走り終えたバスが帰る先が「車庫」であるのは想像に難くない。ではその車庫に何か決まり事はあるのだろうか。
文・写真:中山修一
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■車庫じゃくてバス置き場?
普段よく見かける、まとまった数のバス車両が置かれている場所の一つに、規模が大きめなバスターミナルの中が挙げられる。
ロータリー式のターミナルなら、外周に停留所を置いて敷地内の中心部分に駐車スペースを設けるのが定番のスタイルだ。
しかし、そういったバスターミナル併設の駐車スペースが車庫に含まれるかといえば、大抵の場合その機能は持っていない。
あくまで運行中のバスを、ダイヤの合間などに一時的に停めておくための場所となっていて、車両を夜通し置きっぱなしにすることは基本的にない。
その日すべてのバスの運行が終了すると、バスターミナル内併設の駐車スペースは完全に空の状態になるはずだ。
■結構細かい「車庫」の条件
乗合バス・貸切バスともに、運行を終えると「営業所」と呼ばれる、その地域のバス事業者の拠点に戻るのが一般的と言える。
営業所=車庫と考えて差し支えないほどだが、この図式が成り立つのは法律で決められているためだ。国土交通省の規定によれば、バス車両の車庫は基本的に営業所に併設するものとある。
例外も書かれており、スペースの問題でどうしても営業所に車庫を併設できない場合、直線距離で2km以内に別途車両置き場を作っても良いことになっている。
営業所併設型の車庫は乗合バス事業者での“お約束”なスタイル。営業所と車両置き場を別々の場所に作る方法は貸切バス事業者で頻繁に使われるようだ。
上記のいずれも土地や建物などに3年以上の使用権原を持っている必要があるため、第三者運営の月極駐車場のような、バス事業者が権利を持っていない駐車スペースを使うのはNGになる。
毎回の目的地が決まっている乗合高速バスでは、到着した先にも車庫か駐車場を確保しておくのが条件の一つ。ただし着地においては現地バス事業者の営業所内の車庫を利用する光景が多々見られる。
また、車庫内にバス車両をキツキツに詰めて並べ置くのも法的にNGで、車両と車両の間に50cm以上の間隔を設けるよう義務付けられている。