■市内交通・都市間輸送の主役はバス。設備も充実している
ドバイ市内のバスは、オランダVDL製、ドイツメルセデスベンツ・ネオプラン製が中心で、連節バスや2階建てバスも使用される。車体も純正車体である。フルノンステップ・3ドアが標準仕様で、車齢も比較的若い車両が多い。
乗車・運賃支払いはICカード(Nol(ノル)カード)のみの対応で、現金支払いはできない。また、3ドア車の場合最前部のドアは女性専用で、男性はその他2箇所のドアから乗車し、車内には女性・子供専用席が用意されている。
なお、イスラム圏ではバスに限らず、男女の空間は厳格に分けられることが多く、メトロでも女性・子供には専用の車室が用意されている。
長距離バスはハイデッカー車が使用され、車体中央部に降車ドアも設置されている。また、一部の郊外路線には民営バスも運行されており、Ashok Leylandなど、インドメーカーのバスも見られる。ドバイ居住者の半数はインドからの労働者と言われ、距離的にも近い両国は深い結びつきを持っている。
前述のNolカードは、RTAが運営するメトロ、路面電車、バスに使用できるICカードで、1回のみの乗車であってもICカードの使用が必要である。旅行者用に1日乗車券も用意され、1回券と1日乗車券は紙製の使い捨てを前提としたカードである(一定期間内は再チャージしての使用も可能)。
チャージを繰り返して使用することを前提としたプラスチックカードも用意されている。各カードとも、シルバークラス(普通車)用と、ゴールドクラス用が用意されており、ゴールドクラス用はシルバークラス用の倍額となる。なお、駅やバス停は非常に清潔に保たれており、利用に不安は感じない。
バスもメトロも平日は午前5時〜午前1時頃まで運行されているが、イスラム教の安息日にあたる金曜日や祝日は一部の公共交通機関が運行を縮小し、メトロの初電は午前10時頃、水上バスなどは12時あるいは午後2時からと非常に遅くなるため、観光客は注意が必要だ。
ドバイの発展は未だとどまることを知らず、現在もブルジュ・カリファを凌ぐ1000mにも及ぶ高層ビルの建設計画が進むほか、世界最大規模のテーマパーク、大型海上リゾートなど開発計画が目白押しである。
メトロの延伸や新規路線も計画されており、街の発展とともに公共交通機関もさらに進化を遂げていくことだろう。
■その他の交通機関たち
●ドバイ・メトロ
2009年に開業したドバイ初の鉄道で、日本企業コンソーシアムが建設を受注した。車両は近畿車両が納入し、無人・完全自動運転を行う。バスとともにドバイ市民の足として活躍している。
●ドバイ・トラム
現在1路線が運行されている路面電車。ただし全線専用軌道である。地表集電方式のため架線設備がなく、景観上も好ましい。こちらはフランス・アルストム製。
●パーム・ジュメイラ・モノレール
リゾート人工島であるパーム・ジュメイラへのアクセスに使用されるモノレールで、日本・日立製。モノレールはNolカードでの利用はできない。
【画像ギャラリー】砂漠の中の都市ならではの工夫も!! 急速に発展した中東屈指の経済・観光都市ドバイの公共交通機関(11枚)画像ギャラリー