空港へ向かう交通手段の代表格といえば路線バスだ。では海の“港”にあたるカーフェリーの乗り場へはバスで行けるのだろうか?
文・写真:中山修一
ちょっとディープな移動手段? 中・長距離カーフェリー
飛行機や鉄道ほどカジュアルな印象を持たないのは確かであるが、数時間〜数十時間かけて都市間を移動する中・長距離カーフェリーが今も各地で就航している。
最近は船内設備が洗練され、地上のホテルみたいな感覚で過ごせるほど快適で楽しい乗り物へと進化している。
そういったカーフェリーは基本的に専用のフェリーターミナルを発着場所にしているが、海に直結しているゆえ大抵は街の中心部から少し離れている。
“カー”フェリーと呼ぶくらいなので、乗るにはクルマが必須なのか、と思いきや決してそんなことはなく、ちゃんと徒歩利用のプランが用意されている。
乗船はマイカーなしでOKだとして、問題は街からフェリーターミナルまでどうアクセスするかだ。街から離れているなら路線バスのひとつでも運行されているハズだ。
全国にある中・長距離フェリーターミナルのうち、まずは北海道エリアのアクセス事情を探っていこう。
(1)函館フェリーターミナル
本州に最も近い航路の発着場になっているのが函館フェリーターミナルだ。2023年現在、100kmを超える航路では函館〜青森を結ぶカーフェリーが就航中だ。物流を支える交通の要である青函航路は便数が多く、24時間のうち8本が夜通し運航している。
大昔の青函連絡船の船着場とは場所が異なり、JR函館駅から5kmほど離れた所にフェリーターミナルがある。歩くには少し酷な距離…そこは抜かりなくターミナルビルの前にバス停が置かれている。
同バス停には、JR函館駅前に向かう函館帝産バス フェリー線シャトルバスと、五稜郭経由・日吉営業所前行きの函館バス16・16A系統が乗り入れている。
函館帝産バスが「函館フェリーターミナル」、函館バスは「津軽海峡フェリー」と、それぞれ独自の停留所名を用いている。
両社のバス路線でフェリーの連絡に使えそうな便は1日あたり各5〜6本といったところだ。
函館駅からフェリーターミナルへ向かった際、利用したバスの便によって40分だったり2時間以上だったりと、フェリーへの接続時間にはバラつきがある。
フェリーを下船して函館駅まで行く場合も30分〜最大2時間30分と、乗ってきたフェリーの便ごとに待ち時間が変わる。函館駅〜ターミナル間の所要時間は約30分、運賃310円だ。
16・16A系統はフェリーの発着合わせて12分〜1時間程度と接続時間が比較的短い。
ただしバス終点の日吉営業所前から函館駅までの距離はフェリーターミナル〜函館駅よりも遠くなる(約8km)ので、下船後に16系統を利用するときは下車のタイミングに注意だ。早朝深夜発着の船便にはいずれのバスも対応していない。