バスのお仕事とは、なにも運転士だけではない。貸切バスのバスガイドも重要な職業だ。現役バスガイドが楽しく真剣に仕事の魅力や大失敗談を赤裸々に語る「へっぽこバスガイドの珍道中」をお届けする。今回は貸切バスの小さなお客様である子どもたちの団体の様子をお伝えする。
文/写真:町田奈子
編集:古川智規(バスマガジン編集部)
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■素直だからこそ難しい小学生の団体
貸切バスには、実にさまざまなお客様が乗車する。小さなお子様からご年配の方まで、年齢も目的もさまざまだ。その中でも、バスガイドとして特にやりがいを感じるのが小学生の団体である。
子どもたちは、良い意味でも悪い意味でもとても素直だ。案内が面白くなければすぐにはしゃぎ始めたり、眠ってしまったり、「DVD流して!」という声が飛ぶこともある。だからこそ小学生団体の車内では、どう過ごしてもらうかがとても重要になる。
車内では、観光案内を子どもたちにも分かりやすい言葉で伝えたり、その土地にまつわるクイズを出したりする。なぞなぞや心理テストを取り入れることもあるし、時にはみんなで歌を歌いながら高原を駆け抜けたこともあった。
ただ景色を眺めるだけではなく、子どもたちが参加しながら見て、感じて、楽しめる時間をつくる。それが小学生団体の車内づくりだ。言い方を変えれば、子どもたちと一緒に遊びながら時間をつくっていくような感覚に近いのかもしれない。
自分が楽しんでいなければ、子どもたちも楽しめない。しかし、ガイドだけが盛り上がっていても意味がない。そのバランスがあるからこそ、難しくて、そして何より楽しい仕事なのだ。
■年間行事で毎年会える学校
以前に学校行事で毎年担当していた学校があった。都内でも有数の私立校で、案内内容や言葉遣いにも細かな配慮が求められる学校だった。初めて担当したときは、正直かなり緊張した。言葉ひとつひとつに責任が伴うからだ。
しかし実際に接してみると、子どもたちはとても純粋で、好奇心のかたまりだった。「なんで?」「どうして?」と次々に質問が飛んでくる。時には答えに詰まり、あとから必死に調べて説明したこともあった。大人の団体だとこうならないので余計に緊張するのだ。
■成長していく姿を見守る仕事
初めて会ったときは腰くらいの背丈だった子どもたちが、数年後に再会したときには背を追い越している。「もう背、抜かしたね!」そんなふうに笑う姿を見ると、その成長の早さに驚かされる。毎年顔を合わせている子どもたちは「また会えたね!」「この前、一緒に〇〇行ったよね!」と声をかけてくれる。
あるとき、車内でこんな質問をしてみた。「将来、どんなお仕事をしたい?」すると車内から「お花屋さん!」「恐竜博士!」「お医者さん!」「ケーキ屋さん!」と、元気な声が次々と返ってきた。その姿を見て、思わずこう伝えた。「みんななら、なんにでもなれるよ!」
子どもたちは、これからの社会を担う存在だ。その無限の可能性を感じる瞬間でもある。そして、そんな子どもたちの思い出のひとつに、貸切バスで過ごした時間が残ってくれたらうれしい。今日もどこかで、大型バスは子どもたちの笑い声を乗せて走っている。
バスガイドは車内を少しでも楽しい時間にするためにマイクを握る。大型バスに夢を乗せて。これからも、そんな時間を届けていきたい。もし貸切バスで旅行するお子様がいるならば、帰ってきて「ガイドさんはどうだった?」と聞いていただきたい。
その答えを私たちバスガイドが聞くことはないだろうが、子どもたちの回答の中からバスガイドの仕事を感じ取っていただければ幸いである。
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