大阪・関西万博へのアクセスとして設定されたシャトルバスについて13本の記事を執筆した。今回で最後となる万博記事は、これまで乗車したシャトルバスをはじめ会場内の移動手段であった「e-Mover」などの公共交通機関やシャトルバスが果たした役割とその課題についてまとめた。
文/写真:東出真
編集:古川智規(バスマガジン編集部)
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■アフター万博も人気?
2025年4月から大阪・夢洲(ゆめしま)で行われた大阪・関西万博は同年10月13日に184日間の会期を終えて閉幕した。序盤は来場者数が伸びず苦戦したものの、9月に入ると連日20万人を超える人が詰め掛けるようになり、会場内は混雑が目立った。
最終日は閉幕式のほかフラッグパレードやクロージングイベントが各パビリオンで行われ別れを惜しむ人が開場時間のぎりぎりまで記憶に残そうと留まる姿が見られた。
最終的な入場者数は29,017,924人(関係者含む)となり多くの人の心の中に大阪・関西万博の思い出が刻み込まれたことだろう。また閉幕後もグッズ関連の売れ行きは好調で、大阪市内では新たにミャクミャクのグッズを取り扱う万博ポップアップストアがオープンするなどまだまだ人気は続きそうだ。
■誰得?なアプリシステム
大阪・関西万博が開幕した4月13日に筆者は会場へ出向いた。乗車したのは近鉄大阪上本町駅の1つ上のフロアにリニューアルされた「近鉄上本町バスターミナル」であった。ここからは大阪空港へ向かうリムジンバスが発着していたが、その奥に万博会場へと向かう専用のホームが用意されていた。
初日ということもあり、多くの関係者が乗車手続きの対応にあたっていた。今回の大阪・関西万博は「並ばない万博」をうたい、会場内は全てキャッシュレスという取り組みが行われた。それに伴いこの会場アクセス関連についてもキャッシュレス化となった。
まず予約・決済については関西の交通事業者7社が参加する交通系のアプリ「KANSAI MaaS」を利用することとなった。「KANSAI MaaS」は大阪・関西万博を見据え2023年9月5日にリリースされたアプリで、ルート検索や沿線の観光スポットの紹介、企画チケットなどの購入が可能だ。
そして大阪・関西万博のシャトルバスはアプリの専売だった。ただこのアプリも使い勝手がよかったわけではなく、いざ万博が始まると様々な問題が発生した。
まずは登録・予約手順の多さである。アプリのトップページに大阪・関西万博のページに飛べるものの、そこから乗車したいシャトルバスを選んで路線の詳細ページ、購入手続きのページ、乗車人数を入力してから乗車する日時を選ぶという流れでなかなか手間がかかる。
またここまで来ないと乗車したいバスが満席なのかどうかも分からないため、次の決済画面まで進んでもその先で満席のためキャンセルということもあるなど、手間と購入できないことに不満に思った方もいたのではないだろうか。
そしてシャトルバスを予約しても、乗車時に提示するチケットの画面にたどり着けない人もいたようで、どうやって表示させるのか、近鉄上本町バスターミナルでは乗客の手続きを行う係員とは別に、このアプリの説明にも係員を置いていて本来なら使いやすくしなければいけない所を余計に人員が必要な事態になっていた。
これは改善の余地があるのではと感じた。ちなみにその後も近鉄上本町バスターミナルは利用したが、同じような係員がいたので会期中大変だったのではと想像される。
また別の機会にJR桜島駅からシャトルバスを利用した時の話だが、開幕した頃はJR桜島駅のバスターミナルに乗車する際に画面を提示し、万博夢洲第1バスターミナルではそのまま降車可、そして帰りは乗車前に係員が画面をチェックして、JR桜島駅バスターミナルで再び画面を提示という流れであった。
ただこのチケットの画面は一度閉じてしまうと再び表示させるにはまたチケットの購入ページに戻る必要があり、アプリのトップページからすぐに表示することが出来ない。筆者も経験したがチケットを利用するというボタンを押して画面を閉じてしまうと、使用済になってしまいチケット利用中のページから消えてしまう。
利用履歴でチケットを購入したことは確認することができるのだが、この誰得な分かり難さももうすこし改善の余地が必要だと感じた。それと普段スマホなどでキャッシュレス決済を使っている人からは交通系ICとの連携がないことに使いにくさを感じる人もいたようだ。
関西の交通事業者7社にはJR西日本も含まれているのだが、アプリ内で紐付けができるとスムーズになると思うがその考慮はなかったようだ。結果新たにアプリを入れ登録する必要が発生してしまったのは、今後のイベントについても検討する必要はあるだろう。






