1970年代にタイムスリップ!! それは中型バスが路線バスとして確立したときだった

1970年代にタイムスリップ!! それは中型バスが路線バスとして確立したときだった

 全長9mクラス、全幅2.3mのいわゆる中型バス。今でこそ地方の路線バスの主力として活躍するサイズだが、中型バスを路線バスとして活用するようになったのは実はそれほど古いことではなく、1970年代の半ばごろからのことであった。

(記事の内容は、2025年9月現在のものです)
執筆・写真/鈴木文彦(交通ジャーナリスト)
※2025年9月発売《バスマガジンvol.130》『写真から紐解く日本のバスの歴史』より

■当初は貸切・自家用向けの車種

【写真1】三菱 MR620の当初モデルは前後共通プレスに独特の窓配置の近代的スタイル。日東交通で前扉ワンマンで使用した例(1982年)
【写真1】三菱 MR620の当初モデルは前後共通プレスに独特の窓配置の近代的スタイル。日東交通で前扉ワンマンで使用した例(1982年)

 全長9m(短尺車で8m前後)、全幅2.3mのサイズがラインナップされるようになったのは1960年代半ば。

 日野がRM100型、三菱がMR620型を相次いで発売したのがきっかけで、主要なコンポーネントを4tトラックと共通化した小径タイヤの車両であった。ボディは日野が大型を縮小したイメージ、三菱が大型とは異なる独特なデザインであった。

 三菱は1970年にエンジン出力を上げ、MR620型後期に採用され、その後しばらくの間、三菱中型バスをイメージづけた庇つきメトロ窓のB623B(全長7.8m)、B623E(全長8.6m)に移行した。

 日野も同年にモデルチェンジし、全長7.85mのRL100型を発売、いすゞも1972年に全長8.2mのBK30型を、日産ディーゼルもRM90E(全長8.1m)とRM90G(全長8.7m)をラインナップした。

 いすゞは大型とは異なるボディ形状、日産ディーゼルは富士重工の大型ボディを小さくしたようなスタイルだった。

 ここまではこのサイズのバスは主に自家用送迎で、小規模な需要に対応した貸切バス用途が加わる程度であった。ボディ仕様も日野RLは路線バス型の“バス窓”があったが、ほかは引き違いのメトロ窓であった。

■路線バスとしての中型需要の発生

【写真2】徳島市交通局が採用した日野 RL100前中折扉ワンマン仕様。大型を縮小したようなバス窓のボディ(1989年)
【写真2】徳島市交通局が採用した日野 RL100前中折扉ワンマン仕様。大型を縮小したようなバス窓のボディ(1989年)

 これら中型モデルが路線バスに活用されるようになったのは、それぞれのモデルが次の段階に入る1975~76年からであった。

 すなわち日野がRL320(短尺RL300)、三菱がMK115H(短尺MK115F)、いすゞがCCM410(短尺CCM370)、日産ディーゼルは形式変わらずRM90G(短尺RM90E)となり、全長がほぼ9m(短尺8m前後)に揃った段階である。

 路線バスとしての活用事例は、当初のモデルの時代にもなくはなかった。

 三菱MR620の初期型を路線で運用した【写真1】のケースや、日野RL100型を路線向けに中扉仕様にした【写真2】【写真3】、前扉サッシ窓の金産ボディを架装した【写真4】、三菱B623Eに中扉を設置した【写真5】のケースなども見られたが、まだまだ路線バスとして成熟した仕様とは言えなかった。

 1970年代当時、津々浦々まで拡大したバス路線網の一部には大型で走るほどの需要がない路線もあり、次第に収支の悪化が目立つようになるとコストダウンを考える必要が出てきた。

 さらにこの時期はワンマン化が進められており、狭隘路や折り返しスペースなど道路条件でワンマン化が進めにくい路線も、車両を小さくすることでワンマン化を可能にできるという側面もあった。

■中型ワンマンバスの成熟

【写真6】いすゞはCCM系の登場で川重が担当する中型独特のボディが確立した。最も一般的なスタイルの秩父鉄道のCCM410(1981年)
【写真6】いすゞはCCM系の登場で川重が担当する中型独特のボディが確立した。最も一般的なスタイルの秩父鉄道のCCM410(1981年)

 こうして1970年代半ばにモデルチェンジされた4メーカーの中型バスは、最初から路線バスとしての使用を考慮して2扉を前提とした設計となり、前後も方向幕を設置できるスペースが確保された仕様となった。側窓もサッシ2段の上下昇降窓が標準となった。

 当時はワンマン仕様も地域や事業者によって多様だったので、中扉折戸・引戸、後扉折戸・引戸への対応も可能となった(短尺はリヤオーバーハングの関係で後扉不可)。

 路線バスに中型バスが普及し始めたころの車両を、まずはいすゞ車から見ていただこう。

 【写真6】はCCM410の初期における最もポピュラーな路線バス仕様である。【写真7】は1976~77年ごろに一部の地域で見られた前面方向幕の左右に三角形のルーバがつき、側窓の四隅にRが付いたタイプである。

 そして1980年代初めまでは北村製作所も小型と同デザインのボディをCCMに架装していた(【写真8】)。〈つづく〉

【画像ギャラリー】当初は貸切&自家用向けとして活躍!! 1970年代中頃から路線バスとして使用された中型バスの歴史(8枚)画像ギャラリー

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