高速道の普及で次々と長距離バスが開業する中で乗客増を実現したサロンエクスプレス

高速道の普及で次々と長距離バスが開業する中で乗客増を実現したサロンエクスプレス

 一度は乗ってみたいサロンバス。1980年代後半、観光バスは年々豪華さを増して乗り心地のよさを追求し、多くの客に利用してもらおうと世間から注目されていた。長距離バスもそれを後追いして注目されはじめてきたころ、名古屋と京都を結ぶサロン特急に乗車した。

●名神高速バス サロン特急(名古屋~京都)
○運行会社:日本急行バス
○相手会社:名阪近鉄高速バス、西日本ジェイアールバス、ジェイアール東海バス
○乗車・撮影:1989年10月

(記事の内容は、2024年3月現在のものです)
執筆・写真/石川正臣
※2024年3月発売《バスマガジンvol.124》『思い出の長距離バス』より

■サロン付きであることを看板に老舗路線の意気込みを発揮

サロン特急。日急こと日本急行
サロン特急。日急こと日本急行

 サロン特急として名神高速バスが走り出した。観光バスではサロンバスが好評でその需要に余裕が出来たのか、長距離路線でも走らせることになった。

 名神は東名とともに早くから高速道路が開通し、以降名古屋から京都、大阪、そして神戸も中京と関西の路線が充実して行った。鉄道の競合もあるが、京都は観光地などの立地で運行本数も多い。

 車両は三菱ふそう初期のスーパーハイデッカー。共同運行は名阪近鉄高速バス、西日本ジェイアールバス、ジェイアール東海バスの3社。しかしこの3社は乗り場が異なり、名古屋駅前からの発車だった。

 名鉄バスセンターは少し歩くが、駅ビルの3階まで上るのもエスカレーターでラクラクのアクセスだ。地元民にもお馴染みてわかりやすい。

■バスの利用者でごった返す名鉄バスセンターを後に発車!!

サロンは観光バス時代からそのままの姿で楽しそう
サロンは観光バス時代からそのままの姿で楽しそう

 乗り場の名鉄バスセンターは、秋の行楽シーズンの休日朝とあって多くの人でごった返していた。

 名古屋バスセンターを8時に発車。センターの急坂を下るのもエアロバスらしい安定した乗り心地だ。国道22号線も順調に通過し、一宮インターから名神高速へ入る。

 並行する新幹線に簡単に追い越されるが、バスも負けじと満席。一級河川をたて続けに3つ渡れば濃尾平野となる。しばらくして滋賀県入りし、名神多賀で休憩となる。

 さて……と、サロンへ行こうとすれば、すでに団体客が目的地前から楽しそうに占領して1名分の空間も空いていなかった。自席に飽きたらサロンを満喫する旅はまた後日ということに。

■満席のまま超一級の観光スポット!! 賑やかな京都に到着

京都に到着。皆荷物は自らの手でトランクからとり出す
京都に到着。皆荷物は自らの手でトランクからとり出す

 特急便でも一部のバスストップに停車する。そこには中途乗車をしようとする利用者が待つが、満席のまま降車客はなく、次の便を待ってもらうよう乗務員は頭を下げる。地元住民にとっての大切な生活の足は、時期によっては利用できないことになっていた。これはちょっと気の毒に感じた。

 高速降りて京都タワーが見えると、ほどなく京都駅にすべりこんだ。当然といわんばかりに、名古屋以上に多くの行楽客が楽しそうにそれぞれの目的地と向かって足を運び出した。

 やはり東名も名神もバスにとっては条件が良く、早くから運行開始した老舗路線であるサロン特急。今後も創意工夫でより良い交通機関へと成長を期待したい路線であった。

【画像ギャラリー】長距離バスにもサロン作っちゃえ!! 観光バスで大注目の車両を流用したサロンエクスプレス(10枚)画像ギャラリー

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