2010〜2020年代にかけて、現在進行形でJR北海道のローカル線の廃止が進み、今やだいぶ寂しくなってしまった。そんな近年消えていった路線の中に「札沼線」の末端区間がある。
文・写真:中山修一
(札沼線末端区間の写真付き記事はバスマガジンWebもしくはベストカーWebをご覧ください)
■起点は大都会、終点は超ローカル
JR北海道の札沼線は、札幌を出発後に1つ隣の桑園駅から分岐して、石狩当別(現・当別)、北海道医療大学を経由しつつ、起点から約77km先の新十津川駅までを結んでいた。愛称は学園都市線。
元々は新十津川から先もレールが延びており、留萌本線の石狩沼田駅まで接続していた。札幌と石狩沼田を結ぶ路線だったことが「札沼線」の名が付いた由来だ。ところが新十津川〜石狩沼田間は利用が極端に少なかったため、1972年に廃止されている。
札沼線は極めてユニークな性質の持ち主で、札幌〜北海道医療大学駅までの区間は、札幌圏での主要通勤・通学路線として、3両もしくは6両編成の列車が20分おきくらいに出ている。
それに対して、北海道医療大学から先は同じ路線とは思えないほどローカル色が強まり、終点の新十津川駅まで行っていたのは、1両編成のディーゼルカーが1日たった3本だった。
末端区間は絵に描いたような閑散路線であり、1日3本だったものがその後1本にまで減らされ、もはや走らせる意味があるのかと言わんばかり。サービスの限界に達するまで運転が続けられた路線というのも相当珍しい。
激しすぎる起点と終点のギャップがもはや楽しみに変わっていた札沼線も、いよいよ末端区間の利用低迷を放っておくわけには行かなくなり、2020年に北海道医療大学〜新十津川間が廃止になってしまった。
■都内から最小乗り換え2回
端っこ部分がまだ一応元気だった頃の札沼線は、観光目的で訪問すると、なかなかどうして乗って遊べる路線の一つだった。
3往復体制だった当時、乗換アプリで検索すると、“最速”ではなかったものの、上野→新十津川を乗り換え2回で行ける結果がフツーに出てきた。都内から凄く遠いくせして都内間移動よりも利便性の高そうな場所・それが新十津川という趣向か。
乗り換え2回で行くには当時運行していた寝台特急「カシオペア」の利用がマスト。「北斗星」では札幌到着が間に合わずダメだったのが重要なところ。
これ本当に行けるの?と、翌月やってくるクレカの支払いに見てぬふりを決め込みつつ、カシオペアの寝台券を取ったのも懐かしい思い出に。肝心の結果は……乗換アプリ通り、ちゃんと2回で行けた。
■バスを使うと広がった!! 札沼線遊びの幅
乗り鉄趣味で他の路線と繋がっていない終端駅へ向かう場合、終点に着いたら駅周辺を軽く見て回り、乗ってきた列車で来た道を戻るのが定番であるが、2回目以降となれば新しい刺激を求め、だんだん変化が付いてくる。
全区間乗り通しとは言わないので、ちょこっと札沼線の端を「つまみ食い」するくらいで良いんだけど…そう考えたくなる時だってある。何か方法ないかな?と思って目をつけたのが、そう、路線バスだ。
札沼線はJR函館本線と並行している区間が長く、新十津川駅と函館本線・根室本線の滝川駅との間はそう離れておらず、4kmほどだ。
既に1往復体制に変わっていた2017年の真冬。滝川に前泊する条件が自動的に発生したが、翌朝8時頃に滝川駅バスターミナルへ行くと、札沼線の浦臼駅まで向かう路線バスがつかまった。
当時、北海道中央バスが運行していた「滝川浦臼線」がそれで、乗っていくと終点の浦臼駅前に9時前に到着。浦臼駅に札沼線の新十津川行きが来るのが9:05で、ちょうど間に合う計算だ。