かなり古そげなバス。というより、実際に古い1965年式のGM・TDH4519というアメリカのバスだ。
これはオノエンジニアリングの小野社長が数年前に、アメリカのバス愛好家から譲り受けていた車両で、2022年4月11日から9月30日まで放送された、NHKの連続テレビ小説『ちむどんどん』に劇用車として登場した“名車”であり、遡れば映画『スピード』にも同型車が登場している。
今回はこの激レアなバスを徹底試乗レポート!!
(記事の内容は、2021年9月現在のものです)
文/近田 茂、写真/バスマガジン編集部、取材協力/オノエンジニアリング
※2021年9月発売《バスマガジンvol.109》『バス作りの新勢力から』より
■半世紀も前に時代をさかのぼる夢のタイムスリップ体験!?
すでにバスマガジンではお馴染みのオノエンジニアリング。いつも実に多彩な情報提供を頂いてきた。次々に導入される新型車はもちろん、異色試乗や様々な事業展開に業界事情など、取材内容は興味深い物ばかり。貴重なご縁に恵まれてきている。
今回は一体、どのようなバスなのだろうか。同社の本社工場に到着すると、そこにはボディ全身にリベットが打たれた、見慣れない左ハンドルのバスが待っていた。
アメリカのGM製であることはわかるが、それ以外の詳細は不明。ただ4面フロントガラスや丸目4灯のヘッドライト、そして角を丸めた平行四辺形のサイドウインドーはどこか見覚えがある。
お気づきの方も多いだろうが、映画「スピード」に登場していた路線バスと同じ。マニアからご指摘を受けるかもしれないので、外観デザインは共通。正確に同型かどうかは不明と記しておこう。
伝聞情報も含め、わかる範囲で調べていくと、ゼネラル・モータース・コーポレーションのトラック&コーチ・ディビジョンによって、ミシガンはポンティアック市の工場で製造されたものだ。
車名はコーチTDH4519で1965年製だそう。アメリカのマニアから購入し、しばらくは西海岸で現地保管されていた。
全長は10.5m、全幅は2.44m。車幅が少しタイトだが、日本の大型路線バスと大差ないレベルだ。
リヤに横置き搭載されたエンジンは、デトロイトディーゼル社製の6V71。水冷2ストロークのV型6気筒。ボア・ストロークが108×127mmのロングストロークタイプ。
資料によると排気量は7Lだが、登録情報では9675cc。前オーナーが改造を加えた可能性も否定できないが、これについて確かな詳細は把握できなかった。