全国色々な場所の路線バスを利用するとき、「共同運行」と書かれた路線をたまに見かける。この共同運行というのは、どんなカラクリで生まれるのだろうか。
文・写真:中山修一
■厳しいルールも!! 意外と知らない共同運行の真相
まず、第一に「共同運行」とはどんなものか……基本的には、2社以上のバス事業者がそれぞれ同じ路線でバスを走らせることを指す。
運行路線は異なるが複数の事業者で業務提携している場合は「共同経営」とも言う。
各事業者が同じ路線で好き勝手にバスを走らせるのは「競争」になってしまうので、共同運行では不公平にならないよう関係各位で擦り合わせを行っているのが特徴だ。
より具体的に言うと、共通のバス停を使っており、各事業者の運行便を1枚の時刻表にまとめて掲載、同じ定期券が利用できるバス路線なら、大抵は共同運行になっているはずだ。
実はこの共同運行、営業路線を持っているバス事業者であれば誰もが自由に始めて良いわけではなく、法律で細かく規定されている。特に密接な関係にあるのが独占禁止法だ。
少し細かい箇所まで知りたければ、共同運行にまつわる条文をコピペすれば一目瞭然かと思いきや、条文とは回りくどいのが常。
原文を読んでも何だかよく分からないまま終わってしまう可能性が高いということで、なるべく要点だけ押さえて紐解いていきたい。
■共同運行でやっちゃダメなこと
一般路線バスで共同運行(共同経営)を始めるにあたり、これをやると独禁法に触れるかも!? のようなケースを集めてみたところ、まず第一に、共同運行をするバス事業者同士だけで擦り合わせをしてはいけない、というものがある。
共同運行をする事業者にA社とB社があったとして、例えばA社のほうが体力面で勝る場合、当事者だけで取り決めを行うと、B社が不利になる条件を飲まされる可能性が出てくる。
そういったバス事業者間でのトラブルが起きないよう、共同運行のバス路線がある地域の地方自治体を挟んで協議を進めるのが原則となっている。
次に、A社とB社が共同運行している各バス路線で得た運賃収入を一定の場所にプールして、各社のバスが運行した回数をもとに計算して分配するのもNGとされている。
ただし、運行回数ではなく実際の利用者の数をもとにしての分配は問題ないようだ。
濡れ手で粟なバス路線で共同運行するのも自然な形とは言えない。手放しで儲かる路線で共同運行=既存の事業者だけで囲い込みを図ることになりかねず、新規参入を阻んでしまう可能性があるためだ。