えええ、マジかよ!!! 小児運賃が150年前から存在したってホント!?

えええ、マジかよ!!! 小児運賃が150年前から存在したってホント!?

 バスや電車に乗る際、ごく短い間だけお世話になる(なった)であろう特別な運賃「小児運賃」。この制度は一体いつごろからあるのだろうか、気になるコイツを掘り下げてみた。

文・写真(特記以外):中山修一

■誕生100年超えって有り得る?

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 大元を辿るには昔の文献を漁るのが手っ取り早く確実な方法と考え、年代別の時刻表などに掲載されている運賃表を順に見ていき、「小児運賃」に関する注釈が添えられているかを確かめてみた。

 令和と平成はともかく、昭和60→50→40年代……と遡り、昭和ひとケタ台の時刻表に達しても小児運賃の但し書きが途絶えることはなく、この時点で結構古くからある制度だと分かった。

 現在のような、各種公共交通機関の運行情報をまとめた、月に一度発行する、本としての時刻表が初めて世に出たのは1894(明治27)年だ。

 同じ年に発売された、創刊2号の時刻表「汽車汽船旅行案内」まで古くなれば状況が変わってくるか? 

 ページを開いたところ、当時の交通手段としてはメジャーだった、定期船や鉄道馬車などの運賃表に「小児」の但し書きがシッカリ載っていた。

 同じ時刻表の鉄道運賃表には小児運賃に関する注釈はなかったが、念の為さらに古い文献を探してみると、1872(明治5)年に開業した日本初の鉄道路線である新橋〜横浜間の、1875(明治8)年時点の汽車時刻表と運賃表が見つかった。

 気になる小児運賃のほうは……これがちゃんと記載されているのだから驚いた。小児運賃の概念は150年以上前の明治初期から存在していたというわけだ。

■ずっと変わらない? 小児運賃の基準

1875(明治8)年当時の新橋〜横浜鉄道時刻・運賃表。左端に小児運賃の注釈が(「税則書類:附・度量表」より)
1875(明治8)年当時の新橋〜横浜鉄道時刻・運賃表。左端に小児運賃の注釈が(「税則書類:附・度量表」より)

 小児運賃制度は日本だけでなく世界中の公共交通機関が採り入れている。一口に小児と言っても、どの要素を基準に運賃の対象/対象外としているのかが気になるところ。

 例えばカナダの一部都市で運行していた路面電車などでは、身長を基準に小児運賃か否かを決めていた時代が過去にあったようだ。

 この場合、その年代ごとの子供の平均身長を参考に、車内の掴み棒に基準線を取り付けて、乗降時に車掌が判断していた。

 他にも中国や台湾などでも身長ルールを採り入れている(た)が、日本の場合、確認できた限り身長を小児運賃の判断材料にした例はほとんどなく、前述の新橋〜横浜間の鉄道から年齢を基準にしている。

 ただし、年齢の幅は今と昔とで少し異なり、当初は「4歳以上12歳未満」が小児運賃の対象になっていた。これが「6歳以上12歳未満」に変わったのは1937(昭和12)年のことだ。

 この年齢設定は国有鉄道の運賃規定によるものであるが、いずれの時代も路面電車や馬車、定期船といった、小児運賃制度を設けている公共交通機関のほとんどが同じ年齢を適用している。

 路線バスの場合、1938(昭和13)年に発刊された京都市営バスの記念誌によると、小児運賃に関して「鉄道に合わせた」旨が記されており、バスも概ね鉄道準拠だったと考えて良さそうだ。

 2023年現在、鉄道・バスともに「6歳以上12歳未満」はそのままで、満12歳でも小学生なら小児運賃の対象だ。特例として、6歳未満の幼児だけで電車やバスを利用する際も、1人ごとに小児運賃が必要になる。

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