加試験なしで受け入れる」という文言以上のことはまだ決まっていない。バイクが対象になるかは現時点では未定だ。

 この文言は、トランプ大統領が10月に訪日した際に交わした日米の共同文書で交わされたもの。国交省の担当者によると「共同文書にある“乗用車”は英語でPassenger Vehicleと明記され、これにどこまでの車種が含まれるのか現時点では文言以上のものがない状況。普通4輪車のほか、バイクやトラックなども含まれるのか、検討している段階です」と話す。

 もちろん「バイクが含まれる可能性はある」という。となれば、米国仕様をわざわざ日本仕様へ変更せずに済み、コストダウンが図れるはずだ。

 しかし「米国で製造」が条件。ハーレーの場合、日本向けモデルは基本的にアメリカ製ではなく、2022年からタイ工場で生産されている。米国製はCVOなどの一部モデルのみだ。

 国交省担当者によると「こちらもまだ決定事項ではありませんが、“米国からの輸出が少ない”ことが米国側の問題意識なので、米国メーカーの車両でも他の国からの輸入は対象外と理解しています」とのこと。ハーレーが規制緩和の影響を受けることはないかもしれない。



アメリカを代表するアイコンの一つであるハーレーダビッドソンだが、現行の日本仕様は基本的に米国製造ではないため、規制緩和の恩恵はない可能性が。

 アメリカ製バイクメーカーで忘れてはならないのが「インディアン」。こちらはチーフ、スプリングフィールド、チーフテン、チャレンジャー、ロードマスター、パースートがアメリカ製なので、バイクが対象になれば規制緩和の恩恵を受ける可能性がありそうだ。



インディアンは大部分のモデルが米国生産(写真はチーフボバ―ダークホース)。2022年モデルからスカウトとFTRシリーズがベトナム生産になった。

 
 

4輪バギーもナンバーが取れる? その可能性は低そう

 ATVやバギー、サイドバイサイドといったオフロード4輪がどうなるのかも気になるところ。ホンダ、ヤマハ、スズキ、カワサキは米国に工場を持ち、米国で人気がある車両だ。

 日本では基本的に公道走行できないが、米国では公道走行が可能(州によっては許可していない場合もあり)。今回の追加試験なしによって、日本でもナンバーが取得できたりするのだろうか?

 国交省担当者によると「先ほど申し上げたとおり乗用車の中にそれらの車種が入るのか未定ですが、ちょっと考えにくいと思います」という。



横並びのシートがあるバギーがサイドバイサイド。カワサキのTERYX KRX1000は国内でも販売中だが、日本で公道走行はできない。米国ではH2のスーパーチャージドエンジン搭載バージョン(写真)も発売中!



ATVはより小型で、バーハンドルやシートを備えたバイクに近い構成。こちらも日本では特定の条件を満たさないとナンバーは登録できない。写真はホンダのTRX250Xで229cc空冷OHV単気筒を搭載。

あまり日本への影響はなさそうだが、並行輸入は?

 今後、パブリックコメントを募集するとのことだが、開始時期などは「なるべく早くしたいと考えていますが、未定」とのことだった。

 話を総合してみると、現在、安全基準などの関係で日本に入荷されていないアメリカ向け車両に対し、日本へ輸入&販売しやすくするための制度という印象(例えば一部のピックアップトラックなど)。そのため、既に日本の法規に合わせて販売されている車両に関してはほぼ影響がないと考えられる。

 ただし「並行輸入」まで対象になれば、やや事情が変わってくる。二輪四輪の認証制度については、検査が厳格かつコストが高く、扱い台数が多い順から「型式指定」、「輸入自動車特別取扱制度」(PHP)、「並行輸入」の三つがある。今回の「追加試験不要」は型式指定のみ対象となる模様だが、「並行輸入」まで試験不要となれば、個人輸入などのハードルは低くなる。

 もちろん、追加試験が不要となっても、安全性の担保は当然必要。米国のクルマは、歩行者の保護や自動ブレーキなどの基準が日欧と異なり、どう折り合いを付けるのか気になるところだ。今後も動向を見守りたい。



JAIA(日本自動車輸入組合)の資料より。正規代理店の輸入バイクは、国産メーカーと同じく型式指定が選べるほか、5000台以下限定のPHPで入荷されるのが一般的。PHPおよび個別検査の「並行輸入」まで追加試験不要になるかは現時点で不明だ。

 

詳細はこちらのリンクよりご覧ください。
https://news.webike.net/bikenews/502439/

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https://news.webike.net/gallery3/502439/502462/

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