およそ1,210平方キロメートルの面積を擁する沖縄本島。クルマ社会中心の同地には、縦横無尽に道路網が張り巡らされている。
文・写真:中山修一
(沖縄本島バス1周チャレンジの写真付き記事はバスマガジンWebもしくはベストカーWebをご覧ください)
■けっこう長〜い沖縄の海岸線
沖縄本島のサイズを他の島と比べてみると、ハワイのオアフ島(1,545平方キロメートル)よりも少し小さいくらい。
巨大な島ではないにせよ、海岸線の長さでは476kmあり、決して小さくない、と思わせるスケール感である。
また、沖縄本島に敷かれた主要道路を経由しながらグルリと1周すると、距離にして360kmくらい。これは東京から高速道路を利用して、名古屋市街よりも少し先まで行ける長さだ。
小さいようで意外と大きいのが沖縄本島の姿。同地での移動は自動車が中心であり、鉄のレールの上を走る公共交通機関がないため、無数の路線バスが各地をカバーしている。
路線バスの数があまりに多く、北海道〜九州までのバスとは乗り方をはじめ、お作法がかなり違う印象もあって、観光客にとって沖縄の路線バスは、日本国内でも攻略が難しい部類に入る。
しかしキメ細かな路線網を持つだけに、一旦覚えてしまえばこっちのもの。行きたいところがあるなら、概ねどこにでも連れて行ってくれる、かなり便利な移動手段に変身してくれそうだ。
■バスで沖縄本島1周だと!?
先日沖縄本島を訪れて、バスに乗って遊んでみようとプランを思案したところ、大風呂敷もいいところながらも至極素朴な疑問が花開いた……「沖縄本島バスで1周できねぇかな?」。
沖縄のバスの総合拠点になっている那覇バスターミナルをスタート地点に据えて、海岸線にビッタリ沿う必要はないが、同じところを2回通らないようにバスを選びながら、時計回りに各所を通過しつつ、那覇バスターミナルに戻ってくる、といった趣向だ。
最初から全行程を調べるのはやめて、バスのリサーチができるのは乗車前日からで、その日のうちに到着したい場所まで行くバスに限定。
ただし、目的のバスに乗って淡々と進むだけでなく、本ルートを一旦外れ寄り道してから、また本ルートに戻ってくるレジュームはOKにした。
そのほか、沖縄のバスは難しいので、乗れるバスの種類も無制限。高速バスでも路線バスでも送迎バスでも、利用できるものはバスなら何でも利用してよい。
■思った以上にスンナリ
スタート地点の那覇バスターミナルは、沖縄都市モノレールの旭橋駅から歩いて行ける。そこから本島の西側に寄せながら進んでいく目論見だ。
高速バスでいいか、と思ったのだが、意外なことに那覇から65kmくらい離れた、西側の主要都市の一つである名護まで、直通タイプの一般路線バスが出ていた。
那覇発名護行きは何系統かあるようで、このうち沖縄バス/琉球バスが共同運行している「120番」が割と西側の海岸線に近いところを通るバスのようだ。
ぜんぶ一般道を走る路線だけに、終点まで2時間以上かかる超ロングライドにはなるものの、一般路線バスがあるならそっちにしよう、と、120番を選んだ。
120番を使って、途中しばらく寄り道したものの、名護バスターミナルには滞りなく到着。名護の街は、地図で見て沖縄本島の左上のコブになっている部分(本部半島)の付け根に位置している。
せっかく来たならそのコブの部分、本部半島の海岸線寄りをトレースしながら進みたいと考えたところ、沖縄バス/琉球バスの「65番」と、途中からやんばる急行バスの「YKB-4T系統」がカバーしているとわかり、こちらも支障なくコマが進んだ。
その後も、名護バスターミナルを拠点にしている「67番」が、名護から30kmくらい北上した国頭(くにがみ)村の辺土名(へんとな)まで直通しており、沖縄本島北端の辺戸(へど)岬の約20km手前まで割とスンナリ来られてしまった。