フジエクスプレスで臨時運転士として乗務する記者のバス運転士日誌は、9月12日に行われた東京営業所見学会の模様をお伝えする。今回も運転士側の提案で新たな試みが行われ好評だったようだ。その新たな試みとは?
文/写真:古川智規(バスマガジン編集部)
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■駅へのお迎えは中型2台
今回の東京営業所見学会は、15名以上が参加するという大規模のものになる予定だ。中型路線車1台でも十分に乗車できるが、荷物や同乗するスタッフ、着席の余裕を考慮して2台でお迎えに行くことになった。
8時30分には同僚運転士と2名で出勤の点呼を受けて、1日の流れを確認した。その後に小型車で周回運転する運転体験用のスペースを作るために出庫しない車両を車庫の端に寄せる作業に取り掛かった。送迎用の中型路線車2台と運転体験用の小型車1台を車庫の中央に引っ張り出しておいて、その他の車両を端に寄せる。
ここで同僚運転士の発案を聞いた。運転体験で使用する小型車は日野ポンチョだ。毎回ポンチョを使用して運転体験を行う。しかし、同僚運転士は違う車両を使ったらどうだろうと言い出した。
■2部署に交渉!
同僚運転士は同日には仕業に入らない電気バスを使ったらどうだろうと言い出したのだ。この場ではあくまでも記者との世間話だったが、それは妙案だと思い激しく同意のうえで交渉することにした。
見学会を計画指揮するのは総務の採用担当部署だ。そして使用する車両やそれらの運用をしているのは、運行管理者がいる運転部署だ。そこで、記者が総務担当に同僚運転士が運転担当にそれぞれ主旨を伝えて、電気バスに変更したい旨を交渉した。
総務担当部署は、「現役運転士がそう言うのであれば良いことはどんどん取り入れて実行してください」とのことだった。同僚運転士も運転担当に交渉して電気バスに変更することを承知してもらい、バスのカギを受け取っていた。
現場で実行可能なことはすんなりできてしまうところは、いつも記者が述べているフジエクスプレスの良い意味での「ゆるい」ところだ。早速、日野ポンチョを端に寄せて、小型の電気バスである日野ポンチョの改造車を出してきて準備を行った。
この車両はまだ電気バスが実証段階だったころに日野自動車がディーゼル車である日野ポンチョを改造車として電気バスにしたもので、いわば試作車である。バッテリーを積む専用区画がないために、エンジンが載っていた場所に東芝製のバッテリーを積み込み電気バス化したものだ。
よって航続距離は30キロメートルと短く、コミュニティバスに特化した仕様であるともいえる。この車両はフジエクスプレスに配属され実証運行され特に問題なく現在でも芝ルートで活躍しているが、市販車として製造されることはなく残念ながら試作車で終了してしまった。
ということは、日野自動車製の国産小型電気バスに乗ることができるのはフジエクスプレスだけということでもある。しかも、その珍しい車両で運転体験をするというのが今回の主旨である。運転系の操作方法はディーゼル車と同じなので特に特別なことはない。
違うのはATのシフトレバーが、RNDの3ボタンになっているだけで、ドライブモードにしてアクセルを踏めば発進するし、ブレーキを踏めば止まる。そして排気ブレーキのスイッチを入れると1段の電力回生ブレーキになり減速する。回生ブレーキは概ね10km/hで失効するので、最後はフットブレーキで止める。電車のような全電気ブレーキという仕組みはない。自動車なのでそういう機構はそもそも想定されていないし難しいのだろう。



