■ダブルデッカー車のジレンマ
マニアでなくても人気の二階建てバス(ダブルデッカー)は、国産車が製造を中止して新車で納車されるのはすべて輸入車になっている。マニア的にはデザインが美しく迫力のある走りが人気だった国産車の三菱ふそうのエアロキングだが、すでに現役で走っている車両は少ない。つまり経年により廃車が進んでいるのだ。
現在のダブルデッカー車の主流はスカニア・バンホールのTDX24(J-InterCity DD・アストロメガ)である。スカニアはスウェーデンの大型車メーカーで大型トラックでもよく見かける。バンホールはベルギーのボデーメーカーなので、スウェーデンメーカーのエンジンと足回りに、ベルギーメーカーの車体を架装したのがTDX24というわけだ。
高速車や貸切車に導入され、最新の安全装置や欧州的デザインで洗練されたイメージがあるのがTDX24だ。こんな大きな二階建てバスでもエンジンは直6の13000ccで410馬力だ。それでもマニア的には残り少ないエアロキングの方に圧倒的な人気がある。
プロの運転士に聞いてみると、視点により評価は分かれる。走りについては概ね満足できるようで不満を聞いたことはあまりない。しかし電装系に難が多いようで、故障の多発は国産車の比ではないという。またダブルデッカー車の考え方の違いから概してサスペンションがかために設定されているようで、乗客の乗り心地という面ではエアロキングに軍配が上がるようだ。
これは海外におけるダブルデッカー車は多くの乗客を詰め込める「容量重視」のため、乗り心地は二の次で路線バスとしての考え方である。日本では観光バスや高速バスで床面積の広さをシートピッチの拡大や高い座席位置からの車窓の良さに重きを置いた高速バスや観光バスでの使用を前提としているので、乗り心地は重要なのだ。
■マニアの声もあながち間違ってはいない?
本稿はあくまでもマニア的な目線で趣味の範疇での意見に過ぎないが、プロの運転士の話も加えてみるとまた違った見え方ができる。マニアの見方と運転士の見方は異なるが、結論は同じというケースも多いのが面白い。
たかがバスなのだが、毎日乗る路線バスですらマニアは楽しくて仕方がないのだ。こうなるとラッシュ時の通勤や通学の時間も至福の時間に変わる。読者の皆さんもバスマニアはいかがです?
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