バスは一般的に乗用車とは異なり搭載される機器が多いため、それぞれの専門分野の会社が作っている。乗客にかかわりの深い装置はどうなっているのか、取材したのでいくつかの分野に分けて紹介する。今回は乗客の案内表示に関する装置だ。画像ギャラリーでは普段は見ることができない表示を数多く紹介したので合わせてご覧いただきたい。
文/写真:古川智規(バスマガジン編集部)
取材協力:富士急行・フジエクスプレス・富士急バス・レゾナントシステムズ
バスターミナルでいろいろと観察してみると……
今回の取材対象は、レゾナント・システムズというバスの機器を開発・製造する専門メーカーだ。その技術の蓄積を生かして幼稚園バスの置き去り防止装置を汎用性の高い装置として開発し施工している。
同社のバス表示機器は多くの事業者で採用されているが、機械だけを写真撮影してもピンとこないので、実車に搭載された状態で取材することにした。
どうせ取材するならばダブルデッカー車がいいということで、富士急行系の東京のバス事業者であるフジエクスプレスが保有するダブルデッカー車のスカニア・バンホールで撮影することにした。
しかし営業車両は動いているので、回送後で整備をしていない時間にしないと迷惑になる。ダイヤを富士急行に確認したところ、朝に新宿から河口湖まで行き、夕方の便で新宿に戻るという。
ということは、東京が本拠地のバスなのだが、山梨県でしか取材できないことになり、取材する予定のバスに乗って河口湖駅まで行くことにした。
バスタ新宿0735発の便は平日にもかかわらず満員御礼で、2号車が出る盛況ぶり。もしやバスファンがダブルデッカーを狙って予約しているのでは?と予測したが、完全に間違っていた。
平日の早朝に新宿から河口湖方面に行く人のほとんどが外国人で、バスタでは外国語が飛び交っていた。もう観光客の入国が本格的に再開されている事実がここにはあった。
早くに予約していたことから2階席最前列を確保できたので、アイポイントの高さを実感できる。ダブルデッカー車は客室内に運転士の目が届きにくいことから、いたるところに監視カメラがあり、法律の要請で必須のものもあれば、安全上バス事業者が取り付けてあるものもある。
この監視カメラも同社のものだがこれは別稿に譲るとして、まず目につくのが行先方向表示器だろうか。カラーLEDで多くの情報が出せる。富士急系のバスは遊び心と観光客サービスで、このLEDをフル活用している。