バスのお仕事とは、なにも運転士だけではない。貸切バスのバスガイドも重要な職業だ。現役バスガイドが楽しく真剣に仕事の魅力や大失敗談を赤裸々に語る「へっぽこバスガイドの珍道中」は、バスガイドがお客様をお迎えする前、つまり朝の準備のお話をする。
文/写真:町田奈子
編集:古川智規(バスマガジン編集部)
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■バスガイドの朝は意外と忙しい!
普段、何気なく観光バスに乗っている方も多いだろう。では、そのバスがお客様の元へ向かうまでに、バスガイドはどのような準備をしているのだろうか。今回は、あまり知られていない「バスガイドの朝」を紹介してみたい。
バスガイドの朝はとにかく早い。早ければ午前3時半起き。そのため、繁忙期には夜8時頃に寝ることも珍しくない。もちろん、朝起きてそのまま会社へ向かうわけではない。制服に着替え、身支度を整え、自分の荷物を確認する。
業務で必要な路線帳、旗棒、乗務カバン、指示書、行程表など、持ち物も多い。本来であれば前日に準備を済ませておけば良い話なのだが、私は当日の朝になって「あれがない!」「これがない!」と慌てることもしばしばだ。
子どもの頃、親から「明日の準備をしておきなさい」と言われていた意味を、大人になって痛感したものである。みなさんも明朝は朝一番の飛行機や新幹線で出張だという前夜は似たような状況ではないだろうか。
■出勤したらまずはバス探し?
会社へ到着すると、出勤簿にハンコを押して、運行管理者へ出勤したことを報告する。その後に自分が乗務するバスを探しに向かう。会社によって違いはあると思うが、多くの営業所では「今日はどのバスがどこに停まっているか」を示した配置表がある。おそらく運転士も同じことをしているだろう。
しかし私はこれが苦手だった。車番を確認して探しに行くのだが、なぜか自分のバスが見つからない。車庫の中を行ったり来たりしながら探しているうちに、見かねた運転士さんから「そこだよ」と教えてもらうこともしばしばだった。
今思えば車番と配置表を照合すればすぐ分かる話なのだが、新人の頃はそれすら一苦労だったのである。私が育った会社では、他の営業所から来た車両に乗務することも多く、比較的準備が少ない環境だったが、それでも自分の営業所のバスに当たれば全て自分たちで準備しなければならないのは言うまでもない。
■バスの準備は意外と細かいぞ!
バスに到着したら、まずは自分の荷物を車内へ運び込む。その後に団体名を書いたステッカーを用意して挟み、丸番(号車ステッカー)を貼り付ける。ポットへ給水を行い、そこから本格的な車内準備が始まる。一言で「バスの清掃」と言っても、やることは意外と多い。
シートカバーを整え、座席のホコリやゴミを払い、空調の吹き出し口を確認する。さらに車内を掃き掃除し、窓ガラスを拭き、DVD機器やマイクの動作確認も行う。ここまで終わって、ようやく出発の準備が整うのである。
なぜそこまでやるのかだが「決まりだからやっているだけ」と思われるかもしれないが、決してそうではない。全てはお客様に安心して快適に過ごしていただくために必要なのでやっているのである。
朝から車内が汚れていたり、お願いしていた設備が使えなかったりすれば、お客様は気持ちよく旅を始めることはできないだろう。そして何よりも、私たち自身も気持ちよく仕事ができなくなる。だからこそ、出発前の準備には一つひとつに意味があり、心を込めて準備をしているのだ。


