観光列車の老舗的である「やまぐち号」に乗車して終点の津和野駅でバスの状況を観察してみた。地元商店で聞かれた「撮り鉄さんに感謝」とは? 列車と路線バスと津和野をレポートする。
文/写真:古川智規(バスマガジン編集部)
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■SLは修理完了でまもなく試運転開始か?
昭和の時代から走り続けている「SLやまぐち号」は新山口駅(以前の駅名は小郡駅)から津和野駅までを山口線で走る観光列車だ。SL運転で当初は貴婦人ことC57形式がけん引するオリジナルの12系客車で運転されていた。
その後は旧型客車をイメージしたリニューアル12系客車に、本物の旧型客車のマイテ49一等展望客車(現在のJRには一等車の設定はなくグリーン車は二等車の扱い)を連結して走っていた。
その後、JR西日本は2017年に旧型客車である35系を4000番台として最新の機器を搭載して新造し、やまぐち号に投入した。中身は新潟トランシス製造の最新型客車だが、35系であることは間違いなく見た目はどう見ても旧客そのものである。
終点となる島根県津和野町では当列車を観光資源および集客列車として重要な列車に位置付けているようだ、出発地である新山口駅および列車内でノベルティやパンフレットを配布してアテンダントまで乗り込ませる気の入れようだ。
記者が乗車した日は通常のディーゼル機関車であるDD51形式ではなく、DE10形式の重連という組み合わせだったので、沿線の撮り鉄さんはお祭りになっていたはずだ。決していつでも見ることができる組み合わせではない編成での運転なので画的にも関心が高かったはずだ。
■ところで津和野とは?
津和野は島根県の山間部で山口県との県境に位置する。いわゆる「小京都」と呼称される代表的な町で、その町並みは観光資源の一つでもある。しかし交通の便は決して良好とは言えず、山口線かバスに頼ることになる。
基本的には自家用車での来訪が主になってしまっているが高速道路は至近距離にはない。山口線の列車はやまぐち号の他に特急列車のスーパーおきが停車するが、陰陽連絡特急のため津和野での乗降はそれほど多くはない。
高速バスは大阪・神戸から石見交通と阪神バスが津和野まで走らせているが、現在は運休中なので実質はJRの一択になっている。
やまぐち号はそれに乗車すること自体が目的になっている列車だが、津和野で折り返す時間を利用しての観光もできるダイヤになっているので、それを頼りにしているのも事実で沿線や地元では列車に手を振ることが日常のように行われ歓迎やおもてなしのムードは高い。